11月29日にクラブハウス第29回で『ノートル=ダム・ド・パリ』の読書会をしました。
3週間前より読書会の開催をお知らせして、事前に読んだ方から「こんな話だったんですね!」と新鮮なご感想が集まってきました。
私としても、自分一人で読むのとみんなで読むのとでは、読書体験の広がりが発展して面白い試みになったと感じました。
特に、バレエのお稽古場ではテクニックや振り付けのことを考えることが多く、なかなか芸術の多様な深みを感じるゆとりがないことの方が多いです。
でも、こうしてスタジオ以外のみなさん自身の一人時間を活用して、バレエにまつわる文学にふれることで、言葉で表現する芸術の面白さを感じられたり、舞台で演じる物語の裏側などを互いに語り合えるという場になりました。
これが大人バレエにおいてとても貴重な時間です。(子供にとってもあまりないことで、もしも自分がバレエ学校の先生ならばこういう授業をしたいものです。)
原作『ノートル=ダム・ド・パリ』とバレエの描き方は、プロットや人物の設定が少々違います。また劇団四季やディズニー映画とも違うのでこうして原作にあたるのはみなさんの好奇心をそそられるのではないかと思います。(原作とはいえ、抄訳版の角川文庫版をテキストに取り上げました。リスナーの方には、岩波文庫の上下巻も読んだという方もいらっしゃいました。)
クラブハウスでは、バレエの「エスメラルダ」に着眼して解説した回を行ってから、原作の種明かしはせずに読書の楽しみとしてとっておき、時間をおいて読書会を設定しました。
私自身はこの小説のあとこちらも読んで、小説だけではわからないヴィルトル・ユゴーの人物像も知ることがありました。
ユゴーは15歳から文学のコンクールで入賞したり、国王から表敬されていた天才ですが、性格は正反対同士の両親から受け継いだ自己矛盾的な性格をもつ変わった人物でもあったところが興味深いです。
ちょうどロマンティック・バレエの歴史を学んできたところで、当時十九世紀を代表する文学作品でもあるという意味でも、『ノートル=ダム・ド・パリ』からは「エスメラルダ」の作品理解だけでなく、十九世紀の文豪ユゴーの作品を読んだという意味でも、ロマン主義の追体験になったといえます。
こうした取り組みは引き続きクラブハウスを中心にして継続していきたいと思っております。
これから読もうかなという方も、ぜひ楽しんでみてください。
『ノートル=ダム・ド・パリ』関連記事
バレエ「エスメラルダ」としての作品解説
バレエ化された小説との違いを掘り下げた解説
クラブハウスのリプレイ(再生)
原作の結末のネタバレもありますが、詳細に結論を説明しているわけではないため、これからクラブハウスを聞いて小説を読む方もじゅうぶん楽しめると思います。