美しいものに触れるとき、 ちゃんと向き合わなければいけないような気がしていました。
最後まで観なければ、とか きちんと理解しなければ、とか。
でも今の私には、 長い時間集中して何かを観ることが、 少しだけプレッシャーに感じることもあります。
それでも、 美しいものから離れたいわけではなく、 むしろ、力をもらいたい。
ある日、美術館に行きました。
狭い通路でベビーカーを押し、 迷惑になるのが心配で立ち止まることができず、 展示をただ通りすぎました。
それでも、 その空気を吸えただけで、 どこか満たされたのです。
日常の中に、美しさを連れて帰れたような感覚でした。
日記を振り返ると、 子どもや、周りの人に いつもよりていねいに接したくなり、
身の回りのものを ちょっと繊細に扱おうとしている自分がいました。
ああ、ちゃんと受け取っていたんだな、と思いました。
ていねいに作品に向き合う人の、 情熱とぬくもりが共鳴したように感じます。
何かを「ちゃんと」しなくても、 ただそこにあるだけで、 すっと入ってくるものがある。
美しいものは、 がんばらなくても ちゃんと心に届いてくるのでしょう。
だから今は、 無理をしないで、 自分に合う形で受け取っていけたらいいなと思います。
それでもきっと、 静かに満たされていくから。
