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バレエ「眠れる森の美女」の物語と名場面をピックアップ!

眠れる森の美女は、ロシア帝室バレエ(マリインスキー劇場)で1890年に初演されたバレエ作品です。マリウス・プティパの振付とチャイコフスキー作曲の名作です。バレエ鑑賞の参考にあらすじをご紹介します。

ペロー『眠れる森の美女』の挿絵(G・ドレ画、1897年)#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:La_Belle_au_Bois_Dormant-Sixth_of_six_engravings_by_Gustave_Dor%C3%A9.jpg)

プロローグ(序幕)。昔、ある国の王様とお妃様のもとにかわいい姫君のプリンセス・オーロラが誕生しました。宮廷ではお祝いが催され、妖精たちもオーロラ姫の幸福を願って踊りを披露しています。妖精たちの中でもリーダー的な存在なのがリラの精(紫・ライラック色のチュチュ)です。

そこへ、突然あたりが暗くなり雷が鳴ったかのようにざわめきます。気づくと悪の精カラボスが怒って乱入し招待されなかったことの腹いせで赤ん坊に不幸が降りかかるようにしてやると脅します。「16歳の誕生日になったら、(糸車の)針に刺されて死ぬ」という呪いをかけて逃げ去ります。国王とお妃は悲しみますが、リラの精は「ただ眠りに落ちるだけです」と、カラボスの呪いから魔法で守ってくれると約束しました。

第一幕。オーロラ姫は成長して16歳になり、花婿を選ぶ年齢になりました。姫の誕生日を祝福すると共に、求婚相手の各国の王子と踊ります。でもオーロラ姫には心から見そめる相手が見つかりませんでした。それでも、ここは華やかな「ローズ・アダージオ」という演目が行われ、4人の王子とオーロラ姫が盛大なリフトの見せ場となります。 宮廷の華やかなお祝いがまたしても打ち砕かれ、カラボスがやってきました。国王は前もって国中の糸車(縫い針)を処分しておくように命じていましたが、黒く変装したカラボスはオーロラ姫にそっと近づき花束のプレゼントを手渡します。なにも知らないオーロラ姫は、うっかりと花束の中に仕込まれていた針に手を刺してしまい、倒れてしまいます。リラの精がやってくると、宮廷の国王もお妃様も貴族もみんなで100年の眠りにつきました。

第二幕。100年が経つころ、リラの精はデジレ王子のもとへやってきます。王子は貴族と森に出かけて狩りをしているところです。リラの精はまだ眠りについている幻のオーロラ姫の姿を王子に知らせます。眠りについているのは呪いのせいで、愛のキスをしてくれると100年の眠りから目覚めることができると言います。王子はオーロラ姫の美しさにとりこになり、お城へ行ってカラボスを倒してオーロラ姫に口付けして目覚めさせます。オーロラ姫も感激して王子と恋に落ちます。

第三幕。結婚式が行われ、童話のキャラクターがお祝いにやってきます。青い鳥、赤ずきん、長靴を履いた猫、シンデレラなど。そして宝石の精も輝くような踊りを披露します。そして王子とオーロラ姫のグラン・パドドゥで結婚式の幸せを表現し、末永く幸せに結ばれることとなりました。

童話のキャラクター

青い鳥、赤ずきん、長靴を履いた猫、シンデレラといったキャラクターがお祝いするスタイルをディベルティスマン(余興の踊り)といい、本筋には関係ないのですが踊りを盛り上げるために登場します。

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なぜこれらの物語が関係するのか?というと、実はシャルル・ペローが眠れる森の美女の作者であるのですが、同じ作者の童話を中心に集められています。バレエなりの遊び心といえます。

青い鳥 - 「眠れる森の美女」 第3幕 青い鳥とフロリナ王女のアダージョ: チャイコフスキー

青い鳥 - 「眠れる森の美女」 第3幕 青い鳥とフロリナ王女のアダージョ: チャイコフスキー

  • チェコスロヴァキア国立コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団/アンドリュー・モグレリア(指揮)
  • クラシック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

おすまし猫 - 「眠れる森の美女」 第3幕 長靴をはいた猫と白い猫: チャイコフスキー

おすまし猫 - 「眠れる森の美女」 第3幕 長靴をはいた猫と白い猫: チャイコフスキー

  • チェコスロヴァキア国立コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団/アンドリュー・モグレリア(指揮)
  • クラシック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

