バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

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手紙っていいなと思った美術館の思い出 フェルメール、アントワネット、クリムト、夏目漱石

Art & Ballet の新作《Letter》にからめて、美術館で触れた「手紙」を思い出してみます。

バレエ《Letter》について

フェルメール 手紙を読む女

手紙を読んでいる人の絵といえば…フェルメールの《手紙を読む女》があります。

上のポストカード、左右の違いが分かりますか?

左の背景に注目して見てください。

この絵は2022年の3月に《フェルメールと17世紀オランダ絵画展》で来日していたのを観に行きました。

フェルメール展 隠されていた天使を見て。 - バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

この絵は右の状態で長年有名になっていましたが、調査の結果もともと実は背景にキューピットが描かれていたことが判明し、その状態を修復された姿が左の絵です。

本物を修復してしまったということで、前の状態に見慣れている我々としては驚きですよね。

手紙を読んでいる姿を見ていると、どんな手紙なのか、相手はどんな人なのか、気になります。

長年の状態であった白い壁のままだと、ヒントがあまり無かったですが、修復後のキューピッドの姿が描かれていると「恋文なのかな?」と推察したくなりますね。

フェルメールなどの画家が活躍した17世紀オランダ絵画は、王や貴族ではなく庶民の生活ぶりを主題にした絵・風俗画が多かった時代です。

フェルメールの時代は手紙を絵にするのが人気だった

中でも手紙というテーマも好まれたらしく、フェルメールや他の画家も描いていました。

フェルメール《手紙を書く婦人と召使》

フェルメール《手紙を書く女》

ハブリエル・メツー《手紙を書く男》

この絵も実物を見たのですがとても気に入った作品で、ポスターを部屋に飾っていたこともあります。

ワルラン・ヴァイヤン《手紙、ペンナイフ、羽根ペンを留めた赤いリボンの状差し》

壁にそっとかけておくだけでおしゃれな印象ですが、巧妙な遊び心をきかせ、画家の友人の名が書かれているのだそうです。

マリー・アントワネットの手紙

ほかに美術館で思い出すことは、マリー・アントワネット展での手紙です。

愛人のフェルゼン伯爵に宛てて書いていた手紙が見つかったということで展示されていました。

伯爵アクセル・フォン・フェルセン宛てにマリー・アントワネットが書いた手紙の文章の一部

検閲だらけのマリー・アントワネットの手紙、初めて解読 何が書かれていたのか:朝日新聞GLOBE+

マリー・アントワネットにとってはリアルな恋文を長い歴史に渡って保存されているのが気の毒でもありますが、彼女の人生に興味を寄せる私たちにとっては、「本当に実在した人なんだ…」「こういう字を書いていたんだ…」などの生活ぶりを感じられます。

Ballet Yoga 🎀 ERI 三科絵理 on Twitter: "ほかに「手紙」で思い出す美術展は、マリー・アントワネットがフェルゼンに書いていたという手紙。生生しかった。ブログに画像はなし。 愛と美と許し。 マリー・アントワネット展 https://t.co/tQ37KrXKGC" / Twitter

グスタフ・クリムトの手紙

他にも、私が印象に残っているのは、クリムトの手紙です。

2019年のウィーン・モダン展にて

クリムトにとってただの恋人以上に特別で大切な女性だったエミーリエへの手紙が展示されていました。

肉筆の手紙で小さく畳んだ紙の中に情熱がこもっていそうです。

生々しいハートに矢が刺さっているようなイラストをよく見てください。

ウィーン・フォアアールベルク・クラブの舞踏会の記念品にも似たハートが描かれています。

クリムトにとっては、エミーリエがファッションデザイナーでモデルでもあったために絵も描いており、創造性のミューズであったのでしょう。

夏目漱石に猫のポストカードが殺到

さらには、夏目漱石の手紙・葉書です。

横浜の神奈川近代文学館にて、夏目漱石の特集の展示を観たのですが、そこで夏目漱石の人生の紹介があり、知人との手紙のやり取りが多々展示がありました。

夏目漱石の肉筆だけでなく、彼に宛てた知人のポストカードや葉書がずらりと並んでおり、とても素敵な空間でした。

便箋よりはハガキが多かった印象があり、中には読者からの『吾輩は猫である』の反響として猫のポストカードが多かったそうです。読者からの反応はうれしかったそうですが、あまりにも大量で困ってしまっていたそうです。心温まるエピソードですね。

「手紙っていいよね」という気づき

このように、美術館でも手紙はしばしば遭遇するもので、そこからバレエの創作に着想しました。

こういった私自身が鑑賞した思い出が、手紙っていいなという気持ちを認識させてくれました。

私も子供の頃引っ越ししたあとに友達と文通したこともあったり、今ではいろんな方からお手紙をいただいたり、やりとりさせていただくことがあって、手紙は好きです。

※今回は書ききれませんが、本から偉人の手紙を読むこともあります。こちらもまた別の記事で。

バレエとしても手紙の温もりをしっとり表現して《Letter》の作品を育てていきたいなと思っています。

みなさんもバレエのLetterを体験してみたい方は、ぜひ7/16(日)のレッスンにいらしてくださいね!

7/16(日)《Letter》ヴァリエーションレッスン

https://peatix.com/event/3585643