「タータンって、チェック柄のこと?」と思ったことはありますか?
洋服やテキスタイルの柄として、日本でも浸透しているタータン。
さまざまな色でかわいいですよね。
歴史的にはモードのドレスにも使われていたりします。
https://www.cosmetic-culture.po-holdings.co.jp/culture/exhibition/
バレエダンサーにとっては、タータンというと「ラ・シルフィードのあのスコットランドの衣装!」というイメージがあります。
でも「具体的に何なのか?由緒正しき伝統があると聞くけど、どういうこと?」と、昔からなんとなく興味がありました。
潜在的に眠っていた疑問を掻き立てるように、私の目に飛び込んできた「タータン展」のポスター。
こ、これは…!謎がとけそうだ…
本場スコットランドより本格的な展示が2020年に日本で開催されていたので、昨年でしたが見に行ってきました。
(写真撮影可能エリア)ソファとカーペットもさりげなくきちんと柄合わせされていますね。
日本では「タータン・チェック」という呼び名もありますが、英語圏ではタータンとチェックは別物の定義になっているそうです。
特に正統なのは「タータン」で、正装として重要な意味を持ちます。
ヘンリー・マクベス‐レイバーン(ジョージ・サンダース原画)「第5代ゴードン公爵」
では、タータンの定義とは?
スコットランド・タータン登記所の見解として、
ー2色以上の色をつかい、それらの糸が直角に交わる格子柄である
ーたて糸とよこ糸につかう糸の色と数が同じで、基本パターンが繰り返される(原則としては上下左右対処模様になるが、一部例外もある)
という上記の条件を満たしたデザインであることが記載されている。
15ページより
なんとスコットランドにはタータンの柄についての登記所があり、タータンであることの定義がきっちり決められているのです。
ここまできっちり決まっているとは、日本人はなかなか知らないですよね。
この条件に満たない格子柄は、チェックになるのだそう。
そして、タータンは長い歴史をもちますが、氏族、家族、軍隊、王室、組織、企業などの単位で身につけられるタータン・販促用に登記したタータンが存在しているのです。
関連リンク
The place for tartan and highland dress | Scottish Tartans Authority
The Scottish Register of Tartans
たとえば
Tartan Name Princess Elizabeth
エリザベス女王(王室カテゴリ)
Tartan Name City of Edinburgh (2001)
エディンバラ(地域カテゴリ)
など。
そして、日本では伊勢丹も登録しています!
Tartan Name MacMillan/Isetan
その他、トンボ学生服、Afternoon Tea LIVING、サンリオ、ブルドッグソース株式会社などもスコットランド・タータン登記所にオリジナルタータンを登録しているのだそう。
「アフタヌーン・ドレス」1865年頃
色や配色をきっちり管理されていて、用途に合わせて、色調やセットの比率を変えるのだそうです。似ているようで違う、秩序立てて意味を込めたオリジナルのデザインが作れるのがすごいなぁと感心しました。
デザインの構成も、織物の製造も、奥が深い!
日本では古くから格子柄はありますが,似て非なる正統派タータンの世界にしびれました!
普遍的な柄だからこそ、タータンはこれからもずっと生き残っていくデザインですよね。
アレクサンダー・マックイーン 2017年
タータン展では、現代のデザイナーさん方の作品実物もありました。
その中でも Joyce Young ジョイス・ヤングさん(OBE 大英帝国四等勲爵士)の作品は、曲線的なドレスにタータンを配していて興味深かったです。
リボンの柄合わせまでされていてすごい…
タータンがここまで奥深いとは思っていなかったのですが、日本でいうなら着物のように歴史とアイデンティティーの宿るものなのだと勉強になりました。
みなさんも気になる方は書籍でもご覧になってみてください。