あらためて童話も文庫などで読んでみると面白いですよ。一例

オーロラ姫といえば薔薇がモチーフ

オーロラ姫のバレエは、薔薇が付き物です。特に第一幕は4人の王子から求婚される時に薔薇の花をプレゼントされ、持って踊ります。曲名もローズ・アダージオと言います。チャイコフスキーによる音楽の表現も見事です。

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The Sleeping Beauty, Op. 66: Act 1 - The Spell: Pas D'action - Adagio (Rose Adagio)

The Sleeping Beauty, Op. 66: Act 1 - The Spell: Pas D'action - Adagio (Rose Adagio)

  • Andrew Mogrelia & Czecho-Slovak State Philharmonic Orchestra
  • クラシック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

オーロラ姫のヴァリエーションもバラをモチーフにしたソロの踊りです。

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The Sleeping Beauty, Op. 66: Act 1 - The Spell: Pas D'action - Variation D'aurore

The Sleeping Beauty, Op. 66: Act 1 - The Spell: Pas D'action - Variation D'aurore

  • Andrew Mogrelia & Czecho-Slovak State Philharmonic Orchestra
  • クラシック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

この同じ場面には、群舞には「花のワルツ」という有名な曲もあります。

The Sleeping Beauty, Op. 66: Act 1 - The Spell: Valse

The Sleeping Beauty, Op. 66: Act 1 - The Spell: Valse

  • Andrew Mogrelia & Czecho-Slovak State Philharmonic Orchestra
  • クラシック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

オーロラ姫と王子の愛を表現する音楽

そしてなんといっても王子と出会ったあとのオーロラ姫との音楽がまた秀逸です。

こちらの曲は、幻のオーロラ姫を王子が見つめる場面です。リラの精の魔法によって王子はオーロラの姿を見てパドドゥ(2人の踊り)をしますが、オーロラは実際の人物ではなく、眠っている中での幻影なのです。すれ違いながらも二人が心を近づけていくさまはなんと詩的な情景でしょうか。チャイコフスキーの美しい抒情的な旋律もお聞きください。

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The Sleeping Beauty, Op. 66: Act II - The Vision And The Sleeping Beauty - Pas D'action: Desire Et Aurore

The Sleeping Beauty, Op. 66: Act II - The Vision And The Sleeping Beauty - Pas D'action: Desire Et Aurore

  • Andrew Mogrelia & Czecho-Slovak State Philharmonic Orchestra
  • クラシック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

口づけのシーンはあっという間ですがとてもロマンティックな瞬間で、余韻を引かせるようにさっと幕が閉じます。早く第三幕が見たくなるものです。

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王子とオーロラの結婚式では、格式高い宮廷の婚礼を感じさせます。第一幕が初々しい薔薇のフレッシュさがありましたが、第三幕の結婚式になるとダイヤモンドのように光り輝くオーロラ姫が大人に成長したことも伺えます。

The Sleeping Beauty, Op. 66: Act III - Pas De Deux: Adagio

The Sleeping Beauty, Op. 66: Act III - Pas De Deux: Adagio

  • Andrew Mogrelia & Czecho-Slovak State Philharmonic Orchestra
  • クラシック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

デジレ王子のソロもひときわ気品のある、王子の中の王子!という存在感です。

The Sleeping Beauty, Op. 66: Act III - Pas De Quatre: Cinderella And Prince Fortune (Variation I)

The Sleeping Beauty, Op. 66: Act III - Pas De Quatre: Cinderella And Prince Fortune (Variation I)

  • Andrew Mogrelia & Czecho-Slovak State Philharmonic Orchestra
  • クラシック
  • ¥153
  • provided courtesy of iTunes

守り神のような第二の母的存在、リラの精

リラの精はなんとも安心感と信頼感のある役柄で、国王とお妃様をも安心させて国中の平和に協力しているような存在です。

これまでのクラブハウスでの歴史回を聞いてくださっている方は、十八世紀前半のロマンティック・バレエの時代のお茶目な側面も持つ「妖精」から、人類の母のような偉大なイメージに変容していることも、バレエの中で「妖精」という超自然の存在が浸透して発展してきていることがわかりますね。

blog.coruri.info

チャイコフスキーの有名な音楽にのせて、バレエ鑑賞の入門にぴったり

バレエの難しいことはわからなくても。「眠れる森の美女」は、有名な曲が出てきたり、子供も知っているおとぎ話で鑑賞入門にぴったりです。

歴史の細かいところはまた追って触れていきますが、まずは物語をバレエにすると?音楽で表現すると?という観点でも楽しんでみると心から楽しめることと思います。

DVD、Blu-rayでもぜひご覧になってみるとおすすめです。

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