バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

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バレエ「くるみ割り人形」の物語&見どころを知っておこう

バレエ「くるみ割り人形」は、チャイコフスキー作曲による三大バレエ*1の一つです。

世界で一番最初に初演されたのは、1892年12月の旧ソ連サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場*2でした。


初演の舞台セットのスケッチ: Wikipedia

現在では世界各地で上演されていますし、日本でもたくさんのバレエ団が公演をしています。

細かいストーリーは演出によって違いますが、おおまかなあらすじを紹介しておきます。

※ニューヨークシティバレエ団

主な登場人物

主役の女の子 クララ(マーシャと呼ばれることも)

くるみ割り人形

金平糖の精&王子

ドロッセルマイヤー(魔法使い)

おはなし

第1幕。クリスマスの夜のこと、クララの家であるシュタールバウム家では、盛大なクリスマスパーティーを開いていました。

大人から子供まで、招待客が次々に家に集まってきます。

家の真ん中には、クリスマスツリーも飾っています。

魔法使いのドロッセルマイヤーも来て、子供達に手品を見せはじめました。いろんなエキゾチックな人形が登場し、踊りを見せて、みんなを驚かせます。

子供達はいろんなプレゼントをもらいましたが、クララはドロッセルマイヤーからおもちゃのくるみ割り人形をもらいます。

ほかの子供達はくるみ割り人形にまったく興味がありませんでしたが、クララは一目で気に入って一緒に踊り始めます。

そこへ、クララの弟フリッツがふざけて、仲間の男の子たちとはやしたてます。やがて、くるみ割り人形をいじって壊してしまいましたが、ドロッセルマイヤーがすぐに直してくれました。

そうしているうちに、パーティーはお開きの時間となりました。

みんなを見送り、クララはベッドに入る準備をし始めます。でも、くるみ割り人形が壊れてしまったのが気になって、ベッドに入った後も様子を見に真っ暗な広間へそっとのぞきにきます。

真夜中の12時になって、時計が鳴ります。すると、クリスマスツリーがどんどん大きくなっていきます。ドロッセルマイヤーが待ち構えていたようです。自分が小さくなったような気もするようなクララ。気がつくと、目の前にはねずみの大群が現れます。うす気味悪いなと思った瞬間に、鉛の兵隊人形がねずみと戦いにやってきます。くるみ割り人形が兵隊たちを指揮しながら、戦争が続きます。

クララはくるみ割り人形を応援して、どうにか、ねずみを倒して追い払うことができました。

戦い終わったあと、くるみ割り人形は美しい王子に変わっていました。クララもまた、少女から美しい女性に変わっていたのです。

二人は嬉しさのあまり一緒に踊ります。そして、粉雪が舞うモミの木の森を通ると、雪の精が舞っていました。雪の精たちのワルツを二人も一緒に踊りながらお菓子の国へと旅立っていきます。

※英国ロイヤルバレエ団

第2幕。くるみ割り人形とクララがお菓子の国(人形の国の場合もある)にたどりつくと、金平糖の精と王子に出迎えられました。

きらびやかな世界で、二人はいろんなお菓子(人形)の踊りでもてなしを受けます。

スペイン(チョコレート)の踊り、アラビア(コーヒー)の踊り、ロシアの踊り、中国(お茶)の踊り、あし笛の踊り、キャンディー、花のワルツなどがあって、さいごには金平糖の精と王子のパ・ド・ドゥが披露されます。

クララはお菓子の世界を心から楽しんで、夢のような時間を過ごしていました。

ふと気がつくと、クララは眠っていたらしく、目が覚めます。

そこは現実の世界。夢から覚めたクララは、おもちゃのくるみ割り人形を見つけて、クリスマスツリーの前で抱きしめます。名残惜しいけれども甘い余韻に包まれて幕が閉じます。

演出によっては、もともと呪いをかけられた青年がくるみ割り人形になっていて、最後に人間の姿に戻りクララの前に現れる、といったバージョンもあります。

※英国ロイヤルバレエ団

バレエをまったく初めてみるという人にとっては、現実離れした世界観なので、もしかすると「?」がいっぱい浮かぶかもしれません。それでも大丈夫です。

バレエの物語は、おおまかに流れていくことが多いので、「なんで?」と思うかもしれませんが(笑)細かく気にしすぎず、見どころを意識してみましょう。

くるみ割り人形のクララという少女は、1幕と2幕では成長した姿を見せることが、見どころの一つです。おもちゃの人形で遊ぶ無邪気さを見せたあとに、くるみ割り人形との出会いで美しいレディでもあるように演じ分けていきます。

そして魔法を使いこなすドロッセルマイヤーは、舞台の場面展開では大事な役柄を演じています。1幕のいろんな人形を操ったり、クリスマスツリーを大きく見せていったり。次々に魔法を繰り出す不思議な存在ですが、クララも慕っているように、ふとしたときにやさしくて、ひそかな愛情がにじみ出るような紳士・・・といったところでしょうか。

雪の精の場面では、激しくうつろいゆく美しい女性バレリーナたちの群舞がみられます。見ている人にとっては、雪が舞い散ってきらびやかな光景ですが、実際のバレリーナたちにとってはダイナミックな音楽に合わせて踊る正念場でもあったりします。雪の紙をステージに降らせると滑りやすいので、幻想的な華やかさを保ちながら神経も使っているところです(笑)。

お菓子の国では、とっておきの主役といえる金平糖の精と王子が現れます。ふつうは金平糖の精はこの最後だけに出てくるので、プリマバレリーナを見たくても踊りの見せ場は2幕のラストにしか出てきません。それでも見終わって「やっぱり金平糖の精はすごい!」というような秀逸したパドドゥを見ることができます。それぞれのお菓子の踊りもキャラクターがまったく違うので、個性を楽しむ場面でもあります。

バレエのくるみ割り人形を鑑賞することは、海外ではクリスマスの恒例行事。「実際にどんな物語なのかわかっていなかった」という方は、ちょっとでも参考にしてみてくださいね。

実際に舞台を見に行くと、演出にあわせたあらすじがプログラムに書かれていますので、あらためてじっくり読んでみてくださいね。

DVDでゆっくり見るのもオススメですよ!

英国ロイヤル・バレエ団 「くるみ割り人形」(全2幕 ライト版) [DVD]

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  • 吉田 都、スティーヴン・マクレイ 英国ロイヤル・バレエ団
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*1:眠れる森の美女、白鳥の湖

*2:旧ソ連の3大劇場の一つ。ほか、モスクワのボリショイ劇場、ウクライナのキエフ劇場