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ジェイン・オースティンの読書会

映画『ジェイン・オースティンの読書会』を最近初めて観ました。

ジェイン・オースティンとは、イギリスの女流作家。その小説が好きな大人たちが、読書会をするというストーリーです。


Jane Austen

映画の存在は前から知っていたのですが、ジェイン・オースティンの小説を読んだことはないので、馴染めるかなぁと迷っていました。

思い切って観てみたら、ひょんなことから知り合った知的な男女たちが、日常でいろんな苦難あり、恋愛あり、家族の絆あり、それらを乗り越えながら月1回の豊かな読書会が進んでいく素敵なドラマでした。

ジェイン・オースティンの読書会 (字幕版)

はじめの会合はスターバックスから始まります。ジェイン・オースティンの小説は女性向けなのですが、全く読んだことのなかったSF文学青年がたまたま誘われてからハマっていく、という展開もまた面白いところ。軽いタッチで温かくロマンティックな作品です。

こんな風に、「共通の作品を大好きな人たちが意見を言いながら分かち合える空間」というのはとても素敵だなぁ。

バレエでも「あの作品のここがいいよね」「最後の終わり方はどうかなぁ」「この場面の構成がよかったよね」とか語り合うことがあります。

バレエとの違いは、本という性質上、個々人の想像力や解釈の余地が大きいですよね。

だからこそ、読み手同士が語りあう余地が増すのだなぁと実感しました。

文章の言葉から想像する世界は人によって多少違っても仕方のないことです。「美しい」という言葉ひとつとっても、想像するイメージはいろいろ。

多少の解釈の違いや好き嫌いがあったとしても、お互いにそれを受け入れる土壌があるのがまた素敵だなと思えました。

文化の違いなのでしょうか、日本人はもう少し気難しくなってしまいそうな気もしてしまいます。

映画のように6人が一冊ずつ取り上げてホームパーティしながら語らうなんてゆとりはなかなかオープンマインドな人同士でないとできないですからね。

気の合う友達で、お互いの差異も認め合うことが土壌にある。欠点があっても認めてあげられる。

そうでないと「どっちが合ってる、間違ってる」と言い合うギスギスした場になってしまいそうですからね(笑)。

本は読者を想像の自由な世界へ連れて行ってくれます。

たとえば、この文章からどんな情景を思い浮かべるでしょう?

ジェインとエリザベスが寝室で二人きりになると、それまで表立ってミスター・ビングリーを褒めようとしなかったジェインは、あの人に心から好意を覚えたと妹に言った。 「ほんとに、非の打ちどころのない方。知的で、いつも上機嫌で、活発で。それにまた、とても感じがいいの!ーー どこまでも、自然で、上品で」

これは『自負と偏見』というオースティンの代表作。ジェインとエリザベスは、その日舞踏会で出会った素敵な青年の紳士ビングリーのことを思い出し、ベッドで恋話をしています。ビングリーについて話している言葉がなんとも好印象です。

はたしてどんな人物なの?顔は?髪の色と瞳のは?背の高さは?声は?と、読者に想像を掻き立てます。

このようにして、言葉は読者に自由な想像のきっかけを与えます。

言葉から想像する世界は、自分の頭の中にあっても、人からは見えません。でも、それを人に話すことで、まるで平面的から立体的になっていくよう。

それが読書会の醍醐味なのでしょう。

この『ジェイン・オースティンの読書会』で一番きゅんとしてしまうのは、読書会の女性たちのパートナー(男性たち)もつられて読むようになっていくことです。妻のために読みはじめたつもりが、自分自身も心開かれていくというストーリーが、いかにもハッピーな世界ですが、なんかいいな〜と思わされてしまいます。

一人で味わうのも、最高に豊かなこと。

大切な人と分かち合えると、これまた豊かなこと。

本とともに生きていくというストーリーが、なんとも穏やかな気持ちになれる映画でした。この映画きっかけにして、『自負と偏見』から足を踏み入れ始めました。

最近小説読んでないなぁという人にも、本を読んでいるような気持ちに触れるので、穏やかな気分になれると思いますよ。

プライドと偏見 (字幕版)

プライドと偏見 (字幕版)

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