8月初め、ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミー教師による「大人バレエ初級クラス」というワークショップに参加してきました。一日だけでしたが、大人数のクラスで先生のパワーあふれるエネルギッシュなレッスンでした。
指導してくださったのは、カセンコーワ先生。通訳の先生、ピアニストの先生という3名体制で豪華なレッスンでした。
私が一番心に残った言葉は、
「伸びる喜びを感じて踊って!」
というものでした。
大人バレエの方にとっては、伸びるということが難しく思えたり、頭で先行して考えてしまいがちです。
ともすると、伸びることを楽しむ余裕なんてないよ〜、という方もいらっしゃるかもしれません。
伸びるということは、そもそも喜びなのだ。
そんな考え方が根底にあるからこそ、世界のメソッドの中でもポールドブラと動きのコンビネーションが美しいロシアバレエがあるのだなと納得。
メソッドによって、同じ手の運びをするのにも若干伸び具合やアクセントが違ったりするのですが、こういう考えだからこのように出来上がっているんだな…と、感銘を受けました。
その後私の生徒さんへもこの日のエネルギーを思い出しながらちょくちょくこの話をしていますが、みなさん強く感じるものがおありのようです。
ほかに全体的な注意として、脚に関しては、まず基本の根幹である「膝とつま先を伸ばすこと」は最優先されていらっしゃいました。そして「少しでもかかと前にすること」(アンドゥオールのこと)でした。
脚を上げる角度については、柔軟性によるため、脚を高く上げられないのに無理して上げると猫背になってしまいます。それは一番避けたい事態であって、レッスン中にも脚を上げすぎていたらもっと下げて、という注意がありました。
上半身については、上体を横に倒してアーチ状に伸ばすストレッチを大きく伸ばして、という指示がありました。
大人バレエのクラスを教えていると私もいつも感じているのですが、なかなか横に大きく倒すことがみなさん難しくなります。
ストレッチ不足であったり、体を横に倒しても体幹を安定させる筋力がないと、立っていられないので、脇を伸ばしているつもりがボディは長方形になっていることがよくあるのです。
考えてみれば、踊りというのは上体があらゆる方向に自在に動いてこそ豊かな表現ができるものです。ポールドブラだって、上体が横方向にも大きく動かなければ実際の振付の場面で硬く見えてしまいがちです。
背骨を後屈させることよりも、先生は横方向のストレッチのことのほうが注意を喚起していましたが、私も納得でした。
後屈は背骨の骨格・柔軟性によって無理をするのは禁物ですからね…
反らなくていいというわけではなくて、「無理のないように」というのが合言葉でした。
回転についても、無理してダブルを回るのではなく、綺麗なシングルを確実に回る。
やはり何においても基本に立ち返ることでしたね。
世界にはバレエメソッドが複数ありますが、その原点ともいえるのがワガノワメソッド(ロシアバレエ)。原点をたどる貴重な経験でした。