2022年11月に東京上野の東京文化会館でスーパースター・ガラ2022のAプロ、Bプロ公演を鑑賞しました。
海外各国からプリンシパルダンサーが結集していた豪華なキャスティングでした。
英国ロイヤルバレエのマリアネラ・ヌニェスさん&ワディム・ムンタギロフさんはクラシック作品のパドドゥで古典の王道をしっかり押さえてくださいました。
白鳥の湖より 黒鳥のパドドゥ
海賊よりパドドゥ
ドン・キホーテより第3幕のパドドゥ
バレエが好きな人には大好物ばかりのパドドゥで、こんなに披露してくれてありがとう!!という気持ちになります。(客席みなの一体感がありました)
演目数が多かったので、公式からプログラム表を引用させていただきます。
Aプロ
「白鳥の湖」より “黒鳥のパ・ド・ドゥ” 振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・I・チャイコフスキー マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ
「月の光」<日本初演> 振付:アラスター・マリオット 音楽:クロード・ドビュッシー マチュー・ガニオ
「スパルタクス」 振付:レオニード・ヤコブソン 音楽:アラム・ハチャトゥリアン ダリア・パブレンコ、ダニーラ・コルスンツェフ
「Ashes」 振付:ジェイソン・キッテルバーガー 音楽:ゴラン・グレゴヴィッチ ナタリア・オシポワ
「MEDEA MOTHER」 振付:パトリック・ド・バナ 音楽:マックス・リヒター エレナ・マルティン、パトリック・ド・バナ
「インポッシブル・ヒューマン」 振付:アーサー・ピタ 音楽:ベヴ・リー・ハーリング エドワード・ワトソン
「Árbakkinn」<日本初演> 振付:シモーネ・ヴァラストロ 音楽:オーラヴル・アルナルズ エレオノラ・アバニャート、マニュエル・ルグリ
「瀕死の白鳥」 振付:ミハイル・フォーキン 音楽:カミーユ・サン=サーンス スヴェトラーナ・ザハロワ 金木博幸(チェロ) 中村愛(ハープ)
休 憩
「シェヘラザード」 振付:ミハイル・フォーキン 音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ ダリア・パブレンコ、ダニーラ・コルスンツェフ
「Limbaé」 振付:エレナ・マルティン 音楽:アラ・マルキアン エレナ・マルティン
「病める薔薇」 振付:ローラン・プティ 音楽:グスタフ・マーラー エレオノラ・アバニャート、マチュー・ガニオ
「Ambar」<日本初演> 振付:ウェイン・マクレガー 音楽:ニルス・フラーム ナタリア・オシポワ、エドワード・ワトソン
「Digital Love」 振付:パトリック・ド・バナ 音楽:ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル スヴェトラーナ・ザハロワ、パトリック・ド・バナ
「ドン・キホーテ」 振付:マリウス・プティパ 音楽:レオン・ミンクス マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ
「The Picture of…」 <新バージョン> 振付:パトリック・
Bプロ
「海賊」 振付:マリウス・プティパ 音楽:リッカルド・ドリゴ マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ
「インポッシブル・ヒューマン」<日本初演> 振付:アーサー・ピタ 音楽:ベヴ・リー・ハーリング エドワード・ワトソン
「病める薔薇」 振付:ローラン・プティ 音楽:グスタフ・マーラー エレオノラ・アバニャート、マチュー・ガニオ
「Russkaya Solo」 振付:カシヤン・ゴレイゾフスキー 音楽:ピョートル・I・チャイコフスキー ダリア・パブレンコ
「Wind and Clouds」 <世界初演> 振付:パトリック・ド・バナ 音楽:エツィオ・ボッソ エレナ・マルティン、パトリック・ド・バナ
「Ashes」 振付:ジェイソン・キッテルバーガー 音楽:ゴラン・グレゴヴィッチ ナタリア・オシポワ
「Árbakkinn」<日本初演> 振付:シモーネ・ヴァラストロ 音楽:オーラヴル・アルナルズ エレオノラ・アバニャート、マニュエル・ルグリ
