「ヨガ」という言葉が生まれるまで
ヨガの教えは、はじめからきちんとテキストに書かれている訳ではありません。 古代のインドの賢者たちが、修行によって体得した知恵が讃歌にのせて伝授されてきました。
「ヨガ」はサンスクリット語
ヨガは、英語表記で "YOGA" と書きますが、もともとはインドのサンスクリット語です。 ヨガの様々な古典文献は、サンスクリット語で書かれています。
サンスクリット語というと、日本人にとってはあまりなじみがない言葉に思えるかもしれません。
文字体がアルファベットとは違うので、より難しく感じてしまうかもしれませんね。
実際に書いてみると、可愛く思えてきたりもします。
「ヨガ」と「ヨーガ」の違い
もともと、サンスクリット語では、母音のOを伸ばして発音します。本来は「ヨーガ」と読みます。 *1
インダス文明遺跡の印章
前回の記事でも紹介したように、インダス文明の遺跡から、ヨガのように坐って瞑想をしている印章が発見されています。
インダス文明は、インダス文字が使われていましたが、現在の歴史学では未解読な文字です。 そのため、印章に文字が書かれていますが、ヨガを示しているかはわかりません。 また、ヨガという言葉があったかどうかも、定かではないのです。 インダス文明は、約5000年前のことでした。
Indus Valley Civilization - Wikipedia, the free encyclopediaより
「ヨガ」という言葉が初めて書物に登場する
やがて、インダス文明初期よりも3000年の時が経ち、紀元前800年以降のことです。 ついに「ヨガ」という言葉が文字で登場します。インドで伝統的に伝授されてきた「讃歌」の中に出てくるのです。 *2
「ヨガ」の由来と意味
yoga の語源は、yuj という言葉で、「くびき」という意味です。 「くびき」とは、馬と馬車をつなぎとめておくために用いた道具です。 馬だけでなく、牛にも用いたり、また日本では、人力車や荷車をつなぎ止めるものも「くびき」と呼ぶようです。
「くびき」から「つなぐ」「調和する」
馬と馬車をつなぎとめるもの。その意味から派生して、ヨガには「つなぐ」という意味がつけられるようになりました。 現在では、そこから「調和する」という広義な意味も含まれています。
ヨガは、何と何を「つなぐ」のか?
このように、ヨガは「つなぐ」という意味です。 あまり知られていないことですが、ヨガ哲学を知る上では大切なことです。
では、何と何をつなぐのでしょうか。
それを考えるプロセスこそが、ヨガと向き合う道のりだと私自身は考えています。
まとめ
- 「ヨガ」はサンスクリット語から生まれた
- 「ヨガ」とは、「つなぐ」という意味を持っている
つづく。