バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

大人バレリーナがヨガで鍛えたい筋力とは?「太ももが鍛えられすぎないか心配」→正しい使い方を覚えよう

ヨガのご感想の中に、こんな質問がありました。みなさんにも共通しそうなテーマなので取り上げます。

1つ心配なのが前腿が鍛えられて太くなっていくのではないかということです。 今でも、太くなってきている気がして気になっています。 バレエでは、内転筋を使うように指導されると思いますが、ヨガのレッスンにおいてはいかがなものなのでしょうか?

いいご質問をありがとうございます。よく聞く内容なので、細かく掘り下げてみますね。

大腿四頭筋の発達については、もちろん鍛えすぎないようにしたいものですが、プロのダンサーと違う生活をしている一般的な大人バレリーナのみなさんの筋力を個人レッスンなどで拝見していると、最低限の筋力に達していない人の方が多い印象を私個人は感じています…。具体的には、バレエのダイナミックなジャンプや、トウシューズで立つために膝を伸ばせなかったり、「柔らかいプリエ」を踏めない、ピケターンで毎回プリエに降りられない、フォンデュで軸足のプリエの粘りが出せない、… などなど数えきれないほど他にもたくさんの事例があります。

f:id:coruri:20180413100040j:plain

もちろん、内ももを使うようにしなさいという指導はあります。私も使います。でも、大腿四頭筋を使わなければ、足を のばしたいときに膝蓋骨(膝のお皿の骨)が上に引きあがらず、膝がぐらぐらしていつまでも伸びません。バレエシューズのルルベや、トウシューズの片足に立って膝が曲がる人は基本的な筋力がまだ弱い状態なことが多いです。

ある程度子供のうちからトレーニングしている人は、一般的な人よりも大腿四頭筋はかなり強いです。なので、「鍛えすぎないように」という指導が多くなります。

でも、大人から始めた人の多くは、日常から椅子に座る時間が長かったり、子供の頃からの運動経験が少なく筋力トレーニングをあまり経験していない女性の方が大半なので(たまに例外な人もいますが)筋力が足りていない人の方が多いです。筋力が足りないままに、トウシューズで無理やりフルポアントに立っていたら、危ないです。安全に踊るためにも、ある程度の大腿四頭筋のパワーは必要なのです。

じゃあ、どのくらいの筋力なのか?といえば、ヨガのポーズでいうと、戦士のポーズ系などが安定してできる、あるいは、パールシュヴァコーナアーサナの手を床につくバージョンは余裕でできる、くらいでないと、正直なところトウシューズで自由に踊れる・フルレッスンでグランアレグロやマネージも楽しくこなせるような筋力になるのは難しいと思います。

がーん!と厳しいように感じる人もいるかもしれませんが、バレエダンサーは顔には出しません。顔に苦しさを出さないことも、訓練しているからです。バレエの高度なテクニックや、トウシューズの動きは、見た目以上に強いパワーと持続力を要するものなのです。

したがって、大腿四頭筋の強さは、バレエの高度なテクニックについていくためにも、ある程度は必要です。

その筋力がある上でもちろん見た目も細くしていきたいわけですが(私も細いわけではないのでなんとも言えない限りですが…)、ヨガでも太ももが発達しすぎる、ということはあまりありません。激しくスクワット運動をするわけではないですし、ゆっくりとポーズを保持するので、骨格を支える細かな筋肉群を鍛えやすいです。そして、内腿を使うことをかなり意識します。

戦士のポーズでも外旋で内腿を働かせますし、太陽礼拝中も正しく行えていると、体のおもて面よりも、インナーマッスル・内腿・お尻に効かせてきます。

もちろん、ヨガの流派によって違いはありますので、他の先生のクラスのことはなんとも言えません。その先生が何を考え、何のために指導しているのかで全く変わるからです。

私のクラスでは、バレエダンサーに必要ではないと判断した動きは入れないようにしています。

そもそも、ヨガ自体がそこまで外腿を発達させるものではないです。使い方の問題のほうが正直大きいです。

戦士のポーズのとりかたひとつにしても、楽をすれば、おもて面の筋肉(太ももでいうと大腿四頭筋)ばかりを使いがちですが、正しい筋力バランスを働かせれば、もっとしんどくはなるかもしれませんが、インナーマッスル(太ももで言えば、内ももやハムストリングス)が働きます。

バレエのための最低限必要な筋力はつけておかないといけないので、そのバランスを考えながらシークエンスをくんであります。

みなさんは、片足プリエから、軸足をパッセに保ちながらルルベをする動きを32回できるでしょうか?パッセの足は床に落としません。普通に考えたら、すごく、しんどい動きですよね。それを回転しながらやり続けるのが、バレエダンサーの32回転フェッテなのです。

バレエをやっていて、体がある程度柔らかかったり、見た目が華奢な人ほど、筋力のバランスに気づけないことがよくあります。私もかなり昔10代の頃ヨガの先生に「バレエをやってる人たちは体が綺麗に見えるから、弱いところや足りないところがわかりにくいの」と言われまして、すぐにはぴんとこなかったのですが、たしかにそうかもしれないとのちのち思うようになりました。前ももはアスリート並みに太くさせようとするのは実は、結構難しいことです。かなりの無酸素運動を継続して初めて太く発達するものなので、ヨガではそこまでの運動量にはなりません。でも、筋力を鍛えていきます。

体が柔らかい人ほど、筋力をつけるのは、硬い人よりも大変です。これは一般的に言われていることです。柔軟性があるぶん、可動域の中で動いてしまいやすいので、骨格を支える筋力を、硬い人よりも強化しないといけないからです。

じゃあ、つけなくていいか!というと、筋力の弱いところはいつまでも改善せず、それがフィジカルの弱さになってしまいます。筋力のバランスの弱さは、ケガにもつながりやすくなります。

ターンアウトばかりしていると、ターンアウトのための筋肉はつきますが、反対側に負荷がかかったときに弱い状態では、ケガをしやすくなってしまうのです。

そういう意味でも、ヨガでは、ターンアウトもターンインも両方とも出てくるので、フィジカル的に強い体をつくり、筋力のバランスを整えることができるのです。

こうした話も、またシェアしたいと思います。