きれいな姿勢を保つのは難しい、という声をよく耳にします。姿勢を正そうとするとき、こんなケースにあてはまっていませんか?
- 背中をまっすぐにしようとしすぎて、硬直してしまう
- 背筋を伸ばそうすると、むだに肩が持ち上がってしまう
(これらでは、疲れてしまいますし、動こうとした途端に姿勢が崩れます)
きれいな姿勢とは、固めることではありません。
ご本人は自覚がなく無意識に体を固めてしまう方がいらっしゃるのですが、それではしなやかな動きは生まれにくく、動作がぎこちなくなります。
優雅さに、余計な緊張は似合いません。
体をまっすぐに固めると思わずに、体の内の空間・スペースを大きく広げるようなイメージを持ってみましょう。
背骨を長く伸ばすときは、背骨一つ一つの間を広げるようにしてみます。
背骨は、首の一番上からお尻の尾てい骨まで29個のパーツがつながっています。
その一つ一つの間をコンマ何ミリというほど小さなレベルでいいので、まんべんなくすき間を広げていくようにしてみます。
そのとき、固めようとしていると上手くできません。
体を引き上げつつ、どこかゆるむような感覚もありながら背骨をやさしい力でしっかりと長く伸ばします。
すると、ウエストの周り・お腹のあたりにもスペースが生まれてくるはずです。内臓を押しつぶさないで中に引っ込むので、ウエストもキュッと引き締まります。
同時に耳と肩のスペースも広げてみます。肩の余分な緊張が抜けて、首も長くなっていくはずです。
このように、体の内にもゆとりのスペースを広げていくことで、悪い姿勢による筋肉のストレスがなくなり、穏やかな感覚は頭もクリアにしてくれます。
姿勢を固めてしまうと、頭の位置が固定され、首が固定され、上半身が固まっていく・・・という連鎖につながり、姿勢の”抜け感”が生まれません。
ファッションの世界でいう”抜け感”と同じように、体も固めるのではなく、ほどよく緊張の抜けた状態でこそ、しなやかさが光ります。
バレエダンサーは、静止しているように見えるポーズであっても、固めていません。固めてしまった途端に、細長く伸びるエネルギー・軸・芯といったものが消えてしまうからです。常に伸びることを続けているので、固めていないのです。
ダンスや演技やポージングでなくとも、姿勢を「固めない」ことは大切な気づきをもたらしてくれます。
姿勢をきれいに整えるときは、固めるのではなく、体の中のスペースを広げてみましょう。