バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

バレエヨガインストラクター三科絵理

大人だから見出せるバレエの価値

私がこうした活動をする前から、大人になってバレエを始めた方々を見ていて、いつも思っていたこと。

みんな、遠慮がちなことです。

「私なんか…」

「こんな年齢だし」

「こんな体だし」

そう思う気持ちも、手に取るほどわかります。

私もバレエから離れたことがある身なので、バレエというものが、一般社会からどう見えるかも感じられるからです。

経験不足で自信がない、というのは、自然な気持ちですよね。

ただ、私がもっと心に引っかかっていたことがあって。

それは、

《私はバレエをやってはいけない》気がする思い込み

なのです。

それは、必要以上に気持ちのブロックを作ってしまっているように思いました。

謙虚である、という次元ではなく、いらない自己否定が混じっているくらいのことも。

インストラクターとして活動しながらいろんな方の気持ちを聞くほど、とっても根深い問題だと気づいたのでした。

どうしてそんな気持ちが生まれてしまうのか?

原因は、バレエが限られた体型・骨格の人にしか許されないものだという考えなのでしょう。

海外では、国立バレエ団が優れた団員を増やすために、バレエ学校で子供のうちから教育しています。その入学試験は非常に狭き門です。

私もきっと通らないでしょう。そもそもの身長も足りません。

そんな厳しい世界を思うと、「初心者の自分は踊ってはいけない」と思ってしまうのだと思います。

これはそれぞれの人の考え方もあるのでしょうが、

プロの「プリマバレリーナ」という職業につける人材を育てるには、必要な側面でしょう。生まれつきの問題も大いに影響するからです。

でも、趣味で楽しく続けていくのにも、こんなに自己否定しなければならないものなのか…?

私は、それがずっと引っかかっていました。

バレエを、運動としてのエクササイズとして捉えればどうでしょうか?

姿勢が良くなり、体幹も脚力も鍛えられ、手の仕草も美しくなり、メリットがたくさんあります。

隣の人と競争する必要はないのです。

自己ベストを考えて楽しんでいけば良いのですから。

大人の初心者でもすぐに練習できることは、たくさんあります。

最たる例が、ラグビーチームもバレエトレーニングをしているということ。

イギリスやオーストラリアなどのラグビーチームでは、筋肉隆々の男性のラガーマンたちが、バーにつかまってプリエなどの足を鍛えるエクササイズをしているそうです。

目的は、怪我を防止しながら、動くコツを身につけるため。

Wigan Warriors rugby team using ballet in training - CBBC Newsround

スポーツ選手たちも取り入れるほどのエクササイズなのに、女性たちがバレエを楽しまないとは、なんてもったいないことなんだろう…と思います。

実際、個人レッスンでヴァリエーションを練習を続けてきた方々が、まもなく10回コースの修了に近づき始めてきました。

すでに、バレエの動きに慣れてきて、自分の苦手なパはどういうものかを自分で理解し、体がどのように動いたら良いのかも自分の頭で理解できるようになってきています。

若葉がしっかりと伸びてきた証拠です。

ふだんは練習用のチュチュを着ていますが、実際の衣装と飾りをつけて踊ることまでして、バレエを深く体感してほしい。

そんな気持ちから、コースの最後には衣装としてのチュチュを用意することにしました。

眠れる森の美女

白鳥の湖

ドン・キホーテ…

クラシックチュチュではない演目(カルメンなど)の方にも、シンプルで演目にあったものを用意します。

ここまで体験できるなんて!と感動してくださっていました。

そう。なんとなくの運動不足解消になればいい、というのであれば、もっとやさしいエクササイズも世の中にはたくさんあります。

でも、バレエはエクササイズでもありますが、なんといっても芸術。

美しさを表現するスポーツ。

人の心を動かし、感動を起こし、美しい気持ちを呼び起こすもの。

私はそう思っています。

大人からバレエを始めたからといって萎縮する必要はありません。

むしろ、新鮮な目でバレエの価値が見出せる人ばかり。

今の時代、いろいろな趣味趣向が選べるなかで、バレエに価値を見出せる審美眼がある人たちなのである意味当然なのでしょう。

なので肉体面においても、しっかり基礎を積み上げていくことができる…と、自信に変えていっていただきたくて、毎回心を込めてサポートしています。

「やればできるんだ」

「思い込みは外せるんだ」

「こうやればいいんだっていうのが分かってできるのが嬉しい」

そんな風に、体の変化に気づいて、マインドセットまで変わってきています。

パを覚えればいい、というだけでなく、

もっと自分自身を信じて、

堂々と立ち振る舞えて、

美しさを表現する。

その深みも磨きをかけていただけるように…。

それでこそ、バレエの醍醐味と思っています。

※次の記事で、チュチュのデコレーションをした様子をアップしますね。