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ロンドンでロイヤルバレエ鑑賞記(2)バックステージツアー ヴィクトリア様式建築と衣装アトリエを見学

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英国ロイヤル・オペラ・ハウスでのバレエ鑑賞記2 今回は、バックステージツアー Backstage Tour についてです。

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旅の行程を決めてバレエ鑑賞チケットの予約ができ、公演を見られるという安心感とウキウキに包まれたときでした。

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(実際にこのあと見ることになる生舞台…)

公式サイトをよく読んでいくと、バックステージツアーがあることに気付きました。なんと!これは絶対に参加したい!時間は45分のツアーです。

http://www.roh.org.uk/visit/tours

(現在はコロナ禍で募集停止)

公式サイトより

https://www.roh.org.uk/events/mw8z3

連日あり、しかも午前と午後の数回行われているようで、しかも、公演当日の午前中にも空き枠があることを発見。

観光客でも気軽に劇場を見学できるツアーとして、恒例に開催しているそうです。

つまりバレエ公演を見なくても、劇場の中に入って見学でき、劇場の裏の観客が入れないゾーンまで案内してくれる素敵なイベント!

予約制でチケットを購入しておく必要があります。1人£15 (日本円で2100円くらい)でした。

こちらも定員があり半分ほど満員になり始めていたので、あわてて予約。

公演当日の10:30〜11:45の回に予約しました。午後のツアーもあったのですが、公演を見に行くお洒落着(スーツ)を1日着るのは疲れてしまうかなと夫と相談し、観光客向けのツアーなのでカジュアルな格好で参加してホテルで午後休憩し、ディナーの夕方にまたスーツで戻ろうという計画にしました。(これはのちのち正解でした)

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そして、当日。

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ロンドン滞在中のホテルから徒歩4分の地下鉄ピカデリー線 Piccadilly Line のグロスターロード駅 Gloucester Road Station に乗って、ロイヤル・オペラ・ハウスのあるコヴェントガーデン駅 Covent Garden Station へ移動しました。7駅で12分で、乗り換えなしだったのがよかったです。(ホテルも立地がよかったのでまた書きます)

【ロンドン】Ashburn Hotel 駅近&かわいいお部屋のホテル(ケンジントン地区) - バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

地下鉄は路線が多いので、ホームを間違えないことが大事。スムーズに来られてよかったのですが、外国の地下鉄はやっぱり緊張します。平日の朝だったので、通勤の方はサバサバと歩いていて、移動にもたつくとにらまれるのではないか…迷惑をかけないように…と気を遣いました。(エレベーターでもみんな急いでいるピリピリとした感じ)夫と二人でいましたし、危ない目にはあいませんでしたが、背が低い私は日本の治安の良さに比べるとロンドンでもやや緊張します。

Under Ground のCovent Gardenのマーク。

夢に見たこの駅名を見るだけで、もうドキドキが止まりませんでした!

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駅からすぐにポール・スミスやテッドベイカー、シャネル、オメガなど有名ブランド、化粧品、時計、雑貨、Apple Storeなどまでなんでもあるようなショッピング街が広がって、その目の前にロイヤル・オペラ・ハウスが歴史的建造物の代表として建っています。

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朝ツアーに遅れないように早めに行ったら、コヴェントガーデン駅から徒歩2分の劇場まで近すぎて、9:50くらいに着いてしまいました。まだロイヤル・オペラ・ハウスが開いていなかった(笑)

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コヴェントガーデン駅を出ると途端にライオンキングのミュージカルの看板あり、ブリティッシュパブあり、みんなが遊びに来る街だとすぐにわかりました。

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ロイヤル・オペラ・ハウスのすぐ裏は百貨店のようなブティックに囲まれています。

様子を見ている間に、ようやく10:00にオープン。

警備員の方が素敵なジェントルマンで、優雅で頼もしくかっこいい仕草で気持ちよく出迎えてくださいました。

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入った途端に目についた柱、こんなところにもバレリーナがいるのですよ!

