バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

バレエヨガインストラクター三科絵理

マインドフルネス - 今ここを感じること

「マインドフルネス」という言葉、聞いたことがありますか?うつろいやすい心を落ち着かせて生きるための、「心のヨガ」のような実践法として、広く知られるようになりました。

実は、「マインドフルネス」はヨガ・リトリート in 乗鞍でもよくお話ししていて、感想を伺う度に、皆さんの日常を見つめ直す気づきをゆっくりと深く広げ続けているようです。

元々仏教から生まれたものですが、ヨガ哲学とも親和性が高く、「マインドフルネスヨガ」というヨガもあり、私自身も昔心身が不調な時に救われた概念・実践法です。現在のインストラクター活動においてバレエ・ヨガともに大切にしています。

「ありのままを感じるってどういうこと?」「どう実践すればよくわからない」という人も中にはいらっしゃると思います。そこで、私自身が感動した《今ここを感じる》というキーワードをテーマに、みなさんへシェアします。

動画

マインドフルネスとは

マインドフルネスとは、今のありのままを受け入れている心の状態であり、「気づく」ということを意識して日常を生きる心の実践法です。もともとは、仏教から生まれた概念ですが、現在は宗教という枠を超えて、ヨガのように誰でもすぐに取り組めるボディワークのように取り入れられており、Googleなど企業の研修プログラムでも実践されているものです。(サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法

「今ここを感じる」の意味

マインドフルネス瞑想と呼ばれることもあり、「瞑想」と聞くと、少し難しく感じられるかもしれません。でも、大丈夫です。

「今ここを感じる」ということから、スタートしてみてください。突き詰めていくと、これに尽きる、というほど深い概念です。

「今ここを感じる」ということは、いまこの文章を読んでくださっているあなたが、今日この瞬間とあなたがいる場所をしっかりと手に取るように感じるということです。

また、外出しているときならば、例えばカフェにいて紅茶を飲んでいるとしましょう。椅子に座って、ティーカップを持ち、その瞬間とその場所と目の前のこと(紅茶もふくめて)すべてに気づきを向けるということです。

このようにして、あなたが今この瞬間にこの場所にいることに意識を向けようとすること、それがマインドフルネスになります。

ヨガでも「今ここの気づき」が大切

ヨガをしている人は、「今この瞬間の気づきを大切にしましょう」と言われたことはありませんか?そこで目指していることは、マインドフルネスの「今ここを感じる」とほぼ近しいものであるはずです。

ヨガをしながら、体の内側の変化に気づくこともあれば、心の変化を感じることもあるでしょう。そういった、ヨガをしながら自分自身に起こっていることを受け止めるということは、マインドフルネスでもあるのです。瞑想というのは、静かに座っていることだけでなく、動きながらも感じられる心の状態なのです。

あなたが「今ここ」にいないとき

日常生活では、私たちは様々な思考を繰り広げています。とある研究によれば、1日に人間が思考する数というのは、約6万もあると言われます。

そのうち、「心ここにあらず」になっていたり、不安や心配で「上の空」になっていることもあるはずです。マインドフルネスは、そういった状態をできるだけ減らし、心を今ここにいるあなた自身に引き戻していくことを促します。

では、「今ここにいない」ときは、どんな状態でしょうか?

過去や未来のことに執着しているとき

時間軸から考えてみましょう。過去や、未来のことに気を取られていると、わたしたちは今ここにいることを忘れてしまいます。

例えば、昨日、がっかりすることがあったとしましょう。人とケンカしてしまって、気持ちが落ち込み、まだイライラしていたとします。過ぎ去ったことでも、ずっと頭に残ってしまっていて、「心ここにあらず」になっているようなときです。

また、未来のことが心配であったとしましょう。来週にある打ち合わせで、大事な決裁をとるために心配で夜も眠れない… そんなときも、まだ起こっていない事象に対して、心が引きずられてしまっている状態です。もし、準備をしながら生産的で有意義な作業ができていれば、今ここにいるはずですが、しっかりと睡眠をとるべき深夜でも眠れないというのは、過剰に気を取られすぎてしまっている状態ですよね。

この場所だからできること

次に、場所でも考えてみましょう。職場から家に帰ってきても、気持ちの切り替えがうまくできないと、ずっと仕事のことを考えてしまったり、離れるのが怖いことに執着し続けてしまったりします。場所には、あなたにとって大切な人も、物も、空気なども、いろんなものが存在しているはずです。大切な子どもが目の前にいても上の空では、向き合うことができませんよね。しっかりと、「この場所だから…」と思えることに気づきを向けていきたいですね。

ヨガ・リトリートでも、「大自然の美しい環境だからこそ、素直に心を今ここに向けることができる」というご感想をよく聞きます。日常生活では刺激が弱くなってしまう分、場所のエネルギーを借りてみるのも、一つのアイディアですよね。

「気づく」と「判断」の違い

マインドフルネスを意識するために、気にかかりやすいことがあります。それは、「邪念が消えない…!」と気になってしまうことです。浮かんでくることは、無理に消そうとしても、逆に消えなくなってしまいますよね。よくある例えで「ピンク色の象を想像しないでくださいと言われたら必ず想像してしまう」という話と同じです。ついつい、思考が暴走してしまうことはよくあります。

そのために大切なことは、「気づき」でとどめて、「判断」は追いかけない ということです。

なにか気づいたことがあるとしましょう。気づいたことは、あなたの目の前にいる・存在する・起こっているありのままの現象です。気づきは、「気づき」のままでとどめましょう というのがマインドフルネスの考え方です。

