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ロミオとジュリエット-運命の出会いはどんな感じ?戯曲を読んでバレエにふれよう

《ロミオとジュリエット》の名シーンである二人の出会いの場面を本で読んだことはありますか?

バレエ作品では仮面舞踏会の運命的な出会いに、戯曲の通り二人が口づけをする演技も行われることが多いです。私が創作した《ジュリエットのヴァリエーション》という作品でも、ジュリエットの恋心を理解するために何度も読んでイメージを広げた重要なシーンです。

ロミオはジュリエットと出会う前、ロザラインという女性に恋していました。そのロザラインが出席する仮面舞踏会に変装して忍び込んだところに、ジュリエットと出会います。

ロミオの家とジュリエットの家はヴェローナの町の貴族の家でしたが、敵同士で対立しあっています。でも、二人の運命の出会いのときには、お互いに素性がわからないまま出会ってしまいました。

ロミオは聖地エルサレムに巡礼する人の姿で変装をしており、仮面をかぶったままです。

仮面舞踏会で見かけた美しいジュリエットに話しかけたくなります。ジュリエットの手を取り、その手を「神の宮(御堂:みどう)」と呼んでこのように話しかけました。

ロミオ「わたしはこの神の宮にもうでる巡礼です。このように手を取ることが宮をけがすことになるなら、くちづけして罪のゆるしをこいたいと思います。」

ジュリエット「巡礼さん。聖人にも手はございましょう。巡礼は罪のゆるしをもとめて、その手にふれることをゆるされます。でもくちづけはいけませんわ。」

ロミオ「聖人にもくちびるはありましょう。もちろん、巡礼にも。」

ジュリエット「ええ、でもそれはいのりの言葉をつぶやくために、用いるものではございましょう?」

ロミオ「ではどうか、わたしのいのりをお聞きください。さもないとわたしの胸は、はりさけてしまいます。」

 P13より引用

この場面は訳が難しいとわかりにくいのですが、この本では児童向けにわかりやすい日本語の抄訳(原文のところどころを抜き出して翻訳すること)がなされています。

ロミオは巡礼者のようにジュリエットに近づき、ジュリエットの手と唇にふれることで罪を清めてもらい祈りになるのだと言い、二度接吻をするのです。

読み手にとってはいろんな感想をもつ場面かと思います。

ジュリエットとしても、原著に近い訳ではもう少し詳細があり、戸惑いも見せています。

急に目の前に現れたロミオに手を取られてためらうジュリエットの言葉から。

ジュリエット「もともと聖者の御手は、巡礼たちが手をふれるためのもの、そして掌と掌と、それをあわせるのが巡礼たちの接吻じゃございません?」

ロミオ「だが、唇は聖者にもあり、巡礼にもありましょう。」

ジュリエット「でもね、巡礼様、 それはお祈りに使おうための唇ですわ。」

ロミオ「おお、では手にお許しになることなら、唇にもお許し下さいませんか?」(略)

ジュリエット「いいえ、聖者の心は動きませんわ、たとえ祈りにはほだされても。」

ロミオ「では、動かないで下さい、祈りの効し(しるし)だけをいただく間。(接吻する)」

ロミオとジュリエット (新潮文庫) 戯曲 P62〜63 (第一幕 第五場)より一部引用

このようにして、ロミオとジュリエットの名場面が描かれています。

バレエではダンサーたちの美しい踊りに気を取られて心情描写の細やかさを追いかけていく感じになってしまうこともあるかもしれませんが、戯曲でどのようになっているかを理解しておくと鑑賞を深く味わえるようになります。

また、ロミオのセリフ、ジュリエットのセリフ、それぞれからもキャラクター像が想像の中で広がります。バレエで見ていたイメージと、戯曲で読んでみるイメージでは、言葉の表現によって奥行きが出てくるかもしれません。「ああ、こういう人柄もあったのか」などの気づきがあったり、「そういうふうには見えていなかった」などの発見もまた面白いものです。

気になる方は本でも手に取ってみていただいたり、ロミオとジュリエットの作品に触れる時に参考になりましたら幸いです。

私のヴァリエーションレッスンでは、「ロミオとジュリエット」の《ジュリエットのヴァリエーション》という演目もオリジナルの振り付けでレッスン開催します。

5/14(日)《ロミオとジュリエット》ヴァリエーションレッスン

http://ptix.at/9WMDVs

ジュリエットを創作するにあたって、私なりに解釈したポイントをYouTubeでお話していますので、そちらもあわせてご覧いただけましたら嬉しいです。


www.youtube.com

ジュリエットの愛の大きさを海に例えるシーン

「気前は大海に負けないほど限りないつもり、そして私の愛も大海とともに深いはず。」

ジュリエットの愛の言葉

「恋の舞台とやらの夜の闇よ、隙なく帷をめぐらせておくれ、彷徨う人たちの目を蔽って、私のあのロミオ様が、人に知られず、見咎められず、一思いにこの腕の中に飛び込んで来て下さるように。」

戯曲の中にはたくさんの素敵な言葉が詰まっていますが、一度にご紹介しきれないので、また機会を見つけてシェアいたします!

※ルーヴル美術館展 愛を描く にて見つけたロミオとジュリエットの絵画(テオドール・シャセリオー作)

ロミオとジュリエット ちょうど5月に新しいバレエ作品でロミオとジュリエットのレッスンをやるところに、タイムリーです。ロマン派の時代なのだと思いますので、描き方のタッチがサッサッとした筆の運びでそれがまた幻想的に見える気もします。(スケッチなのだそうです)

ルーヴル美術館展 愛を描く 観てきました - バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