"人間は、自然から遠ざかるほど、病気に近づく"(ヒポクラテス・近代医学の父)
「自然欠乏症候群」という言葉を知っていますか?
医師の山本竜隆先生のご著書『自然欠乏症候群』によると、
現代人は自然から遠ざかった生活を送っていることにより、健康を害する原因の一因になる、という考え方です。
リチャード・ルーブという著述家が、子どもたちが自然からかけ離れた生活をしていることによって、心身の不安定な症状が発生していることに警鐘を鳴らし、そこから「自然欠乏症候群」という言葉が生まれたそうです。
自然からかけ離れた生活とは、化学物質で作られた建材・エアコン・照明器具・調理器具・パソコン・スマートフォンなどあらゆる機器や道具に囲まれた生活を指しています。
その結果、体の運動機能や平衡感覚の衰え、視野の縮小、集中力の低下、落ち着きがない、忍耐力がない、対人能力の低下などが起こるそうです。いわゆる「キレやすい」精神状態にも。
自然とのふれあいと、心身の健康については、なんとなくわかる気がするなぁ…という方も多いのではないでしょうか。
文明がありふれた現代社会で、日常生活に自然とのつながりを感じる機会は、減っています。
都心では、植物や風景の季節変化も少なく、気温さえも空調設備で人工的に調整されていて、食品も季節に関係なくあらゆるものが常時手に入るので、自然による影響を受けずに生活できてしまいます。それは、自然に反して生活している、ということでもあります。
テクノロジーの発展がもたらす利便性・恩恵は、大いに享受していますし、それがなくては生活できないこともあるでしょう。ただ、それと引き換えに、「自然さを失っている」ということも事実だと思います。
自然が人間の体と心にもたらす”目に見えない力”というのは、西洋医学の考え方ではほとんど取り上げられてきませんでした。
「未病」という概念もなく、狭い意味での「病気」か「健康」かのどちらかの尺度になりがちです。
でも、東洋医学やアーユルヴェーダなどは、そうした自然の力であったり、「未病」も含めた繊細な状態を大事に扱ってきました。
だから、そうした医学を「代替医療」として取り入れる人も増えています。
また、西洋医学と代替医療を統合させる、ホリスティック医学も注目を集めています。
大自然のなかでのヨガ・リトリートは、「自然欠乏症候群」に対する、一つの解決策になりうるでしょう。
森林の空気を感じて、樹々に囲まれた緑の光を浴びて、山々と青空の景色を眺め、自然の恵みである旬の野菜を食べる。
この一連の流れが、自然に丸ごとふれることであり、心身への目に見えない良い効果をもたらすのではないかと思うのです。
さて、あなたのライフスタイルには、自然が足りていますか。
小さなことでもいいので、できることから、「自然」を自分の中に取り込んでいきましょうね。