ちょっとエッセイ的なもの。おはなしはバレエ作品「ジゼル」の第二幕。
悲しくもウィリー(精霊)となった主人公ジゼルが、恋人アルブレヒトへの想いをつづるとしたら。
そんな風に思い浮かべたのが、この「ジゼルの手紙」。
恋と裏切り。
生と死。
愛と憎しみ。
究極の対比が浮かびあがるラブストーリー。
あなただったらどんな風に想像しますか。
アルブレヒト、あなたを愛することができて、あっという間でしたが、幸せでした。
でも、あなたはまだ死ぬことはありません。
ここまで来てくれたことは、うれしかった。
うそじゃなかったんだと思えたから…
でもこのままでは、あなたの命もさらわれてしまいます。
本当は、すごく、あなたと結ばれたかったです。
でも、それは、叶わない夢だったのですね。
あなたの美しい瞳を見つめあった思い出は、ウィリーになってもずっと残り続けます。
わたしの生きたあかし。
愛したい人を見つけたあかし。あなたがいる毎日は、色鮮やかで、光がいっぱいで、華やかでした。
わたしはもう、遠くへ行ってしまうけれど、あなたは生きてください。
いつか、あなたがわたしのことを忘れてしまったとしても、すべてをゆるしています。
朝が来ました。もう、さよならの時間です。
アルブレヒト、あなたと踊れたこと、あなたを愛したこと、ずっと忘れません。
ージゼルの手紙
物語について:
ジゼルは踊りの好きな村娘。ある日現れた大好きな恋人アルブレヒトが、実は自分とは身分の違う人で、婚約者の令嬢バチルドがいることを知ってしまいます。ジゼルを片思いしていた青年ヒラリオンに暴露されてしまい、アルブレヒトはあらがえず、病弱なジゼルは狂乱して死んでしまう悲しいラブストーリー。
ジゼルのように未婚で亡くなった女性は森の精霊となります。
恐ろしい精霊の女王ミルタは、アルブレヒトの命を落とすまで踊らせよと精霊たちに命令して襲いかかりますが、ジゼルはアルブレヒトの裏切りをゆるして守ろうとします。やがて朝が来て精霊たちは森から姿を消し、アルブレヒトは助かったのでした。