「ラ・バヤデール」よりニキヤの第1幕第1場のヴァリエーションをグループレッスンで踊りました!インドの異国情緒あふれるエキゾチックな寺院と神殿の中で繰り広げられるドラマティック・バレエ。
恋人同士のニキヤとソロルが権力者や三角関係の相手に翻弄され、美しい舞姫ニキヤは悲恋のストーリーになっています。
あらすじの中でも、寺院の舞姫像を純粋に浮かび上がらせる場面の曲なので、手のモチーフも複数取り入れて雰囲気を醸し出しました。
テンポはかなりゆっくりなので、バランスを保ったり、ポーズを伸び続けたり、踊りがいがありましたね。
曲調が最後に変わりますので、そこでは勢いよくエネルギッシュでありながらも天に突き抜けていきそうな芯の強い舞姫像を描き出すように振付しました。
舞姫はバヤデールといいまして、作品のタイトルにもなっています。
舞姫は、神聖な舞を披露して寺院に捧げる女性たち。
その中でも一際美しい舞姫がいて、ニキヤと言います。恋人の兵士ソロルと愛し合っていました。
でも寺院の大僧正(一番位の高い職)はこの美しい娘を自分のものにしたくてたまりません。
でも、ニキヤは純潔な女性で、きっぱりと断ります。
振られて悔しい大僧正は、愛しのニキヤが兵士ソロルと恋仲にあることを知ってしまいます。
当然、ソロルに激しく嫉妬します。ソロルからニキヤを奪うには… 策を練ります。
兵士ソロルが仕えている首長ラジャは豪華絢爛な神殿に住んでいて、娘ガムザッティがいます。
ガムザッティはお金持ちの令嬢で装飾品もきらびやか。
ラジャは部下で勇敢なソロルをガムザッティと結婚させようとします。
ガムザッティはソロルを気に入ります。「お父様、私、この人と結婚するわ。」
何も知らないソロルは急に婚約を迫られます。
ラジャの権力に抗えず、婚約を受け入れ、ニキヤを裏切ってしまうことになります。
ソロルがニキヤと離れるぞ…しめしめと大僧正がやってきます。こっそりとラジャに耳打ちをします。「ソロルにはニキヤという女がいる」
大僧正は、「よし、これでラジャはソロルを亡き者にするだろう」と企んでいました。
ところが、ラジャは娘ガムザッティの恋敵となる舞姫ニキヤを敵視し、亡き者にしようとたくらみます。
ガムザッティもニキヤに諦めてもらおうと直談判で話をするもケンカ別れ。
こうなったら最後の手を打とう…ガムザッティとラジャは暗殺計画を立てます。
ガムザッティとソロルの婚約式の日、祝宴をあげている中で、ニキヤも寺院の舞姫として神聖な舞を捧げます。愛しいソロルがガムザッティに奪われてしまい、その二人の婚約を祝うなんて酷な状況。憎しみがあるはずですがぐっと感情を押し殺して舞姫の業をつとめます。
そこへ「ソロルからの花です」と花かごを手渡されます。ああまだ私のことを思っていたのか… とニキヤは花かごを受け取りますが、そこには毒ヘビが仕込まれており、噛まれて死んでしまいます。
なんという悲劇のヒロインなのでしょう。ここで第2幕が閉じます。
第3幕では有名なコールドバレエの影の王国となり、亡くなったニキヤがソロルと再び出会い、魂の世界で二人は深く結ばれていく… というお話です。
この流れをレッスンでかんたんにお話ししましたが、初耳の人は「そんな話だとは思わなかった」とびっくりしていましたね(笑)
実はニキヤが毒で死にかけているとき、大僧正が駆けつけて解毒剤を持ってきます(ヌレエフ版)。
でも、ニキヤはソロルが自分にはもう気がないことを悟ってしまい、「生きていても仕方ない」と解毒剤を断ります。
解毒剤が生き返れるならば、あなたは受け取りますか?それとも死を選びますか?究極の選択。
そんな舞姫ニキヤですが、単独で踊られる機会はかなり少なく、ガムザッティのヴァリエーションはコンクールでよく踊られるほど大人気です。
グループレッスンでは、今回ニキヤに光を当てたいと思い、影の王国ではなく、寺院で舞姫としての務めをおさめる純粋なニキヤの演目をピックアップしてみました。
愛と憎しみ、主従関係、権力構造、そういった社会のひずみで翻弄された運命の舞姫の踊り。
「先生、この踊りもう一回レッスンしてください〜〜!!お願いします!!」というリクエスト早速ありましたので、近々やりましょうね。
フルートの静謐な調べに気持ちがぐっと入っていく隠れた名曲です。