バレエをやっていて、肩身の狭い思いをしたり、「私なんて」という気持ちになってしまうお話をたまに耳にします。
そんな気持ちを持つ必要はなくて、もっと気楽にかまえて、ゆったり楽しんでいただきたいなぁと私は思っています。
なぜなら、人生でバレエにかけられる時間や体力や想像力や表現力を大切に、無駄にしないで楽しみ切ろうよ!と思うからです。
人生の時間は限られていますが、時間のリミットがある中で、バレエという好きなものに出会えたあなたは、心の財産を見つけたといってもいいのではないでしょうか。
好きなものは好みや相性もありますし、好きになろうとして無理になれるものでもありません。
私はたくさんの大人バレリーナの方々と出会いますが、自信が持てない中でもがいているお話も時折耳にします。
「私なんてバレエをやっていても…」という言葉が、もしあなたの頭に浮かぶのなら?
もう、今日から消してしまいましょう。
それよりも「バレエに出会えてよかった」「バレエにふれる時間ができてありがとう」「バレエでこんなに豊かな世界ができた」そんな発見をしながら上書きしていきましょう。
人生でも「私なんか」という言葉よりも、感謝と愛であふれる気持ちになっていた方が、ずっと豊かな人生を送ることになります。
それがバレエの世界だと、大切なものの見え方が歪みやすく、それで心を痛めたり、やめることになったら本末転倒です。
私は心の底から、バレエをやって価値がない人なんていないと思っています。
人生でも、みんな一人一人は、かけがえのない存在です。
でもバレエの先生がそんなことを言うのは珍しいのかもしれず、「私は〜だからバレエをやっていても…」と苦しむ方もいるので、そういう皆さんからは驚かれることもあります。
みなさん一人一人がバレエを好きになっていること…これがバレエ界にも貢献していることなのです。
バレエに携わる人がいなくなってしまったら、バレエの文化は途絶えてしまいます。
「私一人がバレエをやめても変わらないんじゃないの?」と思うかもしれませんが、バレエを観る人、バレエをする人、バレエ を愛する人、いろんなひとが関わっているからバレエの社会も成り立っています。
年齢、地域、人生経験、個性もいろんな人がいるから豊かな社会になっていきます。
また、みなさんがたとえ超初心者でバレエのことをゼロから習っている状態だとしても、バレエをやろうとするお気持ちがある姿は、人に励みや癒しやパワーを与えます。
むしろ人に与えようとしなくても、レッスンではそんな余裕なくて必死だとしても、影響し合うものです。
人はあまりそんなことを口に出しません。でも、レッスンで新しい人が入ってきただけで、空気の変化を感じたことはありませんか?
いつものメンバーに新しい人が入ってきたら?
レベルが上手な人であろうと、はじめたばかりの人であろうと、地球上の人間と同じくバレエの世界でも互いに影響しあっていたりします。
そこに競争の意識とかではなく、互いに受け入れる空気が生まれていくだけで、みんなやさしくなりますし、自分自身も大切にするようになります。
バレエだからといって、誰もむげに扱っていい人はいません。
私は、少なくとも自分が関わるバレエの世界では、豊かな感性で互いの個性も尊重し合えるピースフルな世界を作ろうと思ってずっと活動してきました。
人によって感性や視点が違うから、いろんな表現が生まれます。
だから面白いのです!
「いやいや、表現するなんて域に至っていませんよ〜」なんて人も、あなたのバレエに対するエネルギーは周りの人に伝わっていくものなのですよ!
競争や嫉妬や焦燥感などとはかけ離れて、自由で前向きでハツラツとした思考の地球人的な気持ちでバレエと向き合いたいと思っているからです。
バレエと離れた人生も経験してきたからこそ、その想いが強くなり、私の生きがいにもなっています。
私はバレエに限らず、人生においてどんな人もかけがえのない人生を生きていて、みんなが主役で、「私なんか…」とは言って欲しくないと思っています。
なぜかバレエはいろいろな条件や外見や敷居が強いように見えてしまいがちですが、プロの養成というごく狭いオリンピック選手を育てるような小さい箱の中でのロジックと、何世紀も人類の文化として育ってきた営みとしてのロジックは、視点も、見るスケールも、尺度の長さも、違いが出て当然だと思います。
その捉え方が混同してしまうと、あなたの居場所が見つけられなくなってしまうかもしれません。
そうしたら、あなたもかけがえのない存在であること、そしてバレエが好きである気持ちを尊く大切にしてください。
すぐにほかの誰かが認めてくれなかったとしても、私はあなたの気持ちを応援します。
それに、私の熱いリピーターのみなさんは、私の考えに共感してくださる方々が多いので、きっと仲間がいるはずなのです。まだ直接出会えていなかったとしても…。
たとえ、どんなにあなたが自分を下手に思うとしても、その人なりのエネルギーを注ぎ込んで心を込めて踊っている方が、私はずっと感動します。
バレエ自体も素晴らしいのですが、バレエに出会ったことでキラキラと光るみなさんの心の美しさ、瞳の美しさ、友情の美しさ、命の尊さ、そういったものこそを大切にすることを忘れないバレエのあり方を、私は目指しています。
憧れと比較を混同すると、エネルギーは光にもなり影にもなります。
憧れを思うときに、第一にあなたが人生の主役であることを忘れないでください。
あなた自身があなたを大切にすることを忘れないでください。
あなたがキラキラと感じるものが、周りの人にも良い波動を広げていくことを忘れないでください。
共感していただける方は、ぜひ一緒にそんなバレエの世界を、そして人生の世界を、作っていきましょう!
月の綺麗な夜空に思いをこめて。