バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

バレエヨガインストラクター三科絵理

産後もママは赤ちゃんの体の一部、と受け入れてみる

産後半年の一番大変で敏感な期間を乗り越えましたが、0歳はまだまだ小さな赤ちゃん。

そんな子育て中にモヤモヤ気にかかるのが「赤ちゃんとママとの距離感」についてです。

赤ちゃんは人見知り・場所見知りが現れるようになったり、ママと離れたくないことが出てきます。

長く一緒にいますし、授乳も必要ですし、赤ちゃんにとってはママが物理的にも精神的にも不可欠です。

でもママにとっては、赤ちゃんを預けて休憩をしたり、添い寝ではなくしっかり一人で熟睡したり、食事を健康的にバランスよくとって、疲労回復することが生命線になります。底辺レベルだけでなく人間らしい生活をするための、美容室に行くとか、気晴らしに出かけるのも精神衛生的に大事です。

ただ、バランスよく回すのは難しいものです。ママの気持ちだったり、赤ちゃんの性格だったり、家族の状況にもよります。

どの家庭にも正解のあり方は異なるので、ベストバランスを探っていくことになります。

私がモヤモヤする思いに対して腑に落ちたのは、赤ちゃんは生まれてきてもまだママが赤ちゃんの体の一部だと思っているという話です。

生まれた直後から、胎内での睡眠時間の名残りがあって昼夜問わず起きてしまったり、お風呂の中では泳ぐのが上手だったり、赤ちゃんはやはり体の感覚は胎内半分外界半分。

ママが自分の回復を求めるほど、つい赤ちゃんとママの線引きをひきたくなってしまい、早く寝てほしい、早く授乳終わってほしい、早くご飯を食べてほしい、等、焦りが出ます。

(まだ小さな赤ちゃんなのでそんなことを望んでも赤ちゃんのペースがある、というのはどのママもわかっている上で、ただ毎日の繰り返しでそれがすべての生活となると、誰しも余裕がなくなってくるのが育児というものですね…)

なので「産んだからもう別々ね」と割り切れるわけではなく(寂しがるママもいますよね)、本当は産後のママの体は、意識レベルで、ママが思うよりも赤ちゃんの一部なんだろうな…と感じたんです。

これはストンと納得しました。

私が頭で考えているよりも体の深いところでは、ある種「産後対応モード」になっているんだろうと思ったら、それは仕方ないなと受け入れられたのです。

実際、まだ母乳育児もしていますので、肉体的にも「産後」が終わったわけではなく、骨格もまだごく小さなレベルで戻り続けています。

これを思ったとき、ヨガでは「体」のことを三段階で肉体的・精神的・魂のレベルでとらえるのと似ていると思いました。体は心とつながっている、という話はみなさんよく聞いたことがあるのではないでしょうか。

肉体的というのは手で触れる表面的で物質的な体のこと。精神的というのは日々の心の揺れ動きで表れるような自分のこと。魂というのは生まれてくる前からの深いところで私自身でありつづけている自分のこと。

つまりヨガでは「体と向き合う」という言い方をするときに多くの人は肉体的な変化をすぐに求めがちですが、体は精神とも魂ともつながっているので、たんに表面的に考えるだけではなく、深いところでも自分自身の体(深い意味でのからだ)と向き合いましょうという考え方をします。

ああ、同じことだと思ったのです。

妊娠中も頭でどうやって赤ちゃんを育ててようとかパーツを組み立てようなんて分かるはずなく、無意識に、潜在的に遺伝子が持つプログラム通りに胎児が育てられてきます。

母乳だってどうやって出そうとか考えるのではなく、そういうふうに体ができているんだということ。

産後のことだって表面的に頭でっかちに考えているよりずっと深いところで、自分の目に見えないところで働いているのでしょう。そう思ったら自然のペースに委ねようとモヤモヤが消えて心が落ち着きました。

そりゃ焦りすぎよ、産後一年未満なんだからそんなこと当たり前じゃないか…とも言われればそれまでなのですが、産後のホルモンバランスが不安定だったり、筋力体力が落ちているこの時期に、焦りや苛立ちはふだんよりも当人にとってはコントロールできない厄介者だったりするのです。

私はメンタル的にはそこまで困ったことにはなりませんでしたが(家族のサポートのおかげと、前々から割り切って諦めていた部分もあると思います)、自分の体を仕事のためにも早く回復させたいと思ったり、身体意識が職業柄細かく気になってしまうため、余計に思うように進まないと長く感じてしまいます…。

ダンサーやアスリートなど体でパフォーマンスするような人の場合、ママになると、産後の体を産前と比べて一般的な方よりも細かく比べてしまい、SNSもあると余計にセンシティブになってしまうこともあるのではないでしょうか。

(もし読んでくださっているあなたもそうだとしても、あなたは一人ではありませんよ)

気持ちは焦るかもしれないけれど、体はあなたが意識している・していないに関わらず、必要な機能を働かせて、自動操縦で、タスクを完了させようと、毎日毎日一秒一秒動いてくれています。

そんな時にできることは、モヤモヤと考えこんだり気持ちを落とさず、そんなときは諦めて早く寝たり、食べたいものを食べて元気を出したり、あなたの体の奥底から喜ぶようなことをして心を温めてみてください。

赤ちゃんの小さな体でも、お目目キラキラ、体ポカポカで、エネルギーはものすごく大きい存在。

大人よりもずっと自然の姿でのびのびと生きていて、自然の一部ありのままを教えてくれています。

時にはママやパパへ空からのメッセージをもってきてくれたんじゃないかとさえ思うようなこともあります。

宇宙からやってきた天使のようで、地に足つけた一人の人間として、大切に扱いながらも、ママの体もまだつながりあっている感覚を受け入れたら、自分に対する焦りやモヤモヤはすーっと落ち着きました。

0歳という特別な時期の子育てをしてみて、give & take でいうならば、まずはgive に集中する・ママは赤ちゃんの体の一部だからとことん甘えさせてあげよう、と割り切ることで、実は赤ちゃんからママが受け取っていた( take )たくさんのギフトに感謝できるんだと思っています。 愛は与えてうれしくなるもの。笑顔は理由があるからするんじゃなくって笑顔はいつだって笑顔でいい。いろんなことをママに経験させてくれてありがとう。