バレエヨガインストラクター三科絵理のブログ

バレエヨガインストラクター三科絵理

京都でヨガ・座禅・精進料理ワークショプ(東福寺塔頭勝林寺)〜3.精進料理〜

京都の勝林寺で開催されたヨガ・座禅・精進料理ワークショップの様子をレポートします。ラストの精進料理です。

精進料理を自分の手で作る

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「精進料理」と聞いて、どんなイメージをお持ちですか? たとえば、お坊さんが食べる食事。また、法事で食事をしたご経験を思い出す方もいるかと思います。
「野菜だけで味気ない料理では?」と勘違いする方もいますが、そんなことはありません。
このワークショップでの精進料理は美味でした。それだけでなく、心までときほぐされていくような満たされる気持ちになりました。 講座では、日本古来からの精進料理を家庭でも活かすコツを学びました。

精進料理とは?

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禅宗の広まりと共に伝わった野菜中心の料理です。
いわば”お寺のおばんざい”として、家庭でも作れる美味しいレシピ。
旬の食材を用いて、調味料をできるかぎり押さえて、食材の本来の味を生かして無駄なく使い切る事をよしとするのだそうです。
食事への感謝の気持ちも大事であるとのこと。

京都各本山御用達の老舗料理長から直接学ぶ

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こちらの講座は、京都の各本山御用達の老舗精進料理店「矢尾治」代表の上田倫正氏より直接ご指導を頂きました。
なんとお店の創業は、明治元年。

お店の紹介を引用します。

精進料理、それは単に動物性食材を使わない野菜料理という訳ではありません。精進料理は仏門の食事規範であり、その食味、食法、食礼は日本料理の根源とも言えます。
当店はもともとはお寺様出入りの八百屋からはじまり、野菜を持ち込んだ際に調理もするようになったことから仕出し屋として開業いたしました。
それ以来、使用する食材は限られていますが、旬の食材のうま味を充分に引き出し、秘伝の味を守り続けております。
精進料理 矢尾治 ホームページ

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お寺の精進料理は、お坊さんが一から作るのかと思いがちですが、実は精進料理専門の料理屋さんが出張・仕出しするのが一般的なのだそうです。
お寺の食事を受け持つということで、責任感を持って務められているそうです。
関西だけでなく、関東まで出張することもあるとのこと。
今回の精進料理が本当に美味で精進料理の先入観が変わったので、各地へご出張されていることも頷けます。
講師の上田先生はとても親切で惜しみなくご説明してくださり、より精進料理への親近感が増しました。

お品書き

ランチに精進料理の御膳を食べることになっており、そのうちの二品(※)を調理実習して、そのほかの品はお店でご用意頂きました。

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猪口 胡麻豆腐 山葵 割醤油

木皿 (※)無花果田楽 ちらし穂紫蘇 糸瓜甘酢*1

木皿 きのこの白和え 長芋あられ揚げ 小糸湯葉 栗 紅葉麩 松葉牛蒡*2 蓮根煎餅

平椀 (※)冬瓜の葛引き もぐさ生姜

汁碗 赤味噌仕立て

飯椀 青紫蘇ご飯 香の物

湯斗 *3

以上

「無花果田楽 ちらし穂紫蘇」「冬瓜の葛引き」を調理実習で実際に作りました。

お寺での調理実習

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なんとお寺の和室でガスコンロ、まな板、包丁がずらっと並びました。 一気にお料理教室の雰囲気に・・・さっきまでヨガと座禅をしていたのが不思議なくらいです(笑)。

お寺を傷つけることのないよう、床にシートを敷いて、ガスコンロも最小限に(とはいえ三口ほどご用意くださいました)。 猛暑の中で、料理実習の道具一式・御膳をここまで整えてくださって、矢尾治様には感謝の気持ちでいっぱいです。

調理実習一品目「無花果田楽」

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まずは、「無花果田楽」です。 無花果は、初秋が旬の食材です。一般的には、フルーツとしてジャムにしたり生食することが多いですが、今回は「天ぷら」にすると聞いて参加者の皆さんも驚き! 野菜を中心にして、旬の食材をいかに幅広く活用するかが精進料理屋さんの腕なのだそうです。

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作り方としては、まず田楽味噌は、赤味噌・白味噌・味醂・酒を混ぜ合わせて、鍋で火をかけながら作ります。 次に無花果は、薄く皮を向いて、軸は残しておきます。 薄めにつくった天ぷら衣で、短時間でさっと揚げます。 中まで火が通ってしまうとかなり柔らか過ぎてしまうので、わずか20〜30秒ほどで引き上げます。 揚げた無花果の軸を切り落として、田楽味噌をのせます。 飾り付けに、すりおろした柚子の皮と、穂紫蘇を散らします。 糸瓜を湯がいて甘酢につけたものを添えて、出来上がり。

調理実習二品目「冬瓜の葛引き」

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冬瓜の葛引きは、炊いた冬瓜に、野菜を煮詰めた葛のあんをかけたもの。 動物性の出汁は使えないため、それでも味の幅と奥行きと持たせるために、いろいろな野菜や食材を使うのがポイントなのだそうです。

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作り方としては、冬瓜の下ごしらえから。切り分けて面取り・皮剥き・隠し包丁などを入れます。 そして、色止めに塩をすり込んでから湯がき、冷水にとります。 その後、だし汁で冬瓜が透明になるまで炊き上げます。 その間、榎茸、木耳(きくらげ)、にんじんで葛引きを作ります。 最後に、冬瓜に葛引きをかけて、さやえんどうとおろし生姜を盛って完成。

シンプルに見えて、細かい手間がかかっている

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説明では先生の鮮やかなデモンストレーションでわかったつもりになるものの、いざ実践してみるといかに細やかな手間がかかっているかを実感します。

