人には誰でも試練のときがあります。
心の中でポジティブとネガティブの領域を行き来していると、振れ幅が大きくなったり、だんだん疲弊して、不安定になってしまいかねません。
「なんだか疲れてきたのか、心が少し弱ってきているかもしれない」と思ったときは、恐れずにあなた自身に愛情をかけてあげるときです。
弱っているときや挫折しているときは、そんな余裕もなく、そういう視点になれないかもしれません。
そんなときは、愛することを「成長できるように見守ってあげる力」と置き換えてみてください。
ポジティブな変化に導けるように後押しするパワーこそが、愛の真の姿です。
「愛とは、愛する人の成長と幸福を積極的に求めることである。」エーリッヒ・フロム(『愛するということ』)
つまり自分自身を愛するとは、あなた自身が人間として成長できるように(まるで家族や友達のように)あたたかく見守るということです。
わがままになったり、自己中心的になることではありません。
自分を愛するというと、抽象的であり、実際にしようとすると難しいものです。
例えば、こんな問いかけがあったら、どう感じますか?
たとえば、もしもあなたにとってやさしいお姉さん・お母さん・おばあちゃんの視点から見たら、今のあなたに何をしてあげたいでしょうか?
「やさしい気持ちで〇〇してあげたい」という気持ちから想像を広げてみてください。今のあなたにしてあげたいこと、必要なこととは?
ゆっくり疲れがとれるように、休ませてあげたい。
しっかり栄養をとって、おいしいごはんを食べさせてあげたい。
辛そうなことがあれば、良き話し相手になってあげたい。
〇〇ちゃんらしく笑顔でいてほしい
こんな風に思いやり、母性、あたたかさを感じるのではないでしょうか。(もちろん父性から見た思いやりでもヒントが浮かぶことでしょう。)
そこからピンとくるものがあったら、先延ばしにせずに、ぜひやってみましょう。
思い浮かんだヒントは、きっと今のあなたに必要なこと・本当はやりたかったこと・あきらめていたことなどが詰まっているかもしれません。
すぐに実現できないことでも、小さなところからやってみたり、実現したつもりの感情を想像して味わってみるのでもいいと思います。
あなたの大切な家族や友達が落ち込んでいたら、どんな風に励ましてあげるでしょうか。
そんな思いやりを自分に向けることで、正しい自分への愛し方になります。
正しい自分への愛を育てていくことで、愛は成長と幸福を願うパワーになります。
エーリッヒ・フロムは、愛は技術であると言います。技術だからこそ、使い方や質を高めることができます。
試練のときほど、自信がなくなりやすいものです。自己肯定感が下がると愛せなく感じられるかもしれません。
こんなときにも技術という視点がいきるはずです。
心にとっては踏ん張りところであっても、そんなときこそ自分への愛し方を学び、成長を導く強さを発揮していきましょう。