バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

バレエヨガインストラクター三科絵理

同じポーズも表現したいものによって〈意味〉が変わる

バレエでは、基本のポーズを覚えていきますよね。たとえば、アラベスク。軸足がこっちで、動作脚はこんな風にあげて…というように、まずは誰でも形を覚えます。

でも、いろんな踊りを踊っていくと…

アラベスクは、その音楽ごと・作品ごとに、いろんな感情を乗せていきます。

それは、アラベスクのポーズに限ったことではなく、あらゆる動きに通じます。

基本の形を身につけていくのは、もちろん大事。

そして、もっと大事なのは、「どんなアラベスクをしたいのか?」「ここでアラベスクをする意味とは?」

たとえ理想の高さまで脚が上がらなくても、何を表現したいのか?を自分にたずねていく。

それが、ダンスの表現になっていきます。

振付は自分で勝手に変えていくことはできないですが、「振付家はどうしてここにアラベスクを入れたのかな?どんなふうに見せたいのかな?」というところまで、自分の感性で広げて、深めていくのです。

ダンスに対しては、他の芸術分野などと同じようにいろんな主義・思想がありますが、「無駄のないステップがない」というレベルまで、ひとつひとつのステップに意味をもたらしていく… という考え方があります。

たとえば、ジョン・ノイマイヤーという振付家の作品を観ていると、それを体感します。「シンプルであること」を大事にした作品演出をしていて、「すべてのステップに意味がある」と言います。ダンサーたちもその思考と感性を理解して踊っています。「ダンスは、演技することではない。ダンスは、存在(Being)なのだ」

そういった作品を舞台で観ると、「瞬きするのがもったいない」と思うほど、どの瞬間も見逃せなくなってしまいます。私はそういった作品が好きです。

同じポーズの形でも、踊るものによって心の込め方が違う… ダンスのステキな醍醐味だと思いませんか。