バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

バレエヨガインストラクター三科絵理

バレエ舞台撮影の仕事

先週は、タラス・シェフチェンコ記念ウクライナ国立キエフ・バレエ団が来日され、東京公演を夫が撮影させていただきました!

パンフレットのポートレートで、グレー背景のダンサーさん達も撮影させていただきました。

夫はカメラやデザインも得意なので、いろんなご縁があって、舞台撮影の写真家としても活動しています。

いつかポートフォリオをまとめてサイトができたら、ぜひみなさんにもご覧いただきたいです。

キエフ・バレエ団の公演は、本当に素晴らしかったです。

東京での公演は子供向けという企画になっておりましたが、内容に関してはまさに本格的なロシアンスタイルの由緒あるキエフバレエ。ちなみにキエフのバレエ学校は世界で超有名なダンサー(スヴェトラーナ・ザハロワ、ウラジミール・マラーホフ、アリーナ・コジョカル、サラファーノフ等)を多数輩出しています。

今回はエレーナ・フィリピエワというキエフを代表する世界的バレリーナが率いて来日し、彼女の演じた「瀕死の白鳥」は、それはそれは稀有な美しさでした。

言葉にするのも野暮に思えますが…

ポールドブラの動線が、暗がりの舞台上に光の残像として浮かび、その瞬間瞬間が、命そのものでした。

命途絶えゆく白鳥の、まだ生きようとする切ない叫びが聞こえてくるようで。

儚いだけでない、最期まで生命力を宿し羽ばたく力強さ。

バレエを知る人ならば説明不要の名曲なんですが、ここまでのポールドブラの生命力は稀有だと感じました。

エレーナ・フィリピエワは、私が幼い頃からすでにダンスマガジンに華やかに登場していた憧れの存在です。こうした撮影の機会をいただけて、とっても感動です。舞台裏でも生き方から尊敬したくなる素晴らしい女性だと心から思いました。

ほかにも、キエフ・バレエの安定感は素晴らしく、連日旅公演が続いている中でも疲れを見せず、瞬間瞬間のポーズが本当にぶれません。(写真で見ても繰り返しが本当にブレないのです!)ロシア系メソッドの素晴らしさたるや…あらためて尊敬しました。

演目は、はじめにくるみ割り人形。花のワルツと、金平糖と王子のパドドゥ。チャイコフスキーの三大バレエの見所からスタート。

そして、人形の精というコミカルな演目。かわいい女の子と愉快なピエロの男性によるユーモアあるバレエ。

次に、エレーナ・フィリピエワの瀕死の白鳥。先にも書いた通り… 瞬きも惜しい時間。

一部の最後は、サタネラのパドドゥ。シャイターノワがとても愛くるしい女性でダイナミックなジャンプもデベロッペも本当に美しいです。相手のスハルコフとのパートナーシップも安定していました。サタネラのパドドゥを見られる機会は少ないので嬉しかったです。

二部は、白鳥の湖第一幕二場、白鳥と王子が出会う名場面から。オデットのカザチェンコは長身でポージングも完璧で気品高い白鳥そのもの。抜粋なのでアダージョと四羽の白鳥とコーダですが、それでも白鳥の魅力にうっとり酔いしれます。

次に、ウクライナの民族舞踊の作品であるゴパック。男性のソロ作品で、いかにも民族舞踊らしいダイナミックな超絶技巧が繰り広げられました。ロシア系ダンサーのガラ公演で見かける演目ですが、伝統の力強さを感じます!

そしてラストに、眠りの森の美女より第3幕。長靴をはいた猫、フロリナと青い鳥、赤ずきん、シンデレラ、リラの精、オーロラ姫と王子のグランパドドゥで締めくくりでした。どの男性ダンサーもジャンプが伸びやかで特に高いです。女性ダンサーはさすが脚の上げる角度が本当に美しい。脚の角度は流派によってかなり違いの出るところですが、ダイナミックで好きです。

シャイターノワとスハルコフのパドドゥも、サタネラとはまた違う控えめでも華やかさなオーラが美しく、また酔いしれました…

カメラマンのサポートとして、連日目を凝らして観ておりましたので、夢の情景がびっしり脳裏に焼きつき、なかなか現実に戻ることができませんが…(笑)とにかく貴重な仕事をさせていただきました。素敵な機会をありがとうございました。

舞台カメラマンのハウツーについて、夫自身も発信をしていきますので、いつかみなさんにもまたご紹介しますね!

キエフ・バレエは、また冬に来日公演がやってきますので、みなさんもぜひ鑑賞してみてくださいね。