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歓喜の歌 詩人シラーの人生

星彩歌の音楽ベートーヴェン交響曲第九番は、合唱の歌詞の題材になったヒントがありました。それは、詩人シラーが書いた《歓喜の歌》でした。

ドイツの詩人でありフランス革命期から以降、フランスでも熱狂的に愛されたというシラーについて紹介します。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%25E3%2583%2595%25E3%2582%25A1%25E3%2582%25A4%25E3%2583%25AB:Gerhard_von_K%25C3%25BCgelgen_001.jpg

ヨーハン・クリストフ・フリードリヒ・フォン・シラー(1759年〜1805年)はドイツの詩人で、歴史家、劇作家としても活躍しましたが、教育は医師として育ったエリートです。父親も医師でした。

ドイツの作家ゲーテと友人でした。

シラーは、ベートーヴェンよりも11歳年上(1770年〜1827年)でした。ベートーヴェンは若い頃にシラーの歓喜の歌と出会い、約40年後に交響曲第九番を作曲します。

ベートーヴェン

シラーの生まれ

父が軍医の家に生まれ、賢い子どもであったのでラテン語学校に入学します。成績が優秀であったことから当世の領主カール・オイゲンに見込まれて、カール学校に引き抜かれ医師になる勉強をします。神学校にも入れるような生徒だったということで、当時は子供のうちから優等生エリートであったようです。

領主のカール・オイゲンは当時権力を奮って恐れられていた人物で、シラーもびくびくしながらもエリートの生徒として上層階級の社会に連れ出されて、子供ながらに冷静に見ながら育ったと言います。この経験が後のシラーの表現に表れているようです。

戯曲『群盗』が大人気に

群盗 - Wikipedia

1781年にシラーは匿名で『群盗』を発表しました。戯曲として上演されると、大ヒットを飛ばし熱狂的なファンが誕生しました。

シュツットガルトで当時軍医として勤務していたころです。

ただ残念なことに、圧倒的な熱狂をうんだことで話題になり、社会革命的な性格と宗教解釈の観点から、当局に警戒され、シラーは亡命せざるを得なくなってしまいます。

後に音楽界で著名となる友人アンドレアス・シュトライヒャーと亡命します。シュトライヒャーはピアノで名を上げ、後にベートーヴェンとも交流があり、シラーとベートーヴェンを直接知るキーマンです。

酒が大好きで、ひらめくと書かずにいられない

医師で優等生というと真面目な堅物にも思うかもしれませんが、お酒が大好きであったようです。

そして亡命しようとしているその直前に荷物をまとめて準備をという瞬間にもひらめきが生まれてしまい、荷物の前に書き綴っていたという逸話もあります。

ひらめくと書かずにいられない。そして酒呑みで力強い精神。でも見た目はやさしそうな、亡命するころには弱々しくもあった青年でした。お金持ちでもなかったようで、仕事はありましたが亡命するころにはほとんど一文無しに近く、やはり当時の社会構造の影響もあったのではないでしょうか。

ケルナーと仲間たちとの出会い

苦労していたシラーでしたが、クリスティアン・ケルナーという詩や音楽が好きな支援家と出会うことができ、運命を切り拓いていきました。無償で生活面を支援してもらいながら、ケルナーもシラーのことを大切な友として生涯絆は続きました。そしてシラーは《歓喜の歌》An die Freudeを残すことができたのです。

ベートーヴェンの若い頃にはシラーは有名だった

ベートーヴェンは若いころにシラーの戯曲を観ていたか、あるいは読書サークルで触れてシラーに感銘を受けていたようです。

ただ、この時代はフランスから始まっている革命運動に対しての警戒心が強く、ベートーヴェンが作曲したいと思えるころにはシラーの作品は禁止されていました。ナショナリズムを煽り国を混乱させると思われる作品は禁止され、芸術家も言動に気を付けなれば逮捕されてしまう時代でした。

それでも人々の讃歌として愛され続けていたシラーの歓喜の歌は歌い古されていたほどでしたが、ベートーヴェンの胸に生き続け、第九番目の交響曲として世の中に姿を現したのです。

そんな歴史の深い作品につながるクリムト の《ベートーヴェン・フリーズ》を題材にした星彩歌、みなさんとバレエ作品としてチャレンジできたことはとても嬉しいです。

社会革命を経て現代の世の中があり、歴史観をつかむにも不可欠の変遷があります。

知識や教養も深みを増しながら、踊りの表現を楽しめるのは幸せなことです。

バレエにクリムト選ぶことでここまで発展していくとは、選んだ時以上に深い世界となりました!

またさまざまな逸話もピックアップしていきますね。