前に劇場で「眠れる森の美女」を観ていたときのこと、近くにいらした女性の方々が初めて鑑賞しにきたようで疑問を話していました。
それは、「なぜ、眠れる森の美女なのに、シンデレラも、赤ずきんも、長靴を履いて猫とかも出てくるんだろう?」
「バレエではふつうのことなのかな?」
ということ。
たしかに、バレエを初めて鑑賞する人はきっと素朴に思いますよね…
違う物語なのに、どうして??
それは、眠れる森の美女の結婚式の場では、主役のオーロラ姫と王子を祝福するために、他の物語の主人公もお祝いしに来ているという設定だからです。
このような演目をフランス語で「ディベルティスマン」と言い、余興という意味があります。
実際に現実社会のわたしたちの結婚式でも、余興で踊るということはよくありますが、バレエでもお祝いムードということです(笑)。
歴史をさかのぼると、初演を創作するとき、ロシア帝室マリインスキー劇場の支配人が新作の方針を固めていたそう。
そのとき、作曲家チャイコフスキーに依頼した内容には、他の寓話も取り入れることを指示していたそうです。(前の記事にも書いた、ルイ14世の時代の様式も取り入れた上で)
つまりバレエ作品の「眠れる森の美女」では初めからこのディベルティスマンが存在していました。
当時はロシア帝室のためにの作品であったので、宮廷で好まれやすい形であったのではないでしょうか…(推察です)。
時代変遷を経て、ロシア帝室から旧ソ連の国家がパトロンになると、また上演の作品のあり方が変わってきます。
そういった面でバレエを見つめ直すのも面白いです。