「ジュエルズ」より ダイヤモンド 振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・I・チャイコフスキー スヴェトラーナ・ザハロワ、ダニーラ・コルスンツェフ
休 憩
「メディア」 振付:ホセ・グラネーロ 音楽:マノロ・サンルーカル エレナ・マルティン
「シェヘラザード」 振付:ミハイル・フォーキン 音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ ダリア・パブレンコ、ダニーラ・コルスンツェフ
「Somebody Who Loves Me」 <世界初演> 振付:アーサー・ピタ 音楽:ジョージ・メリル、シャノン・ルビカン ナタリア・オシポワ、エドワード・ワトソン
「ランデヴー」 振付:ローラン・プティ 音楽:ジョゼフ・コスマ エレオノラ・アバニャート、マチュー・ガニオ
「Digital Love」 振付:パトリック・ド・バナ 音楽:ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル スヴェトラーナ・ザハロワ、パトリック・ド・バナ
「ドン・キホーテ」 振付:マリウス・プティパ 音楽:レオン・ミンクス マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ
「The Picture of…」 <新バージョン> 振付:パトリック・ド・バナ 音楽:ヘンリー・パーセル マニュエル・ ルグリ
Super Stars Gala スーパースター・ガラ | 世界トップダンサー、夢の饗宴 !!
久しぶりにスヴェトラーナ・ザハロワさんの踊りも見れました。ロシアとウクライナ情勢が急変してしまってから心配になりますが、瀕死の白鳥でいつもと変わらぬ美しさにほっとしました。Digital Loveでは無垢な生まれたての命のような初々しさと、操られているような儚さが共存していました。ダイヤモンドのパドドゥでは不動の宝石そのものでした。これをガラ公演に持ってくるところもまた痺れます。
英国ロイヤルバレエからのナタリア・オシポワさん、エドワード・ワトソンさんのモダンな作品もそれぞれ今見られてよかったなぁと思えました。特に、Somebody Who Loves Meは意表を突かれて音楽と衣装のポップな世界がなんとも「令和」な今を感じてしまいました。閉塞感のある世の中に斜め上をいくカッコ良さがありました!
「病める薔薇」のローラン・プティ作品を踊ったエレオノラ・アバニャートさん、マチュー・ガニオさんのペアも一瞬一瞬が愛おしかったです。マーラーの好きな音楽でしたので、より感情移入でき、切ない運命を受けていれて全うしていく世界にぐっと引き込まれました。
スパルタクスとシェヘラザードで個性の強いクラシックバレエを披露したダリア・パブレンコさん、ダニーラ・コルスンツェフさんも、素晴らしかったです。ダンサーが客に見られているのではなく、逆に観客の方がダンサーに見られているのではないかと思うくらいの引きの強さ。そして、作品がもつロシアスタイルの原点を辿る気持ちになりました。
エレナ・マルティンさんはスペイン国立バレエのお国柄を生かした独特の香りを繰り広げていました。スペインのバレエはフラメンコとバレエが融合したスタイルで、前にバレエ団の来日も見た時に情熱が結集していたのを思い出しました。パトリック・ド・バナさんはマニュエル・ルグリさんの作品も振付をされていて、本公演で一番振付をされていました。
ルグリさんが伸び伸びとThe Picture of…を踊っておられたのが印象的でした。日本でも名高いオペラ座のエトワールとして愛されてきた方ですが、オペラ座を引退して芸術監督業をこなしている今もまた舞台上で披露してもらえるというのは、ファンにとってうれしいことです。
パトリック・ド・バナさんは前にWind Games (東京シティバレエでの振付作品)を観てから気になっていた振付家さんで、初めてご本人の動きを見て、身体言語のスタイルを垣間見た気がして、納得するような感覚がありました。
今年は海外のバレエ公演が来日する機会が戻って来つつあり、2020,2021年とはずいぶんと差を感じます。それでもまだパンデミック前の水準では無いのでしょう。
貴重な機会は一回一回を大切にしていしたいとあらためて感じました。