まずは受付をします。コートなどを預けるクロークで e ticketを見せて参加証をもらい、ひもつきのカードを首からさげておきます。そして、ロビーの中で待っていてくださいと言われました。

この方はフレンドリーな女性で、私が楽しみにしている気持ちを盛り上げてくれて、ジョークもまじえる気さくな方で、劇場=堅いの印象ががらりと変わりました(笑)。

「素敵なコートですね。ちょっと拝借しちゃおうかななんて…!冗談です!!今日はたっぷり楽しんでくださいね!」

日本だとこんなに気さくなことはなかなか出会えませんね♪

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ロビーには、オペラ椿姫の衣装が展示されていました。

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オペラもいつかここで観ることができたらなぁと憧れますね。ロイヤルのオペラは、シネマで魔笛やカルメンを観たことがあります。

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1回のツアーの参加者は15名〜20名いかないぐらいだったかと記憶しています。意外とてきぱき動きながら通路や階段、エレベーターを移動するので、みんなで移動しながらも、お互い目を配りつつ、はぐれない程度の人数でした。

まずはガイドさんの女性がみんなを集めて、挨拶と注意事項(写真は撮らない、公演準備作業をじゃましないように静かに聞く、質問タイムあり)などの説明がありました。ガイドさんもスタッフさんもみんな丁寧でフレンドリーなのも、統一感がありました。

なのでバックステージツアーでは写真が撮れなかったため、覚えていることを書いておきますね。

参加している方々は国籍は幅広い感じで、年代は20〜60代くらいの男女半々ぐらい。落ち着いた雰囲気の人ばかりで安心しました。

そして、いざ客席の中へ入っていきます。

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私たちのグループは最上階の客席までエレベーターで上がり、席に座らせてもらいました。

ロイヤル・オペラ・ハウスはヴィクトリア様式の建築で、大英帝国の歴史ある風格が残っています。ドーム型の形が特徴で、Paul Hamlyn Hall というアーチ型の建築や、まさに天井の丸いドームの下が客席の階層になっていて、現代に建つ劇場などとは構造が違います。

最上階は天井のドームに近いので、特殊な劇場構造も間近で見ることができ、ステージを向けば全体を見下ろすことができました。照明やスタッフの入るような部屋も現代ならば設計の段階でつけるでしょうが、18世紀から建つこちらの劇場はまだ現代のような電化された技術がないころでしたので、その歴史的建物を今に生かしながらも見た目の美しさも損なわないよう工夫しているのだそうです。

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その工夫のひとつが、天井の機構です。開演準備までは閉まって正円の模様を描いていた天井が、開場して開演準備に入ると開きます。客席フロア内に設置されていない舞台設備用の機能をこうしたところに作っているのだそうです。

最上階から見ると、客席内にあるキノコ型のような照明がオレンジかかった光でぐるりと明るく照らし、客席全体を見回して丸くステージを囲んでいる形が印象的でした。こんなに丸いのね!と。

どこの席からも邪魔にならずにみやすいように設計されているのがよく分かりました。

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(一階から見上げたイメージ)

他のツアーグループは、別の階の客席に案内されていたようなので、同時に15分刻みなどで回していてその日ごとで違うエリアにも行けるかもしれません。(また行きたい!)

ステージ上では、別の公演の舞台美術リハーサルをしていました。装置と照明もあわせて分刻みで動いていそうな緊迫感がありました。ロイヤル・オペラ・ハウスほどの公演数になると、連日公演がある上に新作も繰り出しているので、舞台がある日でも毎日ステージ上ではこうした作業が行われているのだそうです。だから年間に新作を出しつつ壮大な古典の新演出なども挑戦できるのだなと、劇場マネジメントとしても大変参考になります。

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(ロイヤル・オペラ・ハウス Royal Opera House 建築の模型)

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次に、もっと客席よりも高いエリアにエレベーターで上がり、たどりついた部屋は舞台衣装の生地を染色・プリントするラボのような部屋。

実際の工房がこんな天井に広がっているとは、驚きました。

ドーム型になっているので少し部屋の天井は低くなっているように感じましたが、本格的なアトリエ・作業場でした。

特殊な建造になっているので、無駄がないよう工夫して部屋が配置されているんだそうです。

衣装の生地をプリントしている工程を説明してくださいました。

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(代わりに一般の展示スペースからイメージ)

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バレエだと動きが激しいにもかかわらず、貴族風のジャケットなども制作しなければなりません。

