バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

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【呼吸】なぜ吸うとお腹もふくらむの? 腹式呼吸の仕方

目次

息を吸うと、お腹もふくらむのはどうして?

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深呼吸をするときに、吸い込みながらお腹をふくらませる腹式呼吸があります。

吸うと肺がふくらむと同時に、お腹もふくらむのはなぜか? 腹式呼吸のメカニズムを紹介します。

内臓をおさめる胴体の中の”空洞”

胴体の中には、臓器などが入っている体腔という”空洞”があります。 体腔は、図のように「胸腔」と「腹腔」に分けられます。その間には、「横隔膜」がついています。

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胸腔

肺や心臓が入っています。息を吸うと、肺が空気でふくらみます。

腹腔

消化器系の内臓、胃・小腸・大腸・肝臓・すい臓・腎臓・膀胱などが入っています。

横隔膜

胸啌と腹腔の間に横隔膜があります。胸から背骨の方まで、ドーム状に広がって覆いかぶさるようについています。痙攣するとしゃっくりが起こる部分ですね。

胸腔と腹腔の違い

胸腔と腹腔を比べる際に、よく「空気」と「液体」に例えられています。

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息を吸うと胸腔は空気でいっぱいになり、風船のようにふくらみますね。 同時に腹腔は消化器系の臓器を想像すると液体に近いことをイメージできると思います。いわば水風船のように、体積がある程度あるものの形を変えることができます。

「吸う」「吐く」ときの胸腔・腹腔の関係

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吸うとき

肺に空気が入って胸啌が広がります。すると、体の中のスペースは限られているため、腹腔を下に押し下げて胸腔を広げます。 すると、下に押し出された腹腔の体積は変わらないので、周りに広がるようにつぶれた形になります。

だから、息を吸い込むとお腹がふくらむのです。特に、みぞおちよりやや下の部分が横隔膜で押し出されるので前にふくらみます。

吐くとき

肺から息を吐き出すと胸啌がしぼむので、腹腔も元に戻ります。だから息を吐くとおなか(ウエストも)へこみます。

横隔膜はドーム状に高くひっぱられて、腹腔が上に広がるスペースができるのです。

横からみると、こんなイメージになります。

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息を吸い込むと肺がふくらむことはみなさんよくご存知かとおもいますが、お腹もふくらんでみえるのは、胸に押し出されていたためなのです。

たまに腹式呼吸がうまくできない方がいます(特に女性に多い印象があります)。深呼吸するためには腹式呼吸ができることも大切です。

ポイントは、仰向けになって、お腹まわりの力を抜くことです。お腹に力が入っていると、筋肉の作用で横隔膜が下がりにくくなり、胸啌が広がりにくくなってしまうためです。

脂肪燃焼や健康のためにも、腹式呼吸が注目されています。心を落ち着けたいときにぜひ取り組んでみてくださいね。

呼吸に関係する記事→

左右の鼻の呼吸を整えると、自律神経系のバランスにも影響する - バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

【Book】ヨガポーズの筋肉の収縮・伸展が色でわかる「図解YOGA アナトミー 筋骨格編・アーサナ編・実践編」

ヨガを20年以上学ぶ整形外科医が書いた、最高にわかりやすい解剖学の本

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解剖学の本というと、難しいイメージがありますが、その常識を覆す本があります。

アメリカ人の整形外科医でありヨガも20年以上実践している、レイ・ロング博士が書いたこの本です。

ここがすごい

ヨガのポーズをしているときの筋肉がどんな状態か、「収縮」「ストレッチ」を色分けして図解できるようになっている点です。
画期的にわかりやすく、アメリカをはじめ各地でベストセラーになっています。

青い色ほど収縮していて、赤い色ほどストレッチされています。

こちらは本の表紙です。

下向きの犬のポーズ(Down Dog Pose)

鳩のポーズ

Amazon なか見!検索より画像を引用しています。

いかがですか。こんな風になっていたんだ!と目からウロコが落ちます。

イラストレーターとの合わせ技

クリス・マシボーさんというデジタルコンテンツを中心としたイラストレーターとタッグを組んでこの本が生まれたそうです。
医学知識とイラストレーションの組み合わせ、素晴らしいコラボレーションです。

日本へ来日することも

レイ・ロング博士は何度か来日してアンダー・ザ・ライトなどで講習会をされていて、私も過去に参加しました。
講義の中で、ヨガのポーズのCGイラストを使いながら説明してくれました。
(来日できなかったクリスさんは、アメリカから遠隔チャットでイラストのデモンストレーションを手伝っていました。)
CGだからこそできることですが、ポーズをぐるぐる回転させてあらゆる方向から見せてくれて、本よりもダイナミックで、わかりやすかったです。先生の人柄も魅力的でした。
(講習会の様子は別途書こうと思います。)

