バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

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2人で涙した、バレエレッスン

今日は、バレエプライベート10回コースの受講生さんのお一人が修了されました。

バレエはほとんど初めてからスタートし、立ち方・足のポジション・腕のポジションなどから学び始め、「眠れる森の美女」より第3幕オーロラ姫の音楽(Various Artists「わたしと、バレエ - Feminine & Variation」を Apple Music で )で作品を一緒に作り込んできました。

あるとき、打ち明けてくださったことがありました。

「踊るっていう感覚が、よくわからないんです。」

それは、本当に素直で素朴な気持ちでした。まだ、ぎこちなさを感じて、楽しみきれていないような感覚ともいえるでしょうか。

「踊れる女性に憧れるけれど、振付を覚えるのも苦手。実際どんな気持ちで向き合えばいいんだろう?」

こういった感情は、だれでもありうることです。

これを見過ごしてはいけない、と思ったのです。

ふつうのバレエ教室では、そういう感情を抱いてしまうと、ご自分でどうしたらいいか見失ってしまったり、止むを得ず辞めてしまうケースも多いのです。多くの先生方もそれは阻止してあげたいと思っておられるでしょう。

ただ大人数でのレッスンでは、一人一人の深層心理まで向き合うのは、時間的制約があります。

バレエをすでに踊った経験のある人は、「楽しい感覚」を知っています。

でも、ゼロから始めるときというのは、みんな不安だらけ。

「憧れはあってもどんな自分で踊ればいいんだろう?」

「そもそも、踊るってどんな気持ち?」

「振付を覚えるのが昔からすごく苦手」

と戸惑うこともあるかと思います。

そういった、初心者からの素朴な気持ちや心の声を、素直に打ち明けてくださっていたので、私も「自然体に踊って楽しめる感覚を引き出してほしい」と思ってレッスン指導に励んでいました。

日常からバレエの世界にやってくると、ふつうは非日常なのだと思います。多くの人はそういう感覚ですよね。

そこから、ひとりの大人バレリーナになっていく過程で、「非日常」から「自然体のわたしで踊る」感覚へと引き出されていきます。

すると、恥ずかしい・失敗したらどうしよう・人にどう思われるのかな、といった不安が消えていくのです。

大人になってバレエを始める人ほど、恥・不安・恐怖・居心地の悪さを感じてしまいやすいものです。

だからこそ、その障壁をさくっと乗り越えて、無理に作り込むことなく、自然体で踊っていけるようになったら、長い将来も細く長くバレエを楽しんでいけるのではないかと思います。

そんなわけで、プライベートコースを続けながら、一人一人のバレエ人生を勝手ながら思い浮かべたりしてレッスンを作り込んでいっているのですが…

今回の受講生さんは、スケジュールの都合で期間が空いてしまうこともありましたが、ご自分の咀嚼できるペースで、きちんと向き合っていらっしゃいました。

20〜30代の働く女性にとって、毎週毎月、波があるのが普通です。

一年通して、毎月同じような生活をしている人は、なかなかいないことでしょう。

たとえば、仕事の繁忙期、海外出張、プライベートの用事、体の調子、家族の事情などなど、いろんな都合があります。

バレエというのは、コツコツやめることなく続けることを勧めるものではありますが、大人バレリーナにとって、すべての人がコンスタントに続けられる時代ではないのが現実です。

それでも、なんとか気さくに踊れる時はレッスンに向かえる場所があったらいいのですが、ふつうは自分の居場所を見失ってしまうことが多いでしょう。

そんな大人バレリーナの卵が、卵から突き出てバレエの世界へしっかりと立ち踊れるようになる場所をつくりたくて、このプライベートコースを設けてきました。

10回のレッスンを続けられるのかどうかも、初めはだれもが心配です。

また、一回一回終えるたびに、しっかりと課題ができているのかな?とプレッシャーを感じることもあるかもしれません。

私と会っていない間も、少なからず、きっとバレエに向き合おうとする時間があったでしょうし、時には忙しくて大変なこともあったかもしれません。

それでも、自分のペースでいいので積み重ねていけば、バレエが自分のものになっていく… そんな素敵な変化を見せてくださって、コースの終盤ではどんどん頼もしいオーラを感じていました。

修了日の今日のレッスンでも、いつも通りの気持ちでいながら、バレエのチュチュを実際にまとって踊り、一人で堂々と踊り切っていらっしゃいました。

その姿を見ていたら、バレエの動きに戸惑っていた過去が嘘のように、しっかりご本人の体にしみ込んでいることがわかりまして、私、総評しながら涙ぐんでしまいました… そして、二人とも泣きました(笑)

もともとバレエが大好きで、もっと上手になりたい!という熱いハートの大人バレリーナさんも沢山いらっしゃいます。そうした方には、実践的なアドバイスを繰り返しながらどんどん上達していただきます。

一方で、バレエの世界への憧れはあっても、「自分がバレリーナになるなんて想像できるかな?」と半信半疑な人もいると思います。

どんな挑戦も、はじめは自分がどこか浮いているような錯覚がするはずです。

なんだか、すごくアウェーな気分…と感じることでしょう。

それは、挑戦だから、当たり前なのです。やったことがない、新しいことを取り組むのだから、挑戦の意味があります。

非日常な感覚を、どんどん自分の血や肉にかえて、新しい自分に変えていくのです。

すると、いつのまにか、憧れが自然体になっていくのです。

バレエというのは、エクササイズのようでいて、教養でもあります。

だから、実学や資格とは違って、「役に立つ」とか「有利になる」という比較はできないものです。

でも、確実に、踊りを知らないときの自分よりも、振付を覚えることができるんだという自信がわき、体で表現する感覚を体感し、音楽のリズム感を自分で把握したり、人前から見られたときの自分の姿を「なりたいイメージ」に合わせて立ち振る舞うことができるようになります。

それは、人から見られる第一印象にも影響しますし、立ち振る舞いの自信も表れます。

そして、なにより、バレエという世界が自分のものになるのだという手応えをつかむことができるのです。

もちろん、バレエは奥が深く専門性が高いので、半年や一年で学び倒せる分野ではありません。私は恩師から「一生勉強よ」と教わりながらこの道を歩んできました。

それでも、年齢や経験の有無に対する考え方は、自分自身で決めることができます。バレエに対する向き合い方も、自分に無理なく自然体でいられるスタイルを確立することができます。すべては、あなたの心次第なのです。

バレエの世界をお伝えさせていただく立場ではありましたが、一人一人の人生にあったバレエの向き合い方として、とても素敵なあり方を受講生皆さんから教えていただいている気持ちです。

一緒にレッスンを続けることができて、幸せでした。ありがとうございました。

〜私もできるかな、と思った方へ。〜

年齢や経験有無を問わず、月に一度のペースでも、個人レッスンを続けられます。タイミングを感じたら、ぜひ気軽に相談してくださいね。