先日、バレエピアノの収録についてご紹介しました。YouTubeをご覧になって「早くこのピアノでバレエレッスンを受けたい」「ダウンロード販売などもして欲しい」というお声が聞かれて、とてもうれしく思いながら作業を進めています。
ピアノ収録のデータは、レッスンで使いやすくするために仕上げの作業をかけます。
音が美しく調和して響くようにする作業もあるのですが、オンラインレッスン配信のためにとても大事なことがもうひとつ。
それは、音量です!
これが、かんたんなようで根が深い…
裏事情をお話しします。
「1曲全体の音量のバランスを整えるのが必要」だというのは、ライブ配信をするようになってから、重要度が急上昇しました。
1曲全体の音量のバランスというのは、一言で言うと簡単なのですが、繊細な作業です。
実は販売されているバレエレッスンCDであっても、音量のバランスはまちまちです。
音量や音圧がかなりムラのある場合や、平均よりも極端に小さい場合は、レッスン現場で使いにくいことが多々あります。
では、バレエレッスン中はどうやって対処しているのか?
バレエスタジオの対面レッスン現場では、再生するときにプレーヤーの音量つまみを回して調整をします。みなさんが自宅でCDをかけて、音量調整するのと同じです。
バレエレッスンの指導では、この作業で指導時間が無駄になりやすいので、メイン講師はやらず、この音楽をかける作業のためだけにアシスタントをつけることも多いです。レッスンピアニストの代わりですね。
でも、個人で指導している講師にとっては、そうもいかないケースも多いです。
では、私の場合はどうなるか。
私のレッスンスタイルは、対面でもオンラインでも、自分でデモンストレーションを行い、音楽再生も自分です。
対面のスタジオレッスンでは、踊りながらもデッキから離れたところから調整できるように、Apple Watchをワイヤレスで接続して音量コントロールできるようにしていました。
では、オンラインになるとどうなるか?
残念ながら先のやり方だけでは、対応しきれません。
なぜなら、声のマイクがつくからです。
音楽配信だけならいいのですが、話す声という音声がもうひとつ増えるので、視聴者はその両方のバランスが合って初めてちゃんと聴けます。
もしも、音楽の音量と自分が話すマイクの声量とのバランスがあっていないと困ってしまいますよね。
「音楽ばかり聞こえて、指導の声が聞こえない」
「声ばかり聞こえて、音楽が聞こえない」
こうなってしまうと、集中できません。
(スマホ一台で内蔵マイクを使えば同時にひろえますが、音質が不安定的になりがちでクリアに聞こえないので、テレビ局などのようにピンマイクをつけています。)
Zoomレッスンになると、講師側である自分は放送サイドにいるので、視聴者サイドの確認ができないのです…
できるだけ放送事故を防ぐようにしたほうが、お互いに安心してレッスンに集中できるようになります。
では、どうすればいいか。
ぽりさんと研究した結果「事前に配慮しておかなければならない」と、私たちは気づきました。
音源をあらかじめ編集しておくのです。
これが、対面式のスタジオレッスンとの大きな違いです。いや、正確にいうと、対面式レッスンでもとても便利になります。
現場での正直な話、ここまでケアしておくのは大変です。
ふだんバレエのレッスンで使う曲数はゆうに3桁以上あります。それを一曲ずつならすとは…。ある程度パソコンに慣れていないとできない作業でもあります。
なので、オンラインを取り入れている教室でも、そこまでやっていないケースのほうが多いような気もしています。
私自身も、自分だけだったらどうすればよいかわからないので、どうにかこうにか無理やりやっていたかもしれません。これは、ぽりさんエンジニア様々です。
というわけで、今のところの解決策は?
使う曲を編集で整えておき、また新たに使いたくなる曲があれば、また追加していくスタイルになると思います。
購入したCDなどの音源も、オンラインで使うにはムラがあって使いにくい場合があります。
その場合は、同じ作業を踏まないといけません。
それができないなら、もう一人スタッフが常時隣でヘッドホンをしてモニタリングしながら、音量を調整し続けるなら進められるでしょう(YouTubeライブバレエレッスンでは、すべての回でぽりさんがそれを行ってくれていました)。
バレエレッスンやダンスのレッスンをオンラインにしたいと思っている先生方もいることと思います。
私たちが色々と研究している中では、音源のボリュームは極力事前に編集して調整しておくこと(特にクラシック音楽)が、かなり重要です。
ライブ配信・オンライン配信の方法について色々とわかってきたこと、また少しずつシェアしていきます。