ヨガ・坐禅ワークショップの精進料理。
京都の老舗精進料理「矢尾治」様よりお食事を提供いただきました。
精進料理は、お寺のおばんざいとも言われます。京都大本山御用達のお店とあって、お寺の台所を担うような責任も感じられることがあるそうです。
(昨年の精進料理教室の様子)
ワークショップでは、料理長より直々に精進料理についてのお話を伺いました。
まず食事をいただく前に、食事五観文をみなさんで読み上げました。
(1) 一つには功の多少を計り彼(か)の来処(らいしょ)を量る
食事はいかに多くの人の手数と労力がついやされているか、その労苦を思い、自然の恩恵を忘れてはならない
(2) 二つには己が徳行の全欠(ぜんけつ)をはかって供(く)に応ず
自分の人格の完成を目ざし、また自分のつとめをなしとげるために食事をする
(3) 三つには心(しん)を防ぎ過貧(とがとんとう)などを離るるを宗(しゅう)とす
食べ物に不平・不満をいだかず、飲み過ぎ、食べ過ぎのむさぼる心をおこさぬよう食事は心の修行の場である
(4) 四つには正に良薬を事とするは形枯(ぎょうこ)を療ぜんが為なり
食事は飢えやかわきを癒し、心身の枯死を免れる良薬と思って、決しておろそかに食べない、平和な心持ちで食する
(5) 五つには道業を成(じょう)ぜんが為に当(まさ)に比の食(じき)を受くべし
人として正しく生きることを成就するための食事であることに対して、反省と感謝の心を持ち、新たな誓いを心に持ち行うこと
(昨年の精進料理)
精進料理の器のこの赤い色は、「血」の色を表しているそうです。命をいただいているということを忘れないために・・・
ひとつひとつの旬の食材を生かし、それぞれの野菜の特徴を引き出しながら作り上げられた精進料理は、目にも美しく、味覚も上品で雅な味わいです。
精進料理というと、質素で味気のないものを想像される方もいらっしゃるかもしれませんが、お祝いの席の華やかな精進料理もあります。
日本古来の「美意識」の結晶のようで、まるでアートのように感じられます。
食への感謝を込めること、食も修行のひとつのであることを、改めて学ばせていただきました。
一度深く心で感じたことは、家の台所に立っているときも、ふと思い出します。
いつも忘れがちだからこそ、深く、深く、心に刻んでおきたいです。