100年経っても、ツヤツヤと見たことないシルキーな輝きを放つプリーツのドレス《デルフォス》を生み出したファッションデザイナーであり芸術家のマリアノ・フォルチュニの世界にはまってしまい再訪しました。
【マリアノ・フォルチュニ展】
— 三菱一号館美術館 (@ichigokan_PR) 2019年8月16日
日本でも大ヒットの英国ドラマ「ダウントン・アビー」。本作の映画版がこの秋公開ですが、(日本公開は未定)デルフォスが登場するのをご存知でしょうか?ドレスの概念そのものに革命をもたらしたデルフォス。当時の錚々たる女性達が身に纏っていた様子が垣間見えます。 pic.twitter.com/Xit7hWcL7I
画家、写真家、舞台照明・美術・衣装、染織家… あくなき探究心が切り開いたマルチな創作の数々。
どれにも一貫しているのは共感したくなる美意識です。
女性のコルセットを解放し美しいフォルムを演出するドレスは、バレエリュスのバクストにも影響しあったと見られたり、プルーストの《失われた時を求めて》にもヴェネツィアの美しい芸術的なドレスと称され度々登場します。
ワーグナーのオペラに心酔していたフォルチュニだけに、バレエリュスのロシア人芸術家たちとも影響しあっただろうというのは、とても興味深いです。こちらはバレエリュスの写真。当時のバレリーナも、舞台の外でかもしれませんが、デルフォスを着ていたようです。(詳しくはまた)
ただ美しいだけでなく、膨大な工程を想像させる手仕事。そして機能美。捻ってまとめると小さな箱におさまる。プリーツも綺麗。秘密の材料は卵などという驚き。(知っても真似できないですね。)
現代では真似できない細さのプリーツは、フォルチュニの手でしか作れなかった。ベルベットの柄はステンシル・プリントで、織りではないことにも衝撃。どのようにプリントするのか?も、見れば見るほど不思議。他にもステキなライトや舞台照明の考案など。
なぜこんなに心動かされるのだろうか、と帰り道に胸をワクワクさせながら考えました。
このようなマルチなアーティストが舞台芸術文化の黎明期に関わって照明や舞台美術をあらゆる面から手がけていたというのも、個人的な理由のひとつです。
ただ、それ以上に、19世紀後半〜20世紀前半という近現代で、これだけ繊細で魅力的な創作物は新鮮で驚きでした。
多彩で繊細な手仕事のフォルチュニ の世界は、私にとってインスピレーションの泉です。