隠し包丁

冬瓜を色止めする工夫に、表面に隠し包丁を入れます。 これは、冬瓜の外皮の緑色を少しでも残すためにする工夫なのだとか。 できるだけ小さい幅で、交差するように切れ目を入れます。 先生が入れたものは、綺麗に2ミリ以下の幅で細かく切れ目が入ります。 しかし実際に参加者の方々も(私も)やってみると、なかなかうまく入らないものです。 「家庭では、面取りして隠し包丁まで入れるまではなかなかやりませんね〜」「手間がかかってる」などと会話が飛び交っていました。

野菜中心の食材だけで、味の奥行きを持たせる工夫

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精進料理では、野菜中心の食材を使うので、鰹節などの魚介出汁は使いません。 そこで旨味を広げるために、出汁のような旨味が出る野菜を合わせて工夫するそうです。 今回の葛引きは、ベースは昆布出汁でしたが、榎茸・木耳・人参といった出汁の出やすい食材を用いることで、野菜からも出汁をとるように心がけるのだそうです。
御膳の一つ一つの品も、そんな工夫が随所にみられます。 その一例に青紫蘇ご飯。青紫蘇で香りが立ち彩りも増して見た目も美しくなるご飯でした。炊いたご飯に、細切りした青紫蘇を混ぜ込みます。この一手間でこんなに変わるのですね。

彩りよく盛りつけ、香り漂う

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どの品も、盛りつけが美しくなるように工夫されていました。 無花果田楽は、すりおろした柚子の皮で香りが漂い、穂紫蘇を散らすことで細やかな手間と美しさを感じる一品に仕上がります。 冬瓜の葛引きは、冬瓜の青い色をできる限り残し、そしてカラフルな野菜あんで彩りが増します。
さやえんどうは種をとったのですが、これもまた見た目を美しくする工夫なのだそうです。
一つ一つの作業に細やかな心配りを感じます。

修行としての食事と、家庭料理としての食事

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精進料理は、もともと禅宗の修行の中で生まれたために食事に対する考え方が大事と考えられているそうです。 動物性の食材を使わないのも修行の一貫で、肉や魚などを食べたくなるような、香りの強いニンニク・ネギ・タマネギなども使ってはいけないのだそう。

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とはいえ、家庭料理は「修行」ではないので、今回の講座で学んだ野菜中心の美味しい料理の作り方は幅広く活用できそうです。

精進料理は、食事に対する感謝の心も大事にします。 食事が出来上がるまでに費やされた手数と労力に感謝して、自分の人格を成すための食事と考えるからこそ、暴飲暴食や貪ることはよしとされないようです。
「食事五観文」という考え方があるそうで、このことを詳しくまとめているそうです。もし深くご興味をお持ちの方は、ぜひ調べてみてください。

学んだことを家庭でも生かそう!

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どっぷり精進料理の世界に浸り、家庭でもやってみたいことがたくさんありました。 きっと参加者の皆さんも、ご自宅で試そうと持ち帰った知恵が沢山あったかと思います。
私自身は、野菜の下ごしらえをていねいに時間をかけるようになりました。包丁で面取り。隠し包丁を入れたり、アク抜きで湯がいたり、色止めしたり、といった手間をもっと身につけたいと思うようになりました。
また、調味料をできるだけシンプルにして、化学調味料ではなく日本古来の食品・調味料を使うように心がけています。
先生が関東と関西のお出汁・味噌の違いなども話してくださったので、全国各地の古くから伝統の食材にももっと触れてみたいと思いました。

心を込めた料理をすることで、心が満たされる

忙しいときは、どうしても手抜きをしてしまいたくなる料理。
でも、今回、先生に教えていただいた料理への心の込め方に感化されて、できる限り手間をかけることも楽しむように実践するようになりました。
すると、とても心が満たされるのを感じています。

手間をかけるほど、心が満たされる
忘れがちで大切なこと。そして、なにより私の好きなことです。

これが、講座でたくさん学んだことの中で一番の収穫だったと思います。

お寺ワークショップの予定

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次回のコラボレーションワークショップは、来年にまた開催する計画です。 このような機会をぜひまた作りたいと思っておりますので、どうぞお楽しみに!

ヨガにご興味のある方は、引き続き 当サイト coruriをご覧ください。 座禅・精進料理の体験は、東福寺塔頭勝林寺より、勝林寺様での催しをご覧ください。

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参加者の方の感想

素敵な写真がいっぱいのブログを書いてくださった方のご感想より一部ご紹介します。 三穂さん、ありがとうございます!

食べるという行為は、生きることそのもの。 旬の素材のエネルギーをいただく、という姿勢。 そんなフレーズが頭の中を流れていきました。

家じゃやっぱり全てを真似することはできないけれど・・・笑、 私もこの感覚を大切にして料理を作っていきたいなあ、と強く思った次第。 この日味わったあの凛とした空気や感覚、いつまでも覚えておきたいです。 たった数時間という短い時間でしたが、本当に貴重な体験をさせていただきました。 どうもありがとうございました! 三穂さんのブログ「そうだ京都、行こう-2日目 ヨガと座禅と精進料理と-」今この瞬間、"幸せ"と感じられる私を作る 週末料理教室【こころキッチン】 摂食障害克服・インナービューティー

ヨガ・座禅の感想も書いてくださっていますので、どうぞご覧くださいね。

ヨガ・座禅・精進料理ワークショップのレポート 前の記事はこちらです。

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*1:糸瓜とはカボチャの一種で、湯がくと糸状にほぐれる種類です。

*2:牛蒡:ごぼう

*3:湯斗(ゆと):ご飯を炊いたお釜にお湯を入れたもので、食事の最後に飯椀に注いで呑みます。