バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

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英国ロイヤルバレエ ガラ『三人姉妹』『シンフォニー・イン・C』など

6月に開催された英国ロイヤル・バレエの来日公演でのロイヤル・ガラを鑑賞しました。

第一部 三人姉妹

第二部 ディベルティスマン(眠れる森の美女 ローズアダージオ、マノン、オンディーヌ、ロミオとジュリエットより)

第三部 シンフォニー・イン・C

当初発表されていた演目内容からキャスト変更をうけて編成変更されたプログラムでしたが、特に私としては「三人姉妹」の全体を本家ロイヤルバレエで見られたのが嬉しかったです。

三人姉妹について。

ケネス・マクミラン振付、音楽はチャイコフスキーより構成。1時間(休憩なし)の作品で、原作「三人姉妹」小説の登場人物によるドラマですが、物語を再現するというよりもメランコリックな世界観を表現することに重きを置かれています。登場人物の名前は、原作と同じように役がついています。

一曲一曲ごとに踊り手が変わり、ストーリーが進み、ユーモアいる曲もまじっていました。愛憎にドロドロしすぎない構成。時に、パッチアダムスのように鼻に赤い玉をつけて出てくるところなど、重々しい空気をジョークで吹き飛ばすかのよう。

日本でロイヤルバレエが三人姉妹の全編を上演するのは、27年ぶりだったそうです。(以下のケヴィン・オヘア監督からの発表内容より)

〈ロイヤル・ガラ〉全上演作品、および配役決定のお知らせ/What's New/NBS日本舞台芸術振興会

私が幕開けからいいなぁと感じたのは、舞台装置の作りの豪華さでした。休憩なしの一幕物ですが、チェーホフの小説の世界にタイムスリップするかのような舞台演出。舞台中央奥に幕があり空間が仕切られ、その背後に並べられたテーブルと食器、執事が回っているのが透かし幕から伺えます。ギターとピアノ奏者もその空間に。

手前で登場人物たちが入れ替わり立ち代わり踊っていき、後ろでは踊っていないダンサーたちがまるで映画のようにリアルな背景となって、食事したり談笑しています。(食事の演技もおそらく飲み込んではいないにしてもかなりリアリティありました)

主役の次女マーシャ役のサラ・ラムと、夫がいながら彼女の恋の相手となったヴェルシーニン中佐役ワディム・ムンタギロフのパドドゥが美しくも切ない。禁断の恋とわかっていながらも情熱をおさえられないマーシャを演じるサラ・ラムの表情がとても印象的で、ああこんな表情するんだぁ…!とはっとさせられました。ヴェルシーニン中佐のワディムは、恋に落ちるあまり性急で直球にのめりこんでいく演技に、ワディムの新たな面を見るようでした。バレエにはこういった三角関係ものの作品がよくありますが、多くのこういう役に多いのは情けないところ。ワディムもそのかっこ悪いような情けない姿も表れていてリアリティを感じ、ファンとしては「リアルな世界だったら見たくない、人間くさいところ」を感じられました。(あれほどプリンスが似合う方なので。)踊りだけでなく演技も素晴らしいペアで観られて良かったです。

後に、三人姉妹について語るサラ・ラムさんのインタビューも見つけました。

日本で上演まれな「三人姉妹」にサラ・ラム主演 3年ぶり英ロイヤルバレエ団公演開幕 - 産経ニュース

「ヴェルシーニンを演じるワディムは、本当に素晴らしい。本来の彼は穏やかで、とても控えめだが、2人のパ・ド・ドゥでは驚異的な奔放さで演じた。この踊りは2人の情熱と感情の極地で、それを抑えて表現しなければならない。でも過去の舞台で、抑えきれない情熱がほとばしる瞬間がありました」

彼女の内面の葛藤を単なる“悲劇”にせず、またふしだらな女性に見えないよう演じるのは、大きな挑戦

情熱的でいて、ふしだらに見えない品格をたずさえる。表面的な悲劇のヒロインにならない、という想いは踊りを見終えてから振り返って納得しました。

サラ・ラムさんのソフトでたおやかな佇まいに、品格ある空気が、特に女性らしさを活かし個性的だなぁと思っていてとても好きです。控えめでいそうなのにエレガンスにみちあふれている、というのがなんとも英国スタイルにあっていらっしゃるのではないかと。

シネマや世界バレエフェスティバル、そして今回の来日公演で、ますます演じる深みを増していらっしゃるサラ・ラムさんの輝きに心が潤いました!!

第二部は、ディベルティスマンとして、様々な作品の抜粋。見応えあるダンサーが次々と出てきて作品がガラッと変わるので、感性の切り替えが忙しかったです(笑)。

マリアネラ・ヌネェスのローズアダージオはその一曲だけではあっという間すぎて…もっとみていたい、というくらいに一瞬で終わってしまいました。やはり全幕で観たいものです。

マノンでは、ラウラ・モレーラさんと平野亮一さんペアの情熱的なパドドゥが見られて貴重でした。

オンディーヌのフランチェスカ・ヘイワードさんは水の精という役柄にぴったりのキラキラでみずみずしい踊り!まるで水の精になるために生まれてきたのではないかというくらいに合っていらっしゃいました。

オシポワさんのロミオとジュリエットの第1幕パドドゥはスピーディーで躍動感と甘酸っぱい青春の香りいっぱい!!あれほどベテランのダンサーがういういしい10代のときめきをリアルに演じられるということに感動しました。演じているという感じではなく、本当にリアルな若者に見えました。セザールコラレスさんとの息もバッチリで、あのオシポワさんのジュリエットの突き抜けるエネルギーを受け止める包容力も感じました。

シンフォニー・イン・Cはプリンシパルとソリストが多数出演して一挙に楽しめるバランシン作品。クライマックスにふさわしい輝きでした。金子芙生さん、マリアネラ・ヌネェスさん、崔由姫さん、ヤスミン・ナグディさんをはじめとするロイヤルを代表するダンサーたちの個性の違いもわかりやすかったです。

キリがなくすべてを書ききれておりませんが、私自身も備忘録のためアップしておきます。