バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

バレエヨガインストラクター三科絵理

周りからはみ出る自分を恐れない

バレエをやっていると日本人女性は特に周りの方々の目線を気にする方が多いなぁと感じます。マナーとして必要な場面では仕方ないことです。でもここで話題にしているのは、「周りに迷惑もかけないしご自分の気持ち次第でなんとでもなるという状況なのに、どこからともなく、つまりなんとなく、周りの人たちの目線を気にしている」ようなときのことです。

周りの目線なんて気にしていたら、バレエなんてやっていられない、というのが正直なところ(笑)。

自分の気持ちがすべてなのですから。

恩師の先生が「女は度胸なのよ」とおっしゃっていた言葉がいまも浮かんでくるようです。

今の時代のバレエは、誰かにやりなさいと言われてやるべきものではありませんし、やったら得するかどうかと損得勘定で計算するものでもありません。昔はヨーロッパの貴族にとって淑女になるための基礎教養に舞踊がふくまれていたこともありますが、それも今は昔のこと。

シンプルに、踊りたいから、踊るのです。

踊りたい、という感情を解き放つのです。

それは、決められた型にはめられるがまま、ぎこちない自分を押し込むことではありません。

周りの目線を気にしているようでいて、そもそも周りの人々というのはそこまで他人のことを気にしていないものです。

誰か一人あの人にはこう思われたくない、という思いがあるのだとしたら、その人のことにとらわれすぎているか、執着しすぎているか、または自意識過剰になっているかもしれません。その人のことを大きく捉えているのも自分なのです。

その悩みにハマってしまうと、自分を冷静に見られないあまりに、なんとなく、特段に理由がないままに自分を引っ込めてしまうのです。

海外のバレエ教室に通っていた経験がある方々からお話を聞くと、アメリカ圏でもヨーロッパ圏でも、ずっとのびのびしている話を聞いています。

たまたまだったのかもしれませんが、複数の方々からお伺いしたので、日本はどこか変わった傾向があるのだろうなとも感じます。

考えてみれば、学校でも個性があまり生かされず、むしろ画一的な教育がされるような日本ならではなのかなぁと思います。出る杭は打たれ、はみ出ることを恐れてしまうようになりがちだからです。

でも、じゃあ日本だから仕方ないとそのままでいるのか、むしろ自分から変えようと思うのか。

私は、自分一人から変えられることをしたくて、日々の行動にしています。

だから、チュチュレッスンも、プレポアントレッスンもしてきました。

白鳥の羽根もティアラもみなさんに付けていただくくらい本気なのです。

もしも形だけ入ってちょっと体験して、やっぱりや〜めた、となるのは、私にとっても一番残念なことです。

私が周りの目線を気にして生きていたとしたら、まずYouTubeは出せません。ブログも書けません。動画も写真も公開できません。

なぜなら、周りの目線を気にした生き方をしていると、そういうことをするのは恥ずかしいと感じてしまうからです。

どうしてわかるのかというと過去の私がそうだったからです。

人にどう思われるかと恐れているくらいなら、何も出さないほうが安全なのです。特に保守的な世界ならば…。日本はあらゆることにこうした傾向があります。芸術の世界でもありえます。

でも多くの場合、他人はあなたが心配するほどあなたの生活の一挙手一投足を見ているわけではありません。

テレビや表に出る人だって、周りの人たちは外見やうわべで評価していたりします。その評価には誤解も含まれます。

人に誤解されると、ふつうは不快な気持ちが生じるものです。でも本人は受け入れているのです。目立つ有名な方でもそのような状況なのです。

つまりあなたが他人の目線を気にしたり、こういう風に見られたいと期待しても、あなたの本当の求めるべきはそこではありません。

本当に大切なのは、あなた自身が、あなたの中身を認めることなのです。

人の評価に頼るのではなく、自分がどう思えるのか、自分の心はどう構えているのか、ということです。

人の評価に頼る人は、なにか一定の試験や検定に合格したとしても、そこで燃え尽きてしまったり、また何か評価されることを求めはじめます。本当に必要なプロセスならば仕方ありませんが、ただやみくもにうろたえてしまうのは資格ジプシーになってしまいます。

私が一番支えになってあげようと思えるのは、「周りからはみ出してしまうかもしれないという覚悟があっても、ちょっとの勇気を踏み出そうとしている人」のことです。

勇気を必要とする場面、状況、条件、レベルの難易度、など、それはいろいろです。

その方のレベルがどうであれ、勇気を出して挑戦しようとしていることが尊いことだと私は共感します。

踊る人のレベルに順位をつけてもキリがありません。順位がつけられない性質・属性もたくさんあります。

古典的な舞踊の世界は、上手な人の方が有利に立ってしまいますし、例えば世界最高峰の経験を積んできた人たちは尊敬したいことが必ずあります。

でもこれからの21世紀に、レベルの順列や競争がすべてとはいえないでしょう。

現代社会のあらゆるところで、権威よりも「個」の時代になっています。組織よりも個人。ブランドよりも一人の人間。

私は、バレエも一人一人の人生経験やバレエへの愛の中身に価値を見出していくことが大切だと思っています。

大人から始めたからわかることだってたくさんあるはずなのです。

子供のころから始めたから偉いとか10年早く始めたから上下関係がうまれるというのはなんだか違うと思うのです。

だから、初心者の方のささいな勇気も、尊いのです。

いつも人影にかくれて踊ってしまう自分を変えたいと思う気持ちも、勇気です。

先生のデモンストレーションに頼らずに自力で振付を通せるようになりたいという気持ちも、勇気です。

小さなことでもいいので、勇気を出そうとしている方を私は一番応援してあげたくなります。

バレエは、ちまちまと踊るものではありません。

心身とも伸び伸びと踊って美しさが生きてくる魂のダンスです。

体も大事ですが、実際に本当に大事なのは心です。

心が入れ替わると、体が変わります。

そうしてはじめて、目が覚めた踊りに変わります。

殻を破るには、はみ出ることを恐れないことです。

すでにたくさんの生徒さんとこの熱い気持ちを分かち合っていますが、こうした想いをここで打ち明け、心に火がつく人がさらに一人でも増えたらいいなと願っています。