ロイヤルバレエの来日公演と同じ頃、映画館でもロイヤルのロンドン公演のシネマライブビューイングが開催されていました(日本は同日上映ではなく後日なので重なっていました)。
今話題の現代振付家たちによる個性豊かなトリプルビル
- Within the golden hour ウィズイン・ザ・ゴールデン・アワー(クリストファー・ウィールドン)
- Medusa メドゥーサ(シディ・ラルビ・シェルカウイ)
- Flight Pattern フライト・パターン(クリスタル・パイト)
一夜にしてこれだけ尖った個性のトリプルビルを楽しめて、とても刺激的でした!
雑多な所感ですが覚え書きを。
Within the golden hour
クリストファー・ウィールドンの作品とあって、楽しみでした!不思議の国のアリス、冬物語、パリのアメリカ人(劇団四季版)ともに観ているので、比較がでし良かったです。上のサラ・ラムさんのシーン、とても魅力的でした。
Within the golden hourは抽象的な作品でストーリーはありません。2008年の作品で、初演はロイヤルではなく、サンフランシスコ・バレエ。それをロイヤルで焼き直しするにあたって、衣装をガラリと変えたそうです。
サンフランシスコ・バレエの映像
前の動画と比べてだいぶ違います。
衣装のデザイナーは、ジャスパー・コンラン。THE CONRAN SHOPで有名ですね。とてもわかりやすい記事を見つけました。 https://www.vogue.co.jp/fashion/history/43639 英政府が国宝として扱うほどの逸材!
衣装デザインを考えるときに、クリムトの美術館を見た時期だそうで、かなりインスピレーションを受けたのだとか。
ちょうど日本でもクリムト展の大規模な展示が6月に開催されこの作品を見る前に私もタイムリーに鑑賞していたので、なんだか偶然におおっと鳥肌立ちました。
↓ウィールドン氏、コンラン氏のインタビューが見られます。
クリムトといえば、ゴールドに輝く絵。そこから着想し、ダンサーの美しさを引き立て、激しい動きにも耐えられるデザインを考えた矢先にこのようなドレスができたのだそうです。
スカートがひらめき、シンプルであり、肉体美が際立つデザイン。そして男性にはクリムトの描くような雰囲気に似た、かなりそぎ落とされたスタイル。
思わず、クリムト展でのベートーヴェン・フリーズを思い出しました。
金色がまた素敵だなと気づいたのは、照明の色で雰囲気が随分変わる点です。
組曲それぞれに雰囲気が違い、躍動、情熱、清爽など、これらは私が主観で感じた形容ですが、ころころと光の色が変わります。それに合わせて輝きを変えるというところが舞台衣装ならではだなぁと(日常でそこまで光が頻繁に変わることってないので)感じました。
音楽はミニマリスト作曲家エディ・ボッソがヴィヴァルディの作品を使いまとめています。
パドドゥは、ウィールドン氏らしいなと思うような伸びやかでクラシカルな美しさも織り交ぜながら自由を感じさせる踊り。物語設定がない男女の踊りですが、衣装の効果もあって、クリムトの描くような生身の人間の美しさが光っていました。コンテンポラリー寄りにしても、バレエの視覚的な美しさが残るとうっとりした気分になれます。
公式チャンネルのリンクをのせておきましたのでご興味あればご覧ください。
新作に意欲的に取り組むことができ、衣装制作や舞台美術なども表現力を磨いているロイヤルの勢いはさすがです。
長くなってしまったので、他の二つも続きの記事で書きたいと思います。
トリプルビルの続き
ロイヤル・バレエ来日公演関連