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息を吸うと、お腹もふくらむのはどうして?
深呼吸をするときに、吸い込みながらお腹をふくらませる腹式呼吸があります。
吸うと肺がふくらむと同時に、お腹もふくらむのはなぜか? 腹式呼吸のメカニズムを紹介します。
内臓をおさめる胴体の中の”空洞”
胴体の中には、臓器などが入っている体腔という”空洞”があります。 体腔は、図のように「胸腔」と「腹腔」に分けられます。その間には、「横隔膜」がついています。
胸腔
肺や心臓が入っています。息を吸うと、肺が空気でふくらみます。
腹腔
消化器系の内臓、胃・小腸・大腸・肝臓・すい臓・腎臓・膀胱などが入っています。
横隔膜
胸啌と腹腔の間に横隔膜があります。胸から背骨の方まで、ドーム状に広がって覆いかぶさるようについています。痙攣するとしゃっくりが起こる部分ですね。
胸腔と腹腔の違い
胸腔と腹腔を比べる際に、よく「空気」と「液体」に例えられています。
息を吸うと胸腔は空気でいっぱいになり、風船のようにふくらみますね。 同時に腹腔は消化器系の臓器を想像すると液体に近いことをイメージできると思います。いわば水風船のように、体積がある程度あるものの形を変えることができます。
「吸う」「吐く」ときの胸腔・腹腔の関係
吸うとき
肺に空気が入って胸啌が広がります。すると、体の中のスペースは限られているため、腹腔を下に押し下げて胸腔を広げます。 すると、下に押し出された腹腔の体積は変わらないので、周りに広がるようにつぶれた形になります。
だから、息を吸い込むとお腹がふくらむのです。特に、みぞおちよりやや下の部分が横隔膜で押し出されるので前にふくらみます。
吐くとき
肺から息を吐き出すと胸啌がしぼむので、腹腔も元に戻ります。だから息を吐くとおなか(ウエストも)へこみます。
横隔膜はドーム状に高くひっぱられて、腹腔が上に広がるスペースができるのです。
横からみると、こんなイメージになります。
息を吸い込むと肺がふくらむことはみなさんよくご存知かとおもいますが、お腹もふくらんでみえるのは、胸に押し出されていたためなのです。
たまに腹式呼吸がうまくできない方がいます(特に女性に多い印象があります)。深呼吸するためには腹式呼吸ができることも大切です。
ポイントは、仰向けになって、お腹まわりの力を抜くことです。お腹に力が入っていると、筋肉の作用で横隔膜が下がりにくくなり、胸啌が広がりにくくなってしまうためです。
脂肪燃焼や健康のためにも、腹式呼吸が注目されています。心を落ち着けたいときにぜひ取り組んでみてくださいね。
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