クラブハウスの万里一空インタビュー企画第四弾は「ロボットと人間のインタラクションの研究にふれる」というテーマで研究者田和辻可昌先生にお話していただきました!
田和辻先生の専門は「不気味の谷」についての研究をされていて、今後の社会に欠かせない「テクノロジーと人間の共存」を考えることを主に研究活動をされています。
ロボットの研究は、最終的に人間を深く知ることでもあります。
みんなで話を広げながら、人間がなにかの対象について「これは人間だな」「これは感情だな」「これは意識だな」と思う境界線ってどこなのだろうか、いろんな事例を考えていくと意外とあいまいであったり、状況によって感じ取り方が変わったり、人間の感覚の不思議さをも感じてとても興味深いテーマでした。
以下は私なりの感想です。
「不気味の谷」の現象とは何か?
ふつうロボットとはどんなものを思い浮かべるでしょうか?ドラえもん、鉄腕アトム、などアニメや映画の世界でイメージする方も多いと思いますし、コンピューターアニメーションのゲームも増えました。また、実社会でもペッパーくんのような存在が登場しています。
ロボットはいろんな形をしていることがありますが、人を助けるロボットは人間に似ている外見にしていくことも多くあります。
そこで、ロボットを擬人化していくときに、どのくらい人間に似ているのか?の度合いがあります。
あなたはそのロボットを見て「ああ、機械だなぁ」と思うのか?それとも「人間ぽいなぁ」と思うのか?
人間に似れば似るほど、人間ぽいなぁと感じられるのか?
ちょっと考えてみてください。
IMAGES COURTESY OF UNIVERSITY OF CALIFORNIA,SAN FRANCISCO
https://wired.jp/2015/11/06/uncanny-valley-creepy-robot/
似せていくのにこのような段階があるとしたら、何か気づくことはありますか?
人間への類似度と感情的な反応を表すと、このようなグラフになります。
これが有名な不気味の谷の現象を表すグラフの形です。
擬人性の高いロボットを観察する人間を被験者とした感情的反応のグラフ 「不気味の谷」は“人間に近く見える”人に似せた像に対する人間の感情的反応が否定的になっている部分である。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E6%B0%97%E5%91%B3%E3%81%AE%E8%B0%B7%E7%8F%BE%E8%B1%A1より
機械的から人間に近づけていくほど、グラフが伸びていくも、急に落ち込みます。(1箇所で急に落ち込むのかどうかは疑義があるのかもしれません)
これは、人間がなにか不快であったり、不気味と感じるような、感情の表出するところとされています。
このグラフについても類似度とは一体何なのか?定義は?右にくるのは果たして人間にそっくりなのか、それともカラクリ人形的なのか?など、まだまだ奥が深いため研究がこれから進んでいくところなのだろうと思われます。
著名なロボット研究者による大阪大学石黒浩教授の「イシグロイド」「マツコロイド」などを見ると、言わんとするところがさらに察しやすいと思います。
こちらは9年前のイシグロイドです。
「マツコロイド」は マツコ・デラックス本人の忠実なアンドロイドを目指し、 頭からつま先にいたる全身を型取りし表情やしぐさ、癖などもリアルに再現している、最新鋭のアンドロイド技術を応用したアンドロイドタレントです。
アンドロイド研究の第一人者である大阪大学の石黒浩教授監修のもと 誕生しました。
いかがでしょうか?
なんとも不思議な複雑な気持ちがした方もいるでしょう。
似れば似るほど本物の人間との差分を探そうとしたり、不気味で目を覗き込みそうになりますね。
「不気味」と感じてしまうと、人間からの信頼関係が作りにくくなってしまったり、実社会でそれを元にしたサービスや商品が人気が出なくなる…ということもあるかもしれません。
するとビジネスにも支障が出てしまうので、少しでも人間側が親しみやすくなるようなロボットをデザインするための材料にもなるというのが、不気味の谷の研究の面白いところです。
また、ロボットを作るというとロボットの方に関心が向くように見えるかもしれませんが、ロボット研究の哲学は人間を知ることだと話してくださいました。
世の中にはロボットを不信に思ったり、人間の仕事を奪うのかと恐れたりする見方もあるかもしれませんが、人工知能やロボットはあくまでツールであり、最終的な意思決定をするのは人間であることを理解することが大切であると(クラブハウスで話が出ましたが)私も思っています。
よりよいロボットを作ることは、人間の知能のメカニズムを知ったり、心の作用を知ったり、人間とは何なのか?という哲学的な深い問いかけにも広がります。
「ペットロボット」という事例をあげると、ペットロボットを家族として迎えている方々は、ペットロボットは「ペット」であり、生き物であり、家族の一員であると感じている方もいらっしゃり、お別れに際しては人間と同じように儀式を執り行なうということもあります。
機械という存在と捉えるのか、それとも魂があると知覚するのか、人の見方でロボットやコンピューターの生成するものや人工的な物体であったとしてもウェットであったり、繊細な扱い方も出てくると思うと視野が広がります。
もはやアニメの世界だけではなく、実社会の人間とロボットとの共生は既に始まっていて、ひょっとすると無意識のうちにも日常生活に入り込んできているかもしれません。
テクノロジーと人間の共生を考える上では、テクノロジーに任せた方がいい部分と人間しかできない部分を整理して、人間自身もリテラシーを身につけたり、チューニングしていくことが鍵なのであろうと思います。
とはいえ、新しいテクノロジーに脅かされるというよりは、科学技術の発展は歴史的にも昔からあるわけで(産業革命など)「テクノロジーの賢い使い手でありたい」という気持ちを私は持っています。
よりよい賢い使い手になることで、自分自身も成長や発展のきっかけを見つけられるのではないかと思うからです。
このAIやテクノロジーに関する話はクラブハウスでもいろんな話題に発展していたので(とても書ききれません)ぜひリプレイでも聞いてみてください。とても長いですが、部分的にでもご興味ありましたらどうぞ。
私はテクノロジーとアートは関わり合っていると考えていて、とても好奇心をもっている分野です。またぼちぼち書いていきます。クラブハウスの続編もまたぜひやりたいです。
みんなでテクノロジーに対して頭と心を柔らかくしていきましょう!
田和辻先生、ありがとうございました!
リプレイはこちら
「ロボットと人のインタラクションの研究にふれる」バレエルーム💕🔰OK!芸術・美学・解剖学ゆるく語る部屋 #10 - 愛と癒しのバレエCLUB - Clubhouse
テクノロジーに対して、頭と心を柔らかくしていきたい。
— Ballet Yoga 🎀 ERI 三科絵理 (@mishina_eri) 2022年6月15日
というのが大学で気づいた今もすごく役に立っていることかもしれない💡
RTより 「日本人はモノについて、感覚的な美学としてとらえますね。…こうした感性は欧米人にはあまりありません。私は日本に住んでいたから今日のAIBOの葬式を『とても日本的だな』と」
— Ballet Yoga 🎀 ERI 三科絵理 (@mishina_eri) 2022年6月15日
(国立ベルリン自由大学歴史・文化学部東アジア研究所のダニエル・ホワイト上級研究員
「1体1体のAIBOには、これまで一緒に暮らしてこられたオーナーさんの心が入っている。そこで宗教的儀式が必要になってくるのです。葬式を通じてAIBOに入っていた『魂』を抜かせていただくことで、AIBOは純然たる部品としての存在になる。葬式を終えて初めてバラさせていただくことができるという考え
— Ballet Yoga 🎀 ERI 三科絵理 (@mishina_eri) 2022年6月15日