クロード・モネ「睡蓮の池、緑の反映」2m×4.2mもある大きな絵。池で絶えず揺れる水面に、庭中からの多彩な光を一筋ずつ注ぎ込み、見る人をも包み込む温かい空気が多彩な光をにじませていく… そんな印象を感じた絵。
これは、書くのが遅くなってしまいましたが、ビュールレ・コレクションの目玉作品。こんなに大きなモネが見られるのは珍しいですよね。六本木の国立新美術館で開催されていまして、これは目玉作品で撮影OKになっていました。コレクション全体、とても良かった!チラシで予想していたよりも、王道の美術史を楽しめて、一枚ずつのインパクトがあり、ある意味、キャラ立ち(笑)しているようなコレクションでした。
ビュールレとは、エミール・ゲオルク・ビュールレ氏のこと。ドイツ生まれで子供の頃から美術に関心があった男性で、実業家として成功してから名家の美術品収集をしていたコレクターです。1955年に逝去されましたが、コレクションにはそうそうたるビッグネームがずらり。印象派が特に多いのですが、モネ、ルノワール、ドガ、マネ、ピサロ、セザンヌ、ゴッホ、そしてキュビスムのピカソ、にいたるまで… これらの作品は盗難被害に遭ったこともあり、ビュールレのコレクターとして手腕が本当に素晴らしかったことを裏付けています。
これだけの有名画家たちが1つの展覧会でまとまっており、しかも西洋美術史の良いとこどりのような集まり方は珍しいですよね。ビュールレのコレクションが日本にこれだけ来日するのは珍しい機会で、2020年にはチューリヒ美術館に常設展示されることが決まっているため、こんなに多数も日本にやってくるのは最後だろうとも言われているそうです。
モネとルノアールとゴッホが印象に残りました。
セザンヌは、今まで私の中ではヒットが小さかったのですが、今回はセザンヌの良さがすごく味わえました。他の画家とは違う独自の画風に行き着くまでのプロセスが伝わってきたからです。
あとは、フォービズムの画風に納得する気持ちが湧いたり、キュビズムのブラックとピカソも、今まではとっつきにくい気がすることもあったのですが、ようやく「あ、いいな」としみじみ思えました。頭で理解しようとするのではなく、自然と、心が理解するような感覚。納得する感覚。感受性と向き合う上では大切なことですよね。
そう思えたのは、このコレクションが印象派から徐々に変遷していく流れをわかりやすく伝えているからだと思いました。そして、特にフォービズムやキュビズムらしさを上手く捉えた良い作品をビュールレが収集していたからでしょう。
同じ画家でも、毎回大きな挑戦をすれば結果はいろいろだったのでしょう。
ビュールレの審美眼あってなのか、私にとっては「歴史のこれを切り取って自分の手元に集めていたんだな」と納得させられるような、なんとも言えないセンスのフィット感を抱きました。
印象に残った作品がいろいろあったので、また別途振り返りながら書きたいほどですが…終了前にもう一度行きたいなぁと思っているくらいです。
会期もあとわずかになってきているので、みなさんもぜひ足を運んでみてください。