バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

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英国ロイヤルバレエ団来日公演!アコスタ版ドン・キホーテ 主演ヌニェス&ムンタギロフ鑑賞

6月は英国ロイヤル・バレエ団の来日公演が東京・上野で開催されていました!私は初日のドン・キホーテと、ロイヤル・ガラの初日に観に行きました。

好きなものに出会えて、劇場のバレエで一生にわたる夢が見られるというのは、とても幸せな人生です。

ドン・キホーテの公演の思い出。主演は、キトリ(女性)がマリアネラ・ヌニェス、バジル(男性)がワディム・ムンタギロフのペアでした!とても大人気でベテランのお二人なので、初日で超満員!!バレエを観る前に人混みで疲弊してしまいそうなほどのバレエ公演にしては通例よりも異常な人気でした。

そんな人混みの中でも通路で私のYouTubeの視聴者さんが声をかけてくださり、素敵なご姉妹に出会えました。どうもありがとう!!

カルロス・アコスタ版のドン・キホーテを観るのは初めて。もともとロイヤルのプリンシパルであったカルロス・アコスタがリニューアルさせたドン・キホーテ。普段からも人気のバレエ作品ですので、ダンサー目線からも監督目線からもより一層物語をわかりやすく楽しめるようにアレンジされているのだなと感じました。たとえば2幕の人形劇のシーンは本筋と直接関係の少ない箇所なので、あえてカットして、代わりにギターなどの奏者が一緒に舞台に立ちスパニッシュダンスを繰り広げるシーンもありました。これを観ていた時、スペイン国立バレエの公演でも行われていたギターとバレエの粋なセッションを思い出しました。

主役の二人の息は完璧に合っているような見事な演技でした。キトリのヌニェスは得意のポアントワークのバランスを見せ場によく取り入れていて観客を湧かせていました。ムンタギロフは伸びやかで軽やかな身のこなし、ジャンプ、そして貴公子のようなハニカミ笑顔も健在でした。ファンとして、いい意味で、育ちから貴公子な雰囲気の出てしまうようなバジルはまた魅力的だと思います。

会場では生徒さんのお一人でヌニェスさんの大ファンでおられる方とも遭遇でき、生のロイヤルバレエに加えてご本人の主演を観られた感動に目をうるませていらっしゃいまして、初々しい感動を分けていただいたような気持ちになりとても嬉しかったです。舞台当日にしかない胸の熱くなる感動ってありますよね!!(きゅん)

ここまで人気を得ているバレエ団というのは、ここ最近でいうとかなりずば抜けているように見えますが、そもそも英国ロイヤル・バレエ団がロンドンの観客のみならず世界中に扉を開いており、リベラルでポジティブな発信の賜物だと私は思います。

もちろん所属するダンサーのレベルの高さも大いに寄与していますが、パブリシティーが素晴らしいのです。

どれだけ魅力的な作品・ダンサーがいるのか。作品はどのようにして出来上がっているのか。音楽、衣装、舞台装置、背景にはどんな魅力が詰まっているのか。

そういったことを伝えるというのは当たり前のことのようであっても、ロイヤル・バレエ団のように実行できる組織は希少だと個人的に感じます。

だからこそ、安心してファンがついていくことができ、組織の発展も進んでいく。ダンサーたちも誇りをもって踊りに集中できる環境を整えられるのでしょうね。ファンをファンでいさせてくれる、というのがエンターテイメント業界においては大事なことであり、でもパフォーミングアーツでは業界の特質的に少し難しくなってしまう。それをうまく折り合いをつけて意欲的に発信をしている姿にも感銘を受けます。

そのこだわりの意識は、舞台上の装置や美術などにもよく観られます。古典的な幕装置に縛られず、1幕は家々が動いて空間表現をするのもロイヤルならでは。また、小さいことですが、サンチョパンサがプロローグでりんごを持っていました。かじろうとしている瞬間、りんごが本物のりんごで、しっかりとかじって実際に食べているのを確認しました(笑)演技って、演技だと思ってしまうとリアリティを失ってしまうものですが、バレエの舞台において飲み物や食べ物をどれだけリアルにするか?というと、大半は偽物を使ってしまうと思います。生ものは扱いも気を使わないといけないですからね。それでも、やはり舞台の中央で準主役ばりに物語をつむぐキャラクターとしては、りんごもやっぱり生なんだ、と演技の国英国らしい空気を感じたのでした(笑)。

日本人としては、プリンシパル平野亮一さんのエスパーダ役が刺激的で同じ日本人のダンサーがこんなに舞台で際立つほど活躍されているという姿に体温がきゅっと上がりそうでした。身長も周囲のダンサーたちよりも高いのでは?というくらいにスタイル抜群で、目力もキリッと輝くお方なので、独特の求心力と間を演じられる素晴らしい男性ダンサーでいらっしゃると思います。金子さんもプロポーションから踊りからみな美しいバレリーナで、周りとまったく引けをとらないどころか、初々しくキラキラに輝いていらっしゃいました。他にも日本人やアジア人の方々もご活躍で、多国籍バレエ団の底力を見せつけられたような日でした。

得られた学びを日頃の活動にまた昇華させていきたいです。