例えば、「カレンダーに今日の予定が書いてある」と気づいたならば、それは気づきです。でも、「そういえば、あれも、これも、やらないといけないんだった」「私はそれなのに、まだやってもいない」「こうやって、いつも、ダメダメなんだな〜」「今日もいやな一日だ」というようになってしまうのは、判断をして追いかけてしまっている状態です。

そんなときには、判断したくなる気持ちを手放さなくてはなりません。1秒ずつ、世界は変化していきます。その変化を判断したり考えすぎないで受け入れるという心のゆとりが大切なのです。

感情で判断したくなる欲求を切り離す

判断するときには、人はたいてい、感情をはさみたくなるものです。あれは好き、これは嫌い。といったように、人間はどんなものにも突き詰めていくと快・不快にわけられるほど瞬時に察しています。その感情を押さえつけようとするのは、おそらく難しいですよね。

ただ、気をつけないといけないのは、思考が暴走して、判断してしまうときは、「感情」が判断を促しがちです。嫌だと思うと、逃避したくなったり、攻撃したくなったり、警戒します。動物として持つ本来の生存欲求が働くからです。早いスピードで反応してしまうから、暴走してしまいます。

では、どうすればいいか?私たちの心は、そうなってしまいやすいということをまずは受け止めること。そして、その状態に陥りそうなときは、一歩引いて冷静に見つめ直すことです。ときには、スローモーションのように心を観察することも、大切です。

私がマインドフルネスヨガで救われた理由

マインドフルネスの「今ここを感じる」ということは、私自身が人生観に大きく影響を受けました。社会人になってからストレスや体調の不良で、心までも病に陥ってしまったことがあり、うつ状態をいうのを初めて経験したことがありました。寛解するまで2年くらいかかったかと思います。

そのとき、日常生活は色に例えるならば、真っ暗。放っていると、いつのまにか毎日涙を流すような状態でした。睡眠も食生活もバラバラになってしまった私が、心身を整えなおすために必要なものを探した結果、ヨガとマインドフルネスにたどり着いたのでした。

マインドフルネスを取り入れたヨガは、ふつうのヨガに比べて、とてもシンプルです。形もやさしいもので、ポーズの完成度は関係なく、ポーズをとっているときの体の変化・呼吸の変化を感じ取っていきます。

その練習を繰り返しているうちに、当時真っ暗だった心が、一瞬オレンジ色の光で晴れるようなことがありました。心が晴れる瞬間というのは、もういつ振りだったか… 毎日約99%が真っ暗であったので、ほんのわずかな間でも晴れるというのは、本当に貴重でした。

そのときに、「ヨガって、このためにあるんだ…!」と気づいたのです。

もともと身体能力はバレエダンサーとして訓練されている分、内面の変化からヨガの神秘的な可能性に気づくことができたのでした。

それから、徐々に回復していくようになり、回復したら今度は必要としている人に届けたいと思ってインストラクターを始めたのでした。

こうした経験があるので、私自身の人生にとってもマインドフルネスというのは人生の根幹に根付いています。

さあ、「今ここ」からはじめよう

「マインドフルネス」は、今ここのあなたの状態から、始めることができます。

今ここにしかない気づき。それを得られるかどうかは、心のあり方次第。

つまり、今のあなたの内面から始めることができます。

今日の気づきは、今日にしかないもの。10年後の自分にとっては、まったく同じ気づきにはならないでしょう。

また、ここの気づきは、この場所だからこそ得られたもの。

ヨガ・リトリートでも、参加してくださった方からいろんなストーリーをお聞きしています。

「ヨガリトリートに参加し、自然に囲まれ、スタッフさんの心遣いや美味しい食事に癒され、すっと軸が戻ったようでした。now and hereですね!
“今”に焦点を当てること、普段なかなかできていません。今回、改めて大事だ、自分に必要だなと思いました。
たまに受ける陰ヨガのクラスでは、いかにリラックスして抜ける力を抜くかに重点を置くようになりました。以前は陰ヨガでさえ頑張ってしまっていたのですが、リラックスを大事にできるようになったというのは自分の中で大きな変化でした。」(20代女性の方より 一部ご紹介)

マインドフルネスは、ありのままの自分を生きる勇気でもある…と、私は自分の経験から思います。

読者の皆さんも、なにか心に残った気づきや感想があれば、ぜひ聞かせてくださいね。

私自身がヨガを通して学んだことは、カラダのことだけではありません。心が学んだこともたくさんありますので、みなさんからの感想を伺いながら、対話するようなつもりで、シェアしていきたいと思っています。

動画のご感想より

今日のNow & hereのお話しは、今ヨガ教室に通いはじめて実感していたことだったので、すごく共感してしまいます。慌ただしい毎日、のなかもう少し楽しんでなんでもやつてみようという気持ちがバレエだけでなく、めんどうな家事、料理やお掃除などにも感じられるようになってきた気持がします。ヨガは瞑想であると何かで聞いてはいましたが、えり先生のお話と重ね合わせて、そういうことなんだなぁと実感できました。あまりにもバレエに執着しすぎていた自分にハッとしました。本当にいつもありがとうございます!!

エリ先生の今回上げてくださった マインドフルネス凄く勉強になりました。

メンタルが弱く 仕事や踊りも思うようにできなかったりすることがありまして笑、気にし過ぎでアタマがパンクしそうだったりと、、笑

そんな安定感のないヘッポコですが

やっぱり踊りで 見ている人に何かを伝えたい気持ちはずっと続いてまして、、

長々とすみません。

これからも 動画楽しみにしております!

楽しく踊り頑張ります!