そんなときにジャケットらしくウールの素材を使うと、実際には汗に弱いため、代わりにそれらしく見えるように見た目を色や模様などで変えて工夫するのだそうです。

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染料の配合のレシピもきちんと記録されていて、サンプルもびっしりと詰まっていました。ロイヤル・バレエもオペラも、衣装は大変に豪華ですし、ファッションデザイナーとコラボする取り組みも多いので、その秘密を垣間見れた気がしました。緻密な労力の賜物です。

例えばこちらのクリストファー・ウィールドン振付のWithin The Golden Hourは、有名デザイナー ジャスパー・コンランとのコラボレーションで制作しています。


Christopher Wheeldon and Jasper Conran on staging Within The Golden Hour (The Royal Ballet)

コスチュームとしてもファッション性が高く、しかもアスリート並の運動に耐える構造を生み出すというのは素晴らしいことです。それだけの研究開発と投資がかけられないと成り立ちません。

ほかにも工房の部屋がたくさん並んでいたのが印象的で、外から見ても気がつかないドーム型の秘密でした。

そして、今度は客席側の建物からぐるりと回って舞台機構側の建物へ行きました。

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Paul hamlyn hall を上から眺めたところ。のちのディナーに行くレストランです。

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途中の通り道になったPiazza Restaurant やカフェテリアは、舞台チケットを持っていなくても立ち寄ることができるスポットです。こうしてバレエコスチューム展示を見ることもできます。

都心の喧騒から離れた静かな空間なので、「Hidden London ここは秘密のロンドンなんですよ〜みなさんもまた来てくださいね」と言っておられました。すてきです。

ここまでは客席側に近いゾーンでしたが、次は観客は立ち入ることのできない舞台・リハーサルスタジオなどのあるエリアへ。

リハーサルスタジオで、カンパニーのクラスレッスンが行われていました!プリンシパルやソリストの方々がいっぱい!その日に主役の方はおられませんでしたが、サラ・ラムさんや平野さんなど著名なダンサーさんの真剣なレッスン風景をガラス越しに静かに拝見しました。その日のコンディションと真剣に向き合う時間なのでちらりとでものぞかせていただき幸運だし申し訳ないような(笑)そんな気持ちになりました。

そして、最後に舞台袖を上から覗ける通路へ行きました。通路といってもガラス越しにウィングを見られて、大きな幕や舞台装置が配置されているのを見られました。シネマ・ライブビューイングでよくダーシー・バッセルさんらMCの方々が袖から配信されているのもこのあたりなのでしょう。

公演の数が多い劇場ですので、公演日でも別公演の美術リハーサルを並行するくらいにスケジュールが過密な上、ステージ周辺の廊下はうかうかと見学者を入れられないはず。でもその合間をぬって毎日何回も観光ツアーまで組んでいる。どうやっているんだろうと気になっていたところでした。

劇場内に製作アトリエもあり、みなさんがその日働いている現場をのぞけるというのは面白いです。だからスケジュール詰まっていても見応えある観光ツアーができるんだなぁ、と感心しました。

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あっという間にツアーは終了。とはいえ、45分だったと思えないほど濃厚な時間でもありました。時刻は11:45 。ランチを食べたいけれどもその前にロイヤル・オペラ・ハウス内のスーベニアショップでお土産を見るべく、立ち寄っていきました(たくさん見るものが多くて時間かかりました)。

ポストカード、ノートや小物、エプロン、コップなどのお土産や、Tシャツ、ウィンドブレーカー、DVDや本、バッグなどもありましたよ。

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新演出の白鳥の湖の衣装デザイン画や、伝説のバレリーナマーゴット・フォンテーンのアイテムなどをセレクトしていました。

ロイヤル・オペラ・ハウスのバックステージツアーは、バレエやオペラのことが大好きな人はもちろんのこと、なにも鑑賞したことがないという人でも気軽に裏側や制作アトリエを見学できて大変楽しいツアーだと思います。

コヴェントガーデン付近でちょっと時間がありそう、というときには、バレエを見るまででなくとも、ぜひ英国らしさをたっぷり感じられるヴィクトリア様式建築をのぞいてみるつもりで立ち寄ってみるのをおすすめします。(バックステージツアーは要予約なので、あらかじめチェックしてくださいね)

次は、公演前の贅沢なプレ・ステージ・ダイニングという、ロイヤル・オペラ・ハウス内のレストラン Paul Hamlyn Hall Balconies Restaurant をレビューします。バレエ公演チケットを購入しないと予約ができない、ファン必見のレストランです。

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