2019年1月18日は、ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミーのくるみ割り人形来日公演を鑑賞しました。
前日の「人形の精&パキータ」も観に行きました。前のブログはこちら。
人形の精&パキータ ワガノワバレエアカデミー来日公演 - バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ
くるみ割り人形はワガノワでも伝統的に大事にされてきた演目です。
個人的に思い出すのは、新書館のダンスマガジンによる『バレエって何?』というムック本の表紙がワガノワのパドトロワ(あし笛の曲)で、今も同じデザインの衣装が受け継がれているということ。
私がまだ幼児くらいの頃からいつも眺めていた、表紙とロシアの生徒さんたちの姿にそっくり。生徒さんは違えど、同じDNAが流れ、今ここにまた生き続けているということに、ほろりとしました。
主役の金平糖の精は、前日のパキータのエトワールと同じアレクサンドラ・ヒテーエワさん。パキータにひけをとらない堂々とした姿。大人になったマーシャと金平糖の精を抜きん出た存在感で魅了させてくれました。
子どものマーシャもとても可愛かったです。マーシャに限らず初級学年の子どもたち皆のレベルの高さ。感嘆のため息をつきたくなりました。
男の子たちはとても頼もしいのです。ふつうバレエ教室では女の子のほうがどんどん大人びて、男の子はお母さんに連れてこられて何となくバレエを続けている…という光景も日本では少なくありません。勿論全員がそうではありませんので、あくまで割合の話です。ワガノワの男の子たちは、10歳前後の若さにして女の子たちをレディファーストにエスコートする振る舞いを自然にこなす。照れなども一切なく、誇らしげな笑顔にロシアバレエの偉大さを感じました。
女の子たちの気品高さもゆるぎないものです。それはツンと偉そうにしているわけではまったくなく、むしろ温かいハートが伝わってくるよう。それでいて品格を感じられるのは、一瞬一瞬に油断せず気配りが行き届いているからこそ。
すべてに全力投球で、同学年の子たちと高め合っていく天使のようでした。
雪の場面では、上級学年による難易度の高いコールドバレエ。腕にあられのようなポンポンがついたコスチュームで、細かい回転と跳躍を数々にこなしポンポンが雪のように見えてくるくらい激しい振付でした。ダンサーとしてみていると「これは膝にくるなぁ〜(涙)」と思ってしまうような(笑)。膝立ちから座り込む動作もテンポが速かったですね。バレエ学校として見るならば上級学年の生徒たちのスタミナ、脚力、音楽性を高めるのにこれほどふさわしい振付はないだろうという印象でした。
書きたいことはいろいろありますが、全体見通して感じたのは、カーテンコールに登場したコワリョーワ先生たちやニコライ・ツィスカリーゼ校長先生方の存在感です。
ロシアが国をあげて大事に育て守り抜いてきた芸術の高みを劣えることのないよう生身の人間同士で受け継いでいく流れを垣間見ることができた気持ちでした。
バレエの歴史は、関わる人間の人生そのもの。
ワガノワという環境で受け継がれる伝統は人の手があって一瞬たりともかけることなく誰かから誰かにバトンが渡っていきます。
私は日本で活動をしながら自分も裾野を広げる一端として担う気持ちでおりますが、バレエのレジェンドに触れることができるとまたより一層がんばろうという気持ちになれました。