バレエを観るには劇場に行くか、ビデオ(DVD)で観るか。・・・という選択しか昔はありませんでした。
でも今はAmazon ビデオで全幕バレエ作品が見られる時代になったのですね!
パリ・オペラ座の「白鳥の湖」です。
ビデオテープも古くなってしまった今、DVDもそんな日がやってきそう。だからオンラインで公開するのはどんどんやってほしいと個人的に願っています(著作権の関係もあるのでしょうが)。
バレエを題材にした映画なら、オンラインレンタルで公開している作品はありましたが、バレエの舞台映像はまだほとんどありません。このように、世界的なバレエカンパニーが公開しているのはかなり先進的です。
これは、アニエス・ルテステュ&ジョゼ・マルティネスというスターダンサーの主演作です。二人とも現役を引退しているので貴重な映像。
画質も綺麗ですし、アングルも真正面だけでなく、上から見下ろす角度もあって、コールドバレエ(群舞)の並びまで繊細にわかります。
ちなみに、この白鳥の湖は、ルドルフ・ヌレエフという20世紀の伝説的なダンサーが演出したバージョンです。
ルドルフ・ヌレエフは、”バレエをやっている人ならば必ず知っている”というほどのバレエ界の偉人です。
旧ソ連の出身で、圧倒的な才能で国中だけでなく世界的に大人気になった名ダンサーですが、政府から警戒されていたために祖国を亡命しました。
その後は世界を渡り歩き、パリ・オペラ座の芸術監督を務めていたこともあった世紀のダンサーです。後進の名ダンサーも数多く育てています。
白鳥の湖には、いろんな演出家・振付家が改変したり独自の解釈を付け加えたりしていて、様々なバージョンがあります。
なので、見比べて違いを楽しむのもマニアな愉しみ方です。
ヌレエフ版はクラシカルな定番の「白鳥の湖」らしい美しさを十分に楽しめます。なんといっても、パリ・オペラ座のクオリティ。主役だけでなくどのダンサーも見応えがあります。第3幕のグラン・パ・ド・ドゥでは、王子と黒鳥(オディール)だけでなくロットバルトの技巧たっぷりな演目も織り込まれていて、卓越したテクニックを持っていたヌレエフならではの演出です。
(この後にマシュー・ボーン版などをみると、現代的で個性の強い演出の違いにびっくりすることでしょう。)