私は美術館に出かけた時に絵葉書を買うのですが、印象に残る言葉を裏に書いて、手帳に綴じ込んだりしています。
孤独な人生を過ごしたゴッホは、弟テオらに手紙をたくさん書き残しているので、思考の断片に触れることができます。
わたしが思ったことは、 「孤独なゴッホの感情は、みんな一人一人にもある」 ということ。
悩み、恐れ、恋愛、信頼、拒絶、自己嫌悪、希望と挫折、好奇心、生きがいの探求。
その波のうねりの中でゴッホは星月夜に、糸杉に、絵を描くことに、夢想を広げました。
「糸杉のことが頭から離れない。 線もプロポーションも、エジプトのオベリスク(※)のように美しい。」 (※ 記念碑のモニュメント)
「仕上げになると、僕は気ままな色彩画家になっていく。」
「僕にとって人生は孤独なままなのでしょう。… 絵はそれだけで ひとつの世界です。
だからこそ 僕はほとんど理解を得られないような絵を描くときも できる限り最善を尽くしていますし、 それだけが今の僕を過去とつなぐものなのです。 (母アンナへの手紙)」
「そうだ、僕は絵に命を懸けた。 そのために半ば 正気でなくなっている。 それも良いだろう。」
最後の言葉は(↑)、なんとも情熱的で、芸術家らしくて、でも人間らしくて、愛おしいつぶやきだろうか…。