バレエのレッスンで、振付の順番はスムーズに覚えられていますか?
覚えるのが難しいという人も多いですよね。魔法のような記憶術があればいいのですが、実際はダンサーもみんな頑張って覚えています。慣れと経験の差も大きいです。
それでも、初めて見る振付を覚えるために外せない大切なポイントがあります!
なんとなく覚えるのとでは、まったく違います。
YouTube動画でも解説しましたが、さらに文章でも細かく補足しました。ぜひチェックしてみてくださいね。
動画
1 バレエ用語を正しく覚える
まずは、バレエ用語を正しく覚えること。これは、基本中の基本です。
外国語でも単語がわからないと伝わらないのと同じように、バレエ用語で振付を説明されたらそれが理解できるように、頭の中に用語のデータベースを作っておきましょう。
どのくらいまで専門的に覚えればいいのか?
バレエ用語をひもといていくと、どのくらいまで、複雑な用語を覚えればいいのかな…?と、疑問に感じるかもしれません。
ふだんのレッスンでよく出てくる用語の数はさほど多くはありません。
一般的なバレエの本に登場する程度の用語で大丈夫です。
- プリエ
- タンデュ
- ジュテ
- デベロッペ
- フォンデュ
- グラン・バットマン
- ピルエット(アンドゥダン・アンドゥオール)
- シャセ
- トンベ・パドブーレ
- シャンジュマン
- アントルシャ・カトル、ロワイヤル、シス
などの基本的な用語を覚えましょう。
バレエ用語を聞いて、反射神経で動けるか?
次に大切なことは、反射神経です。
バレエ用語をただ暗記しても、動きがわからなければ、意味がありませんよね。
名前を言われたら、すぐに1秒でその動きができるくらいに反射神経を鍛えておき、筋肉も動かせる状態になっていてはじめて、バレエ用語をわかっているということになります。
レッスンの時間は貴重ですから、「えーとなんだっけ?」と悩む時間はありません。
反射神経で、ぱっぱっと動けることが大切です。
第1〜4アラベスクの区別がわかるか?
アラベスクという形には、体の向き・手脚の左右の組み合わせ方に種類があり、パターンごとに番号がついています。
第1アラベスクから第4アラベスクまで、手と脚の上げる方向を反射的に動かせるでしょうか?
センターのアンシェヌマンが苦手な人は、特にアラベスクの手脚のコンビネーションを間違えやすいので、気をつけたいポイントです。
2 数字をたたきこむ
振付を覚えるには、数字も正しく覚える必要があります。
あるパ(動き)を何回やるのか?によって、振付は変わってしまいます。
また、アラベスクの種類でも、第1〜4アラベスクでは形が違います。
ほかに、足の第1〜5ポジション、空間の8方向、など、バレエでも数字はよく出てきます。
どんな勉強でも、数字は大切なものですが、バレエでもしっかり押さえましょう!
動きの回数から次を予測する
バレエの振付は、流れが大切です。
ある回数する動きがあったら、そのあと次に行う動きを予測・計算しなければいけないこともあります。
例えば、横にピケ・ターンで8回移動するとしたら、移動したあとは何をするのか?移動し終わったらどの位置がいいのか?といったことも考えておかなくてはいけません。
奇数なのか、偶数なのか?
数字が、奇数なのか、偶数なのか?が重要になる場面もあります。
例えば、バーレッスンでタンデュを横方向に五番ポジションへ繰り返すことがあったとします。
右足が動作足のとき、右足前から始めたとして…
横タンデュ→右足後ろ五番→横タンデュ→右足前五番→横タンデュ→右足後ろ五番… と、続きます。
3回横タンデュをしたら、右足は後ろになります。
4回横タンデュをすると、右足は前になり終わります。
交互に足を後ろ、前に入れ替えますので当たり前の結果なのですが…
横タンデュのあとに、右足後ろタンデュがつづくこともあります。
3回横タンデュであったときは、先述のように、右足後ろになっていますので、そのまま後ろに出せますね。
4回横タンデュであったときは、ふつうに行っていると右足が前にきてしまっていて、後ろに出すことができません。ごまかして足をずらしながら後ろに持っていくのはバレエではNGです。
でも、こういう振付の指示が出されること、よくあります。
では、どうすればいいか?
