バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

バレエヨガインストラクター三科絵理

妊娠記録⑫マタニティマークを付けて体験した電車・バスの難しさ

マタニティマークは妊娠していることを伝えると鉄道会社でもらえたり、お店や自治体からも配布されることがあります。

マタニティマークは初期から付けておいた方が、お腹が小さくても気遣ってもらえることがあるので活用した方がいいと思います。

初期こそつわりがあったり、体調が大変なこともあるのに、他人から見ると全く気が付かない時期なので、ギャップが大きいからです。

では、マタニティマークを付けて電車バスに乗るとどうだったか?

私の実体験では、席を譲ってもらえた機会は一度だけです。

おそらくお子さんがいるパパ世代の男性の方でした。「気づかなくてすみません」と言って立ってくださいました。

私はマタニティマークが目立つように立っていたわけではなかったので、むしろ気づいてくださってありがとうございますという気持ちで譲っていただきました。

ただ、その一度だけだったのです。

妊娠前の想像と比べて、乗った回数に対して譲っていただく機会はとても少ない印象でした。

こんなにもマタニティマークは浸透していると思ったけれど、妊婦にとっての困難さは、少なくとも都心の公共交通機関では解消していないんじゃないかと感じました。

マタニティマークを付けた経験がない人にも話すと「そんなに少ないもんなんだね」と言われます。

私の場合は、初期は電車に乗る機会が多かったのですが、空いている時間帯で利用するようにできたので、困ることはさほどありませんでした。これは本当に良かったです。

でも中期になりお腹が大きくなってくるような頃にたまに乗ったり、やむを得ず混雑気味の電車で優先席の前に立っても、感覚的には9割の人が気づいていないか、譲る気はなく優先席にいるような状況でした。特に朝夜は寝ている人も多いです。

私自身も妊娠前は譲れていたか振り返りました。

もしマタニティマークに気づいたら譲るようにしていましたが、視界に入らないと気づかないですし、よっぽど周りをジロジロ見ていないとスルーしてしまったこともあるかもしれません。

女性同士ならば気遣ってもらえる可能性も高いのですが、私が遭遇する電車の車内は多くは男性で、ほぼ9割がスマホを見ているので、気づくことすら無いような状況でした。

あとは「妊婦にとってなぜ席に座れた方が安心なのか?」が、実体験しないと他人にはよく分からないのも理由かと思います。

まだお腹が小さい妊婦さんでも、微熱ぽい症状・熱中症になりやすい・吐き気をもよおしやすい・めまいがある・極度に疲れやすい・人にぶつかられると抵抗しづらく転倒しやすい、早歩きができないので大勢の人の動きの波に乗れない、などがあります。

揺れる車内で5分、10分、立ち続けることだけでもキツかったりします。

席に座っている方がグンとリスクを回避できるのです。

毎日のように新宿への混雑する電車を利用して公共交通機関には耐性のある私でさえ、妊娠すると状況は一変しました。

妊婦の体調が悪い時を例えるならば「インフルエンザなどが治りかけの病み上がりで電車に乗るようなイメージ」です。

(もちろんそんなに酷くない妊婦さんもいますし、私も毎回ではありませんでした)

「そんな状態で電車に乗るのか?」と思われるかもしれませんが、妊娠中は思いの外カジュアルにこんな体調になっています。

男性の友人に話したりするとすごく驚かれます。女性は毎月の月経サイクルの不調を誰もが多少は経験するので想像しやすいかもしれませんが、正直私は「同じ女性の身体でもこんなに変わってしまうのか」と思ったくらいです。

例えば会社員で産休に入る前であったり、まだ安定期に入っておらず職場にも言えない、時短勤務ができずラッシュアワーになってしまうなどさまざまな状況が考えられます。

しかも日によって・時間帯によって妊婦の体調はコロコロ変わるので、朝は穏やかでも夜は具合が悪くなることもあります。

ある程度の不調があっても、男性にはわからないくらい女性はストレス耐性で我慢してしまうことがあるので、不安定でありながらも日常生活をこなそうとしていることがあります。

マタニティマークを見つけたらぜひ譲ってあげてほしいと思います。

妊婦さん側の気持ちとして、私もつけて感じたことですが、座っている人の目の前で堂々とマタニティマークを目立つようにすることは気が引けて遠慮してしまいがちな点です。

マタニティマークについての考え方が世の中でも理解が無いケースというのを時々見聞きします。

不快に思われたりしたら怖いと思ったり、いかにも譲って欲しそうに立つのはわがままのような気がすると思う人は私だけではないと思います。

混雑気味でピリピリする空気を感じる車内では、カバンにぶら下げたマタニティマークを背中側に回しました。

気にしすぎでは?と思われるかもしれませんが、嫌なことに遭遇するよりかは、時間にゆとりをもって我慢できなくなったら途中下車してベンチで休もうくらいに思いました。

なので電車に乗ることは覚悟がいるようになりました。

もっと大変なのはバスです。

バスは車内のスペースが狭く、乗り降りが混雑する時は電車よりも激しくぶつかることがありえます。慌てて降りようとする人にマタニティマークは見えません。

車内の狭い通路で赤ちゃんをつぶさないようにかばっていると、もしかしたら「通せんぼ」しているように思われることもありえます。

混雑時は運転手もマタニティマークに気づくはずがないので、ピリピリした空気になります。

このリアリティは体験しないとわからないことだったので、今後マタニティマークをつけている人やそれ以外のマークをお持ちの方にももっと配慮しようと思いました。

ここまで書くとビクビクさせてしまうかもしれませんが、これらは都心で経験したケースなので、時間帯や路線の状況によってはこんな状況に遭遇しないこともあると思います。

ただ、妊婦さんにとっては「出かける」ということへのプレッシャーとして、公共交通機関での移動の難しさがあることを、妊娠を経験していない人にイメージしてもらえるきっかけになればと思い書きました。

決して、理解を押し付けたいのではなく、「事情を知れたら支えてあげたい」という方々へつなぐきっかけになればと願っています。

なかなか周りに妊娠・出産した人が身近にいないと、わからないことがたくさんあると感じたからです。そして世の中冷たい人ばかりでは決してなく、ただ人との距離感や環境が引き起こしてしまうすれ違いが少しでも和らぐといいのだろうと思います。

“「陣痛がくるんじゃないか」「生まれそうになったらどうしよう」と思って出かけたくない” と人から思われることがありますが、そうではなく、初期中期のほうが、周りから気づかれないゆえにもっとリスクを感じることがあるということです。

これからマタニティライフを経験する方には、短いようで本人にとっては長い十月十日を、少しでも穏やかに生活できることを願っています。