バレエ用のレースの扇子は、キレイだけれど、実は壊れやすい繊細なものです。
レースがはがれたり、骨が折れたりしやすいのです。
まあ、レースが骨からはがれるくらいであれば、接着剤で修理できます。
この扇子も接着剤が弱くなったので、補強しました。個人レッスンの受講生さんとの練習に使っています。
瞬間接着剤で、レースの上から骨になで付けるように接着。
無事に直ります。
一方で、骨が折れるのは、要注意。
折れる、つまり樹脂が割れてしまうと、修復は困難なのです。
もし大切な舞台で使うならば、たいてい、ダンサーはリハーサル用にひとつ、そして本番用にもうひとつ準備しておきます。
前日に万が一折れてしまったら、当日に買いに行くなど到底できませんからね。
リハーサル用は、折れることがあってもテープでぐるぐる巻いて練習して、本番用は新品のまま取っておき、当日に使います。
本番用のために予備をとっておく、というのは、タイツなども同様です。
まるで、ITの世界から見た「バックアップ」のような体制は、舞台では当たり前のこと。たった一度の時間となる舞台を大切にするためにも、細かな工夫がされているのです。