バレエによくある慣習なのですが、横タンデュ4回をしてその後の足の前後の組み方がずれてしまうときは、初めの1回目タンデュを右足前五番ポジションにするのです。
そのあと3回は後ろ、前、後ろと入れます。そうすると、後ろタンデュに出すときのつじつまが合います。
「え、そんなのありなんですか!」というお声もあるかもしれませんが(笑)これはよくある作法です。
慣れているダンサーは、先生からこの作法の指示がなくても自分で考えて行います。でも、初心者の方が上級者のいるレッスンを受けていると、ここまで丁寧な指示を受けられないこともあります。
先生が指示をしてくれたらわかりやすいものですが、バレエではよくある慣習なので、さーっと流して行われることもあります。
今まで疑問だったという方は、ぜひ頭に叩き込んでおいてくださいね(笑)。この文章で理解できないという方は、動画にするのでリクエストください。^_^
3 パのつなぎを体で覚える
振付を覚えるというと、「アラベスクを二回、プリエ、クペ・パドブーレ、ピルエット」というように、バレエ用語の羅列を覚えていきます。
でも、実際は、バレエ用語の羅列だけでは、振付になりません。
ひとつひとつのバレエ用語の間に、つなぎが存在するからです。
「動き」と「動き」のつなぎです。
動きの名前がない「つなぎ」の存在
踊りというのは、コマ送りではなく、ずーっと連続している動きです。
だからこそ、バレエ用語になっていない「つなぎ」は空白のまま。
バレエでは当たり前の所作と思われることほど、バレエ用語の名前がついていないのです。
行間を読み、自分で埋める作業
行間を読む、というのはバレエでも同じ。
「つなぎ」はどうなっているのかを、自分自身で埋めていかなくてはなりません。
つなぎにおいても、わからない点は先生に確認してみましょう。きっと、説明をしてくださるはずです。
つなぎは初心者にとってブラックボックス
バレエの経験が多いほど、つなぎの部分は暗黙のうちに理解し合えてしまうことが多いです。
つまり、初心者にとっては謎のブラックボックス化しかねません。私のレッスンでは、どんどん質問していただいて大歓迎です。
4 手だけ・脚だけで音に通せるか?
振付を覚えるときは、手と脚を同時に動かさなくてはなりませんよね。それが特に難しいという方も多いでしょう。
私はピアノを習いたくて習えなかった人間で、左右の手を別々に弾くことができるピアニストさんに憧れます。
同じようにして、バレエでも、手と足と違う動きをする必要があります。
別々にわかったつもりで理解できていない
これまでに多くの初心者の方へ指導してきた経験から気づくことは、「手足の動きをわかったつもりで、同時に行うのができないと悩む人が多いが、実は手だけ・足だけでも理解できていないことが多い」という事実です。
ちょっとショックかもしれませんが、これはプロのダンサーの振り入れでもよくあることです。
A→B→C→D→E→F
という流れがあるとします。
手は、A→B→C→D→E→F
足は、A→B→C→D→E→F
というように組み立てられているとします。
でも理解している度合いを確認してみると、
手は、A→C→D→E→F (Bが抜けている)
足は、A→B→C→D→F(Eが抜けている)
というようなケースがよくあります。プロのダンサーでも振り入れをしながら、曖昧な部分・抜けている部分を綿密に確認したり話し合ったりしていくものです。
もちろん、時には理解が浅い状態でも、手足同時に動かしてとにかく動く、というフェーズも必要なことがあります。まずはやってみることもすごく大切です。
でも、完成度を高めていきたいときに、必ず通りたいポイントがあります。
手だけで音楽を踊れるか?
足だけで音楽を踊れるか?
「別々にしたら正しく動けていますか?」というチェック方法です。
手だけ、足だけ、音楽と100%動かしてみよう
フルに踊るつもりになって、音楽をかけ、手だけを100%動かしてみましょう。足は何もしなくてもいいです。ただ、手は1秒も省かないで、完璧に動かそうとしてみてください。
すると、音楽に合わせて動いているうちに、「あれ?この瞬間は何をしているんだ??」とわからない瞬間が出てくるものです。
足に気を取られていて、「手が何をしているはずなのかわからない」という抜けポイントを見つけたら、そこがあなたのつまづき箇所です!
同じようにして、足だけも動いてみてください。手に気を取られていて、足が何をやっているのかわからなかったところは、先生からも「何やっているのかわかりません」と言われ兼ねません…(笑)
このようにして、手だけ・脚だけに分解して流れをさらって振付を整理していきましょう。
まとめ
振付を覚えるというのは、脳内で記憶して、反射神経で筋肉に指示を与えて、動きを表現させることまでを含みます。
単純に記憶術だけを駆使するだけでなく、1秒も欠けることなく連続したムーブメントを生み出します。
バレエ用語は、あくまでコミュニケーションをとるための手段であり、あなたの体が動いてこそ振付が「振付」になります。
はじめは完璧にできなくても大丈夫!
できることから、チャレンジしていきましょう♫
「わたしにもできる振付に出会ってみたい」という方は、レッスンにぜひいらしてくださいね。