バレエ作品「さくら」新作を振り付けるまでの振付ストーリーを紹介していきます。
(2)「現代アート〈桜〉ダミアン・ハースト展を観た」について。
(2)現代アート「桜」ダミアン・ハースト展を観た
2022年の3月〜5月に六本木の国立新美術館でイギリスの現代画家ダミアン・ハーストによる「桜」の展覧会があり、ちょうど桜が満開の同時期に観ることができました。
観にいってみようと思ったのは、公式動画を見たことで興味を持ったからです。(公式サイトのトップに動画があります)
ダミアン・ハースト 桜|企画展|展覧会|国立新美術館 THE NATIONAL ART CENTER, TOKYO
大きな壁のようなキャンヴァスに、スポット・ペイティングという技法から「桜」を描くダミアン・ハーストのアトリエは、刺激的な風景でした。
Tシャツとジーンズに色の斑点が飛び散っている格好で、はしごに登りながら立てかけた状態で描く桜の姿。
ぜひ生で見てみたいと思ったのです。
実際に、並んで立つと圧巻の大きさでした!展示の中で最大のものがこちら。
「この桜より大きな愛はない Greater Love Has No-one Than this Blossom」(549✖️732m 個人蔵)
かなり斜め向きで撮っているので、実際には迫力が空のようにかぶさり、色が降ってきそうな印象でした。
他にも、さまざまな印象の桜が並んでいます。
「〈桜〉のシリーズは美と生と死についての作品なんだ。それらは極端で、どこか野暮ったい。」(ダミアン・ハースト)
(左より 「夜桜 Evening Blossom 2018」「冬の桜 Winter's Blossom 2018」「夏の桜 Summer's Blossom 2018」
「桜は装飾的だが、自然からアイディアを得ている。欲望、周囲との事柄をどのように扱い、何に変化させるかについて、さらに狂気的で視覚的な美の儚さについても表現している。〈桜〉は快晴の空を背にして満開に咲き誇る1本の木だ」(ダミアン・ハースト)
(「神聖な日の桜 Spiritual Day Blossom 2018」二連画)
この「神聖な日の桜」はタイトルを見る前から、ひときわなんだか心を吸い寄せられていく絵でした。
まるで木の下から桜の枝を見上げている感覚そのものなのです。
24点の展示でやはり一番その空気と一緒にいたかった作品は、冒頭の「この桜より大きな愛はない Greater Love Has No-one Than this Blossom」でした。
色を計算しながら飛び散らせている中で、なぜか実際の桜(しかも今美術館まで歩いてきた実物の桜の花)と同じように「あ、桜だ。」と感じるのです。
どの作品も絶妙な色の配置が見てとれます。でこぼこを見るのも面白いのです。
(「山桜 Mountain Blossom 2018」二連画)
いろんな桜の表情があり、タイトルを見るとまた想像が広がっていきます。
この世界観に浸っていくほど、ダミアン・ハーストが「狂気的」というイメージがわたしなりの視点でも浮かぶようになってきました。
なぜ、狂気的なのか。
あまりの美しさに心が奪われ、脳内がまるごとそのことに取り憑かれたかのように染まってしまう。
まるで、一目惚れのように。
まさに、桜並木で今歩いてきた道に私が感じた感情そのものじゃないか、とも思いました。
美術館の中もみんなスマホで撮影したり、近寄って見たり、ベンチに座って眺めたり、とても素敵な光景が広がっていました。
想像していたはずでしたが、実際の作品を見て、桜の魂を感じる経験でした。
図録がとてもお気に入りです。
情熱的であったり、神聖であったり、季節のめぐりであったり、生と死のはざまを感じるようなダイナミックな桜のアートを観て、わたしのバレエへの想いは一層ぐんと高まっていきました。
6/12(日)「さくら」バレエ作品を踊るレッスン ♪リスト「愛の夢」初級から参加OK
つづく
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