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松本市美術館「草間彌生 魂のおきどころ」

現代の前衛芸術家、草間彌生さんの地元である松本市美術館で「草間彌生 魂のおきどころ」展を鑑賞しました。

同時に企画展アーツアンドクラフツ展も行われており、あわせて観てきました。(こちらについてはまた別の記事で)

「草間彌生 魂のおきどころ」特集展示

松本市出身の草間彌生さんの作品を展示している松本市美術館。初めて立ち寄ってみました。場所は大型のイオンモール松本から歩ける距離で、周辺には松本市会館もあり、観光も多く、文化的なエリアのように思います。

水玉がいかにも草間さんの美術館だ!と思わせる(実際に中は他にも地元の芸術家の作品が穏やかに並んでいるのですけれども…)印象です。

3階の展示室の入り口は撮影OKでした。

中に入るとそこまで大きくない面積ながら、草間彌生さんワールドは濃かったです。

絵画だけでなくオブジェのようなものや、鏡張りになって光の玉に包まれる空間や、「天国への梯子」をのぞく部屋など、次々に予想がつかない展開になっていて、ドキドキ感がありました。

そして昔の作品(1965年)の「無限の網」のシリーズの絵は、実物を見れたのが初めてだったので、なるほど今の水玉につながる伏線を感じました。

水玉ははじめ見慣れない人もいるかもしれませんが、私は「葡萄」がよかったです。水玉で形や立体感を表していて、みずみずしい葡萄の房が気に入りました。(写真は撮れませんでした)

「天国の梯子」は暗い部屋の天井と床を鏡合わせになった間に、光で表現した梯子がかけられており、鏡が水面のようになっていて恐る恐るのぞくと、無限に梯子が天にのぼっていくのです。そして、地面をのぞくと、地獄に行くかのような無限の地下の回廊が梯子で出来上がっているかのよう。暗黒の中に梯子しかないので、落ちたらどうなるのかなとドキドキするようなふしぎな空間でした。

「魂の灯」は係員さんが鍵をかける秘密の部屋のような中に仕込まれていました。何が起きるんだろう?と前の人を待ちながら、呼ばれて中に入ると、「その位置で動かないで鑑賞してください。その間、お声がけするまで鑑賞いただけます」と言われました。

はて?何が起きるんだろう?と思うと、四方を鏡で包まれた中に、無限のカラフルな球体の灯りが360度広がっているのです。

草間彌生さんは子供の頃から幻覚と戦って生活していたことが創作の原点になっているそうですが、こういった世界が見えていたのかな… いや、幻覚がないと思っている“ふつうの人”もこの世界は特別ではない気がする… と不思議な感覚に包まれました。短すぎず、長すぎず、ちょうどいい時間で係員の人に終わりを告げられました。

無数の光の玉を実物のオブジェクトで見た後に、最後にやってきたのがあの有名な…

「大いなる巨大なカボチャ」

この展示スペースのみ写真撮影が可能でした。

「あ、ここにたどり着いたんだ!」

「驚き」と「納得」が合体した瞬間でした。

草間彌生さんの展示を見た余韻が「納得」になったのは、私にとって意外でした。

予想としては「やっぱり次元が違うなぁ〜」というものを想像していたのですが、それを超えて「水玉」が発展していった先の成長した水玉というものが草間彌生さんの魂になっていることを理解して、ストン、と腹おちしたんだと思います。

ルイ・ヴィトンとのコラボでも水玉は有名ですし、各地の草間彌生さんの作品でも大きな屋外のミクストメディアは水玉になっているイメージがありました。

なぜ、水玉なのかなぁ?

ずっと引っかかっていたことが、生の作品に触れていきながら、文字で細かく説明されていたわけでもないのですけれども、ストン、となったのでした。

そんな鑑賞体験も珍しいです。

もともと草間彌生さんのことを本やメディアで見たり、作品の一部を見たりして、気になっていたからこそ地元の松本市美術館で納得できたのはいい体験でした。

草間彌生さんのメッセージがのっていましたが、「生きる」ということへの絶え間ない行動なのかなと私としては思いました。

そして誰しも「小さく縮こまっている暇はない!」とも捉えました。

命の時間のリミットまで、創作に没頭されている草間彌生さんの、強い強いエネルギーをポジティブに受け取ることができ、また他の機会にも鑑賞したいと思いました。

特集展示「草間彌生 魂のおきどころ」 | 松本市美術館