「仙骨を立てるとは、どの様なことですか?イメージはしているのですが、座布団等使用してもイマイチ仙骨が立つということが体感できません」というご質問をいただきました。
「仙骨」ってよく聞く名前だと思いますが、「仙骨を立てる」というイメージがイマイチつかみにくいですよね。骨の模型で解説しました。動画もご覧ください。
- 動画
- 仙骨とは?
- 仙骨を立てるのは、なぜ?
- 「仙骨を立てる」だけではわかりにくい
- 仙骨を立てるには、背骨〜骨盤全体のアライメントが左右する
- 坐骨が椅子にあたる感覚も手がかりにする
- 椅子に座る姿勢の取り方
- まとめ
動画
仙骨とは?
仙骨とは、骨盤を構成している骨の一部です。
骨盤を構成している骨
寛骨(骨盤の左右にある。腸骨・坐骨・恥骨が成長するとともに結合した骨)
仙骨(後ろ中央にあり背骨とつながっている)
尾骨(仙骨とともに背骨につながっているように付いている)
仙骨は、生物学的に見てもともとは背骨の延長として5つの骨があったようですが、進化の過程で結合したものと見られています。結合しているぶん、大きさも脊椎の数倍あります。(成人模型だと、13cm×9cm(最大)くらい)
仙骨を立てるのは、なぜ?
姿勢を指導するときに、「仙骨を立てましょう」という指示がよく見られます。
それは、背骨に連なっている仙骨を立てることで、骨盤も背骨全体も立てやすくなるからです。
また、骨盤が後傾している人は、仙骨を立ててと言われると、骨盤の傾きを直しやすい人がいるため、よくこうした指示が聞かれるのだと思います。
「仙骨を立てる」だけではわかりにくい
実際のところ、「仙骨を立てる」と言われて、はっきりと「ああ、この感覚!」と言えるほどに実感できる人はどのくらいいるのでしょうか?
きっと、解剖学をあまり知らない多くの人は、仙骨の形や角度もよくわからないためにイマイチつかみどころのない骨だと思います。
手で触っても、仙腸関節の位置がおしりの脂肪でわかりにくく、仙骨そのものをイメージするのが難しいからです。
仙骨を立てるには、背骨〜骨盤全体のアライメントが左右する
仙骨を立てるには、仙骨だけの角度を変えればいいのでしょうか?
実際は、違います。先述の通りに、仙骨は脊椎全体・尾骨・寛骨などとつながっていますので、仙骨だけの角度を変えることは困難で、それら全体を整えながら結果として仙骨が立つ様になります。
それを知っておかないと、仙骨だけでどうにかしようとしてしまい、肝心なゴールである「姿勢の矯正」にたどり着けないのです。
坐骨が椅子にあたる感覚も手がかりにする
私のレッスンでは、実際にどんな風に指導しているか?
仙骨というキーワードを使うこともありますが、理解できそうなとき・あるいは理解を促すのに効果的なときに使います。
それよりも、もっと意識しやすい骨は、「坐骨」です。
坐骨は、骨盤の骨の中で、床にあたるほぼ唯一の骨です。(骨盤が後傾していれば、坐骨もつくかもしれませんが…)
坐骨は、寛骨として結合している骨なので、坐骨が椅子の座面にあたる角度を垂直に立てる様にすれば、仙骨も自然に立つ様になります。
さわってもイマイチ感触のない仙骨と違って、坐骨は椅子にあたる感触がはっきりとわかります。体育座りをすれば、床にごりごりとあたるのが子供でもわかります。
その感触をもとに、坐骨から骨盤を立てる様にイメージしてみましょう。そして、頭を高くして、頭〜骨盤の間に存在する背骨を長くする様にします。
すると、仙骨も自然に理想的な状態に立つはずです。
椅子に座る姿勢の取り方
肩を坐骨の上にのせる
猫背になってしまう人は、肩が骨盤よりも前・後ろに傾きがちです。背骨が丸まってしまえばずれてしまいます。
まずは、坐骨の上に肩を乗せるようにしましょう。この位置がずれていると、なかなか体重が安定しません。
坐骨と太もも裏に体重を感じる
坐骨から骨盤を立てる感覚を意識して、左右の坐骨にしっかり均等に体重をかけるようにしましょう。太ももの裏側にもしっかりと体重を乗せるようにします(足が床から浮いていると、体重がかけられないので、気をつけましょう)。
横から見て、鏡でチェックできるならば、背骨全体と骨盤の生理的湾曲(S字のカーブ)をつくるようにします。
尾骨に体重がかかるのは後傾しすぎ
よく、猫背で骨盤を後傾しすぎている人をオフィスなどで見かけますが、尾骨まで体重をかけてしまう人もいるようです。
骨盤の傾きは、この画像のように歪んでしまっている状態です。
これだと、坐骨もななめに傾いてしまっています。
もともと、超・猫背だったある女性が、正しい姿勢を知るまで、尾骨が椅子についているのは当たり前のように感じていたそうです。正しい座り方というのは、なかなか教わる機会も少ないので、自分の中で当たり前になってしまうとそれが習慣になってしまいますね。
太ももが力んでしまう人は?
このとき、坐骨を立てきれない感覚がある人は、太ももの裏側のハムストリングスが硬い可能性があります。股関節を折りたたむ可動域がせばまっているからです。前屈のストレッチでハムストリングスの柔軟性を高めることが有効です。
腰が反りやすい人は?
バレエダンサーに多いですが、腰椎が柔軟だと、腰が反りやすいです。そうした人が過剰に反っているとき、腰の筋肉を必要以上に収縮させてしまうことがあります。それはやりすぎです。
筋肉を収縮させすぎないで楽に保てるカーブを目指しましょう。
そのためには、ウエストを高く持ち上げるようにして、肋骨を落とさないで座れる姿勢をキープすることがポイントです。
まとめ
「仙骨を立てる」という意味を深く考えていくと、骨盤の寛骨・仙骨・坐骨の位置関係がいかに重要であるかがわかります。
また、骨盤と連なっている脊椎全体・頭部までの生理的湾曲を意識することが重要です。
今までイマイチわかったような…わからないような…という感覚だった方は、ぜひ参考にして見てくださいね。