バレエと花は、意外と関係の深いモチーフ。
くるみ割り人形にも、眠れる森の美女にも、「花のワルツ」があったりと、花をテーマにした踊りで衣装や頭飾りにもよく花が用いられるほど、バレエの世界は花が好きといえるのではないでしょうか。
特に、バラ(ローズ)と言えば、眠れる森の美女の第1幕にある「ローズアダージオ」を思い起こさせます。
そもそも、「眠れる森の美女」って何?という方のために、さくっと紹介しておきましょう。
英国ロイヤルバレエ団の眠れる森の美女(The Sleeping Beauty)のこちらの映像もぜひ見てみてください。
ディズニー映画にもなっているおとぎ話を、バレエ作品にしたものです。(バレエ作品として初演されたのが1890年、ディズニーは1959年に映画化されています)
私は子どもの頃に絵本を読んでいました。オーロラ姫のくちびるが紅の薔薇の色だと書かれていたのを覚えています。なので、今でも赤い薔薇を見ると、オーロラ姫を空想してしまいます。
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時代は17世紀。フランス人のシャルル・ペローという童話作家が書いた物語が原作です。
そして1890年に、ロシアのマリンスキー劇場支配人イワン・フセヴォロジスキーとマリウス・プティパが、バレエ作品の台本として制作したのです。
音楽は、チャイコフスキーが作曲しましたが、よくバレエで言われる「チャイコスフキーの三大バレエ」のひとつでもあります。(ほかは「白鳥の湖」と「くるみ割り人形」と合わせて称されます。)
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バレエ作品でのあらすじ。
ある架空の国で17世紀の時代のこと、国王のもとに赤ちゃんが生まれます。長年子どもを願っていたところに、待望の王女が誕生したのです。この王女が、オーロラ姫です。オーロラとは、「あけぼの」の意味。
場面は、プロローグから始まります。(第1幕はこの次に)
オーロラ姫の誕生を祝して、貴族たちが集まり、妖精たちが幸せの願いをオーロラ姫にかけます。
http://www.stereosound.co.jp/news/article/2014/06/20/pre_140619_sleepingbeauty_03.jpg
一同祝福ムードいっぱいの中、急に暗雲が立ち込めます。悪の精である、カラボスが登場。
カラボスは、自分が祝福のパーティーに呼んでもらえなかったことに腹を立てて、怒って登場したのです。
せっかくいろんな妖精たちが幸せな願いを込めて「やさしさ」「元気」「優雅」「のんき」「勇気」「知恵」などの素敵な願いをプレゼントしたのにもかかわらず、怒ったカラボスは生まれたての王女に呪いをかけてしまうのです。
その呪いとは、「16歳になると、つむぎの針に指を刺されて死んでしまう」という恐ろしいもの。国王や妃がショックを受けて悲しんでしまいます。
そこへ、妖精の一人であるリラの精が、救いの手として、新たな予言をかけます。
「王女は死ぬのではなく、100年の眠りにつきます。そして愛する王子のくちづけで目覚めます。」
その言葉に希望を託して、国中がつむぎ針の使用を禁止することになります。
場面は第1幕に変わり、時代が流れ、オーロラ姫の16歳の誕生日となります。(16年経ったということです)この日は、異国の王子たちがオーロラ姫に求婚する祝福すべき日です。
花のワルツが始まり、そして4人の王子が求婚する場面が、「ローズアダージオ」という曲です。4人の王子が、バラを持って、オーロラ姫に挨拶をしながら踊りを披露するのです。
まだ16歳のあどけないオーロラ姫は、それぞれの王子と踊ります。パーティーが盛り上がったところへ、実は、ひっそりと潜入していたカラボスがやってきます。
オーロラ姫にばれないように、つむぎの針を隠した花束を渡してしまいます。
何も知らないオーロラ姫は、ふとした瞬間に指を刺してしまいます。あっという間に、オーロラ姫は100年の眠りについてしまい、国中も悲しみに包まれるのでした。
そして第2幕に変わると、深い森の中になります。ここで、やっと初めて、王子が登場してきます。森で狩りをしている王子のもとへ、リラの精が現れます。そして、幻の姿のオーロラ姫を見せるのです。あまりの美しさに、王子はオーロラ姫を助けたいと願います。
カラボスは、誰もオーロラ姫を助けられないように、とげのあるいばらを城中に張り巡らせていました。王子はカラボスと戦い、倒した後、オーロラ姫の眠る城へ向かい、なんとか見つけ出し、口づけをプレゼントして100年の眠りから目覚めさせるのです。
http://www.roh.org.uk/productions/the-sleeping-beauty-by-marius-petipa
クライマックスの第3幕では、王子とオーロラ姫が結婚することとなり、結婚の宴の場面となります。
ここで、いろんな物語の主人公が駆けつけて、二人へ祝福の踊りをプレゼントしていきます。青い鳥や、赤ずきん、シンデレラ、長靴を履いた猫、など、個性的なキャラクターが出てくるのが面白い構成です。
そして、最後には王子とオーロラ姫の二人の踊りが披露され、幕を閉じます。
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いかがでしょうか。まさに王道のプリンセスなストーリーですよね。
客観的に見ると、バレエ作品のあらすじとはつっこみどころがたくさんあったりもしますが(笑)、それはともかくとして、一番大事なのは世界観です。
バレエ作品の中でも、いろんな作品があり、(地中海の雰囲気たっぷりなドン・キホーテであったり、白鳥の湖、くるみ割り人形であったり、・・・)これは特に、気品あふれる優雅な世界観なのです。
「眠れる森の美女」という物語があることは知っていても、バレエとなると、「どんなストーリーになっているのか?」、「登場人物たちは何をしているのか?」、知らなかったという方もいると思います。
機会がありましたら、実際のバレエ作品も見てみてくださいね。
私のお気に入りDVDは、こちらのアリーナ・コジョカルのオーロラ姫です。
格調高い雰囲気が素晴らしい映像ですよ。