レイ・ロング博士の日本語翻訳されている本はこちらです。目的に応じて選んでみてください。

『図解YOGAアナトミー:筋骨格編 - 医師が教えるヨガの機能解剖学』
全身の筋骨格、主要な関節の構造などを学ぶのに適しています。

『図解YOGAアナトミー:アーサナ編 - 医師が教えるヨガの機能解剖学』 ヨガのポーズをしているときの筋肉収縮・ストレッチが色分けされています。

『図解YOGAアナトミー:実践編 アームバランスと逆転 - 医師が教えるヨガの機能解剖学』 より上級向けのポーズ(アームバランス・逆転など)を中心に紹介されています。

サイト「BANDHA YOGA」では、無料で読める解剖学的視点の記事もいくつか公開されています。

Scientific Keys

レイ・ロング博士のプロフィール

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左右の鼻の呼吸を整えると、自律神経系のバランスにも影響する

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左と右の鼻で、自律神経系のバランスを整えよう

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ヨガでは、左右の鼻の呼吸をバランスよく行うことを大事にしています。
そのために、片鼻ずつ呼吸する方法(片鼻呼吸)という呼吸法が確立されているほどです。

左右の鼻の呼吸の違いについて、現代の医学でも研究されており、どうやら自律神経系(交感神経系・副交感神経系)に影響があることがわかってきているようです。

自分でチェック!

あなたの鼻は、いま左右どちらの鼻が呼吸しやすいですか?

  • 右の鼻
  • 左の鼻
  • (どちらもほとんど変わらない)

それをふまえた上で、左右の違いを見てみましょう。

右と左の鼻の違い

右の鼻腔による呼吸 左の鼻腔による呼吸
交感神経系を刺激する(闘争・逃走反応) 副交感神経系を刺激する(リラックス効果)
左脳を刺激する 右脳を刺激する
言語能力を高める 空間能力を高める
血糖値を上げる 血糖値を下げる
まばたきの回数を増やす まばたきの回数を減らす
眼圧を下げる※ 眼圧を上げる※注→*1
心拍数を上げる 心拍数を下げる
右肺を優先的に膨らませる 左肺を優先的に膨らませる

書籍 ティモシー・マッコール著「YOGA AS MEDICINEメディカルヨガ〜ヨガの処方箋〜」より引用*2

いかがでしょうか?

右だった方は、いわばアクティブなモード。左だった方は、リラックスなモード。といえるようです。*3

左右の鼻の違いについて、まったく意識していない人が大半だと思いますが、この法則を知ってから、日常生活の中でセルフチェックしてみると大概当てはまるケースがよくあります。

例:眠気と左右鼻の呼吸のちがい

特にイメージしやすいのは、眠気との関係です。

  1. 眠たい時 → 副交感神経系が優位 →左の鼻が通っている

  2. 眠気ゼロ・覚醒している時 → 交感神経系が優位 → 右の鼻が通っている

鼻周期/ネーザル・サイクル

現代医学では、「鼻呼吸/ネーザル・サイクル(Nasal Cycle)」といって、左右の鼻で、交互に呼吸していることがわかってきたそうです。人によって、時間もまちまちなようですが、1日の中で交互に左右の鼻を使っているようです。*4

ヨガでの片鼻呼吸法とは

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ヨガでは昔から伝統的に左右の鼻のバランスを整える方法が行われていました。

方法は、簡単です。

  1. 片方の手を使って、ピースサインをつくる

  2. 人差し指と中指を眉間にあてる

  3. 親指と薬指を、小鼻の近くにおいて、左右の小鼻を交互におさえる

  4. 例:左(吸う)→右(吐く)→右(吸う)→左(吐く)・・・続く(左右どちらから始めてもOK)

1分でも3分でも、続けてみるとだんだん集中して心も落ち着いてきます。左右の鼻呼吸の時間が同じになるように、カウントを数えてやってみてくださいね。

体の不調と関わりが深いからこそ、バランスを整えよう

あなたは、体で困っている不調などはありますか? 私の周りでも、冷え性・不眠症・胃腸の疲れなどを抱えている方は結構います。

自律神経系は、体の様々な自律的機能(呼吸・血液循環・睡眠・体温調節・消化・排泄など)を司る役割があります。
ストレス社会で自律神経系が乱れがちな人こそ、体の不調にも良い効果が得られるかもしれません。
ヨガで伝統的に使われてきた片鼻呼吸法、ぜひ参考にしてみてくださいね。

関連書籍

ヨガの専門書で、医学にヨガを応用するアプローチを紹介されている本。

自律神経について、医学の素人でもわかりやすい説明がされています。ベストセラーになっていたので読んだ方もいるのでは。

*1:眼圧の上昇は交感神経系と関係があるという記事を見かけるので、誤植かな?と思いましたが、そのまま掲載しました。

*2:amazon リンクメディカルヨガ―ヨガの処方箋

*3:どちらも同じ方は、中間・・・?なのでしょうか。あくまでイメージとして捉えてみてください。

*4:こちらの論文によると、冒頭で鼻周期を発見した実験について説明されています。(福原氏・1966年)「鼻呼吸のウルトラディアンリズムー新しい測定法による検討ー」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy1926/66/6/66_6_437/_pdf