バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

バレエヨガインストラクター三科絵理

「辻井伸行×三浦文彰 ARKシンフォニエッタ」感動の涙。

「辻井伸行×三浦文彰 ARKシンフォニエッタ 」 7/20 サントリーホールで鑑賞してきました!

辻井さんも、三浦さんも、何度か鑑賞させていただいており、また公演に行けてうれしかったです。

ベートーヴェンの音楽も、演奏も相まって、コロナ禍の生の本番を目の前にして、泣くつもりではなかったのに、涙ポロポロでした。

その夜の演目

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第4番

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番《皇帝》

アンコール

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第8番「悲愴」第2楽章

モンティ: チャールダーシュ

辻井さんのピアノがたっぷり堪能でき、三浦さんはこの日は指揮というプログラム。ソリストと指揮者の関係性というのは公演の印象を強くさせると感じているので、とても和やかな名コンビでした。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲は、予習に何度も聞いていました。予習したくなるのはダンサーの性でしょうか…。

皇帝&戴冠式

皇帝&戴冠式

  • 辻井伸行 & オルフェウス室内管弦楽団
  • クラシック
  • ¥2241

それでもやはり、生の経験をすると、自分の心がどう反応するかがよく分かります。

今回は、第4番がデジタルで聞いていたよりもじわじわとはまっていき、第5番は体がずしりと反応して予想以上にインスピレーションを感じました。

うるうるしながらの帰り道。 

第4番は特にやさしい印象で始まっていき、清らかな水を思いました。たとえば神社のお浄めの水とか、湧水とか、森の葉っぱの雫とか、澄み切った川などのように、水と言ってもいろいろな姿があります。

流れはよどみがなく、透明度の高い輝きを放っているイメージが浮かびました。

なぜか年々、いろんな作曲家の協奏曲が好きな度合いが増しています。すごく好きなのに、もっと好きになってしまってどうするんだろうと思うくらいに…(どうもしないのですけれども…笑。)こういう自分のツボを見つけるのが好きです。

好きになれると、作品を理解できるようになります。

もちろん、バレエも音楽も理解できるようになりたいから好きになりたいというところもありますが、本物に触れると無理に好きになろうとしなくても、やはり好きだと思えるので、自分自身と作品との対話が精神的なところで深まっていきます。

ピアノ協奏曲の醍醐味である、ピアノソリストの大カデンツァの迫力と、オーケストラとの対話のリズムがとても心地よかったです。

私はダンサーとして、楽器演奏をする演奏家の動きにとても興味があります。

ダンサーは音楽と一体化することを学びます。

音楽を奏で出す演奏家の方の体の動きは、とても美しいのです。魂と音色が一体化していく姿に。

客席から見ると、音楽を聴きながら、盛り上がるとみんなが動き出し、ソロは一人の体が歌い出す。音楽の姿が表れます。

特に美しい音色の辻井伸行さんの映像は大好きです。

機会があったら三浦さんのヴァイオリンもまた聴きたい!

ピアノ協奏曲第5番は生で聞いて、もっと感情移入して、生の肉体にいろんな感覚を味わい、インスピレーションが湧いてきました。

はじめは新しい息吹きをふつふつと感じ、第二楽章では骨がとけるかのような柔らかさに包まれました。もうなんというか、とけすぎて、次第に椅子に座っている体と手のひらと足の裏がドドドーっと重くなりました。これははじめての経験で、びっくりしました。何かが乗り移ってきたかと思うくらい… あまりにも骨がとける思いだったのでネジがゆるんでしまったかのようめした。

でもそこから第三楽章に流れていきながら、これは破壊と創造なんだと気付きました。バラバラで重くなっていた身体感覚が、すーっとまとまってきました。破壊は力強く衝突するような破壊だけではなく、ゆるやかに融解していくような破壊もあるのだとひらめきました。

素晴らしい芸術は神聖さと一体化するものなんだと思います。

芸術を創造する人も、それを享受する人も、神聖な何かと一体化していくことで、現実から超越していく。

ベートーヴェンの織りなす宇宙をもっと知りたい。

久しぶりの生の辻井伸行さんの音色と、客席の空気感に、涙ぽろぽろ。

三浦さんは指揮でおられましたが、仲良しのおふたりの姿が微笑ましく、同世代ファンとしてもうれしくなります。

アンコールでは、興奮した観客を癒すかのごとく…「悲愴」第二楽章がひっそりと、それでいてものすごい存在感で始まりました。

あっさりと始まる異次元の空気に、思わず、息を呑む…。

そして、ほんの数秒の瞬間的な反応で、不意になぜか涙腺崩壊。

悲愴ってこんなに沁みてくる曲だったのか…。聞いたことがあるはずなのに、辻井伸行さんのマジックだったのだと思います。

いつか踊りもつけてみたいです。

そしてなんともう一曲が、今夜は指揮の三浦文彰さんが、辻井伸行さんのピアノにつられて「チャルダッシュ」をヴァイオリン借りてその場で弾くという臨場感を出してくださいました(安定の超絶技巧…)。

感受性が激しく動いた夜でした。

帰り道もまた音楽を聞き直して電車に乗りました。数日経った今も、余韻を味わっています。

涙が出てくるコンサートってなかなか無いです。

勇気と励みをいただきました。

今の時代に必要な、心の浄化でした!